楽天オープン 2012

先日行われた楽天オープン2012は日本人初となるツアー2勝目を見事日本で飾り、初優勝となった錦織圭選手の圧勝で幕を閉じました。私も中日となる大会4日目、男子2回戦を見てきました。

一番上の写真がチケットにも印刷されていた主要メンバーなのですが、左からアメリカの若手のフィッシュ、オリンピックチャンピオンのマレー、日本期待の星・錦織、ウインブルドンファイナリストのベルディハ、フランスのエース、ガエル・モンフィスとATP500ツアーにふさわしい錚々たるメンバーなのですが、両端の二人は病欠。大会の顔なのに、病欠。と、少しガッカリ、まさかの始まりでした。

それでも、世界9位のティプサレビッチ、6位のベルディハ、10位のファン・モナコ、全豪ファイナリストのバグダティスなどなど、テニスファンにはたまらないメンバーがこの日も揃っておりました。

この日はぐんぐん気温も上がり、センターコート付近は30度近い熱波でした。コートサイドのかなりよい席で観戦したのですが、1セットごとに席を立ってコート裏の日陰で涼を取らないと熱射病になってしまいそうなくらいの暑さです。選手はこの暑さの中、風のないセンターコートで2時間近い熱戦を繰り広げるのですから、ものすごいスタミナです。


第一試合は世界9位のティプサレビッチ選手と、スイスのチィウディネリ選手。女子の試合を間近では見たことがあったのですが、男子の世界クラスをコートサイドで見るのは生まれて初めてでした。

試合前の練習が始まると、まずそのスピードに驚きます。え?テニスってこんなスピード感なの?というくらい、とにかく球が速い速い。後ろの方の席に移動すると分かるのですが、俯瞰で見るのと選手の目線で見るのとでは音の大きさも全然違って別次元でした。サーブともなると200km越え連発の世界。まさに異次元の戦いがスタートしました。


次の試合は前年度ウインブルドンファイナリスト、トマーシュ・ベルディハ選手対コロンビアのアレハンドロ・ファジャ選手。惜しくも一昨年はナダル選手に敗れてしまいましたがウインブルドン制覇まであと一歩まで迫った選手です。190cm後半という恵まれた体格から振り落とされるサーブは220kmを越える弾丸サーブ。正直コートサイドでは見えないサーブと化しておりました。

試合がベルディハ選手のワンサイドゲームになりそうでしたので、ここで一旦コートの外へ。メインスタジアム以外でもダブルスの試合やイベントなどが行われています。この日は男子ダブルスにオリンピックチャンピオンのアンディー・マレー選手が一つ上の兄ジェイミーと組んだダブルスが行われていました。ダブルスはノーアドバンテージ、ファイナルセットはスーパータイブレークといった時短のルール。3セット目は最短10ポイントで勝負が決まってしまう怖いルールです。見事、タイブレークを制し、マレー兄弟はこの日勝利。

さすがオリンピックのチャンピオンだけあってセンターコートよりも人を集めておりました。会場の周辺にはケバブ屋さんやスタバ、ホットドッグ屋さんなど出店も多く建ち、イベント会場となる正面玄関前にはサーブのスピードガンコンテストやスポンサースペースなどお楽しみがいっぱい。錦織選手の等身大パネルと写真を撮ったり、ボレーのミニゲームで商品をもらえるものなど盛りだくさんでした!

テニス観戦に少し疲れたら会場を後にして芝生の広がるイベントスペースでのんびりするのもおすすめです。

第3試合はキプロスの英雄マルコス・バグダティス対世界10位のファン・モナコ選手という好カード。 バグダティス選手は4大大会でファイナリストにもなった事のある実力派。対するモナコ選手はすべてのショットがハードヒットという見た目にも華のある選手。今大会のダブルスでは錦織選手とダブルスを組んでいるので日本のファンにもおなじみの顔です。

ゲームは一進一退のマラソンゲームになりましたが、緩急を付けた攻撃で相手を翻弄するバグダティス選手が一歩有利に。とにかく見応えがあるこの日一番の試合でした。

そしてなんといってもこの人、錦織圭。第4試合は一番の盛り上がりを見せた試合でした。ここまでのお客さんの入りは半分程度。テニスファンなら盛り上がる試合が多かったですが、人気のある選手はここまでそれほど出てこなかったため閑散としておりましたが、 錦織選手が出てくるとスタジアムは超満員。この試合の為だけに来る人がこれほど多いとは!驚きです。

実際、このあと彼は優勝してしまうのですが、ここ4年ジャパンオープンでは結果が出ていなかった彼のプレートは違い、圧勝劇を見せてくれました。男子テニスの試合ではサービスゲームが重要になってきます。なので、サービスゲームはほぼ自分のスコアにしますので6-0という数字はあまりお目にかかれないのですが、今大会では錦織選手は0のゲームをいくつか記録しています。彼のリターンゲームの技術向上がよく出た大会だと思いました。

次の第5試合 はオリンピック日本代表の伊藤竜馬の試合でしたが、何と試合中にライトが消えました。国際試合ではあり得ない事なのですが、さらにあり得ない事に有明コロシアムの屋根が半分だけ閉まらない!その上、天気予報では雨が降る予定はなかったのですが、屋根が閉まらない所に残念な事に雨まで降ってきました。まさに泣きっ面に蜂です。

半分だけ土砂降りとなり、コートは水たまり。時刻は9時近く。観客も次々に帰る中、松岡修造氏がファンに向かってさまざまな声がけをして楽しませてくれました。

途中、これからダブルスの試合を控える錦織選手がサプライズで登場。残っていてくれるファンに直筆サイン入りカードを配る場面もありました。修造氏をはじめ日本テニス界は今総出でテニスファンの拡大に励んでいます。


最後はスタッフ総出でタオルで雨を吸い取り、一刻も早く試合に戻れるよう頑張っておりました。海外ではすぐ中止となる場面ですが、修造氏がお客さんをとどまらせ、スタッフが全力でコート整備を、そして選手もそれに答える。皆でテニスを盛り上げようという気持ちに会場も暖かい空気に包まれました。10時過ぎに試合も再開、こんな事あり得ません!

私はその後、終電が無くなる時間となりましたので会場を後にしましたが、それでも試合は再開し続いたそうです。本当にすごいことですし、いい場面に出会えたなと感動すら覚えました。

今はランキング的にいってもベスト100圏内に3人もの選手が入る時代となりました。これからの日本のテニス界はとて明るいのではないかと思いました。この大会だけでなく、世界の大会でも日本人は活躍しています。そう言った活躍に少しでも一テニスファンとして目を向けてくれる人が増えればと思います。ガンバレ錦織、添田、伊藤!

コメントは受け付けていません。