国立新美術館、国立西洋美術館、上野の森美術館、サントリー美術館、ブリヂストン美術館などなど、都内には著名な美術館が本当にたくさんあります。
数キロごとに点在するので、その気になれば1日で相当数の世界的な名画を堪能することができます。
ただ海外に比べて、美術館や博物館に出かける気軽さがあまり無いように思います。どちらかというと『自分の好きなアーティストの展覧会があるから』とか『ここにいると落ち着くから』というような気分とはほど遠く、知識、教養の場という敷居のたかさがありますよね。
ここはひとつ買い物のついでにという軽い気持ちで美術館によってみるのもいいかもしれません。そこでオススメなのが渋谷のBunkamuraザ・ミュージアム。
センター街を抜けて渋谷の東急本店の裏手にあります。渋谷で買い物、映画のついでちょろっとよってみるのはいかがでしょうか?
私も先日、フェルメールの展示があるとことで美容院のついでに寄ってみました。フェルメールは17世紀にオランダで活躍した画家で、モネと並んで光の画家と称されます。特に陰影の表現が特徴的で、精緻に書き込まれた衣服に掛かる影・光などは息をのむものが多いです。
疑問作も含め30数点しか現存しないもののうち、男性を書いたものは2点。その内の1点がいま日本にあるというので、心も躍ります。
これが今回の目玉の『地理学者』。50センチ四方くらいの小さなものでしたがとにかく細かい!油絵はこれほどまでにキレイに書き込めるのかと驚嘆しました。
私が行ったのは開期ギリギリの時間だったので、土曜日ということもありお客さんでごった返していたのでなかなか近づけずじっくりと観ることはできませんでしたが、平日の午前とかに行くのであればじっくり『がぶりより』でご覧頂けると思います(笑)
目玉作品はフェルメールで作品展の名前も『フェルメールとオランダ・フランドル絵画展』となったおりましたが、こっそりルーベンスの絵もリストにありました。
フランダースの犬のクライマックスで『キリストの昇架』を前にネロが昇天するするシーンは涙を誘いますが、命を賭してネロがみたかったルーベンスの筆を渋谷でたった1500円で観ることができるのだなと思うと東京ってすごい都市だなと思いました。
名作が行かずとも観れるってすごいことです。
フランドル絵画と言えばブリューゲル親子やロイスダール、フランス・ハルスなど、観れば『ああ、教科書などで見たことある!』となるような絵画が多いです。
美術館に行こう!と意気込んで行くのではなく、これだけ多くの美術館・博物館があるのですから散歩がてらに寄ってみるぐらいの気軽な感じで立ち寄ってみると意外な発見があるかもしれません。
東京近郊は都市部だけでなく、ベッドタウンなどにも各市の美術館などもありましてそこでも魅力的な展示が多いです。一度、お住まいの地域のホームページなどをチェックされてみてはいかがでしょうか?
今回、いろいろ名画をみた中でこれはすごい!となった一枚がこの作品。ヤン・ウェーニックスの《死んだ野兎と鳥のある静物》です。
今のように写真がない時代にこの作品が書かれたと思うと、ウサギの毛一本一本まで、今そこにあるかのように映し出された静物画は驚きを持って受け入れられたと思います。静物画としてのレイアウトのすばらしさ、色彩の美しさ、残酷とも言える題材なのにじっと見入ってしまうような力強さは人を引きつける何かがあります。
場所にもよりますが、人気の美術館でも平日は実は結構ガラガラです。お休みが取れるようであれば平日に美術館に訪れるのは、展示物をじっくり見れるので本当にオススメです。
『ネットでも観れるじゃん』『絵画には興味ないなぁ』と思っている方でも、いざ実物を目の前にするとそのパワーに引き込まれます。
どこにでもあるプリントや既製品とは違い、世界にたった一つしかない逸品の放つ力を感じるだけでも訪れる価値はあると思いますので、事前知識無しでぶらっと立ち寄ってみて下さい。きっとその日一日が、いい一日になると思いますよ。
■Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/index.html