まずは、東京都豊島区。古くから作家達が居を構え、南池袋にある雑司ヶ谷霊園には多くの文豪が眠っています。

居を構えた作家の中で、今でもその往時をしのぶスポットが実在するのは、日本を代表する推理小説家、江戸川乱歩です。「怪人二十面相」「少年探偵団」といった子どもたちに人気の作品から「黒蜥蜴」「人間椅子」など怪奇的な要素を含んだ小説まで、幅広い作品を残した乱歩は、生涯に計46回もの引っ越しをしたといわれています。
そんな乱歩が後半生を過ごし、終の棲家としたのが豊島区池袋。その邸宅は当時、立教大学に隣接しており、今では旧江戸川乱歩邸として立教大学の敷地内に保存・管理されています。格式の高い応接室を擁する住宅と、書庫として使われていた2階建ての土蔵が残存。書籍や直筆原稿など、乱歩の関連資料を集めた研究センターとして機能する一方で、曜日限定で一般見学も可能となっています。
現在は新型コロナウイルス対策の一環で、見学および資料閲覧はオンラインによる事前予約が必要です。

さて、もうひとつ豊島区でおすすめなのは、漫画界の巨匠たちが切磋琢磨した、かの有名なトキワ荘です。
手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫…そうそうたるビッグネームたちが住んでいたトキワ荘は、豊島区椎名町(現在の南長崎)にありました。昭和57年に惜しまれつつ解体されましたが、多くの関係者の尽力により復元計画が進み、2020年3月に豊島区立トキワ荘マンガミュージアムとしてオープンしました。
昭和の木造アパート然とした外観。そしてアパート内の間取りが再現された館内。1階には企画展示室と漫画ラウンジがあり、トキワ荘ゆかりの漫画や書籍を自由に読むことができます。
2階への階段を上がると、漫画家たちの部屋はもちろん、共同炊事場や便所まで当時の姿で再現された空間が広がります。トキワ荘の歴史や漫画家の暮らしぶりがわかる展示や、漫画家になりきって写真が撮れる部屋、実際に漫画が描ける部屋などがあり、漫画好きの方は存分に楽しめることでしょう。お出かけ前に、当時のトキワ荘での青春模様が描かれた藤子不二雄A先生の「まんが道」や「愛…しりそめし頃に…」を読んでおくと、ひときわ楽しめますよ。