奥深いメモラビリアの世界

 

いい感じのオールドカード

 

メモラビリアというと何の事かとお思いになるかと思いますが、直訳すると「記念品」という意味だそう。

今ではスポーツ選手の直筆サイン入りボールや写真、使用済バットやユニフォーム、ホームランボールなどのことを主に指す言葉になり、海外にはメモラビリアショップなども多数存在して、ごひいきの選手のユニフォームやサインなどが高価な値段で取引されています。ただ選手が実際に使ったユニフォームや道具は入手が困難であり高価になってしまうので、今、そう言ったものがトレーディングカードに封入されており大変話題になっています。

子供の頃はプロ野球選手のサイン入りバットなど欲しいと思った事は何度もありましたが、結局手にする事はありませんでした。でも簡単にカードとして手に入るのであれば、ちょっと手に入れてみたくなりませんか?

■まずは手始めにその歴史から

オークションにかけられたホーナス・ワグナーのカード

トレーディングカードの歴史は意外に古く、明治時代より前にアメリカではタバコの景品として配布されていました。当時はタバコが折れやすいのでその補強の意味でタバコの袋の外側に厚紙として入れられていたのが始まりです。ここに広告や写真が入ってくるとこの紙を集める収集家が現れ始めました。特に人気の高いのはもちろんアメリカならではメジャーリーガーのカード。2007年にはアメリカのオークションで235万ドル(日本円で約2億8千万円)の値が付き「トレーディングカード界のモナリザ」と言われ話題となりました。

こういった投機目的での所持がブームに火をつけてしまい、各メーカーがこぞって参戦。よりインパクトを求め素材、印刷、デザインを凝りに凝ってたどり着いたのが、メモラビリアの封入です。サインはもとより、使用したジャージの切れ端、バットのかけら、バスケットボールの革などをカードに挟み込む事でよりプレミアムを付けて販売する事に成功しました。

日本でも遅れてそのブームはやってきます。今ではカードショップやおもちゃ屋さんでも野球カードは有名ですよね。でも昔からお茶漬けに入っていた東海道五十三次のカードやカルビーの野球チップスカードなどは集めていた方も多いのではないでしょうか?今ではこれらのカードにも高値がついていますが、それを集めているのが子供の頃に野球チップスで育った世代(笑)。興味のないあなたのお家にも、子供の頃に集めたお宝が眠ってるかもしれませんよ。

■というわけで私も押し入れを探してみました

何を隠そう、私にも猛烈にカードブームが来たことがありました。90年代後半、当時はNBAが人気で田伏選手もNBAをめざしている学生だった頃。ブルズ全盛期で、ジョーダン、ピッペン、ロッドマン、クーコッチ、グラントとキラ星のようなスターぞろいの時代でした。バスケアメリカ代表はオリンピックでも銀河系スター軍団で圧勝。そんな背景もありバスケカードにハマりました。

バスケマンガの主人公のモデルにもなったデニス・ロッドマンのホログラム

当時はスニーカーもはやっていた頃でもあり、ユーイングを始め、様々なバスケシューズも来日しました。新チームのオーランド・マジックはシャックアタックで有名なシャキール・オニールを擁し、ハーダウェイと一時代を築いた頃。外がめっぽう強いレジー・ミラーや、パワープレイのアロンゾ・モーニング(病気になってしまいましたが…)などなど、どのチームにもアクの強い選手ぞろい。そんなバスケブームだった頃にトレーディングカードと出会ってしまったものだから当時の熱狂ぶりは凄まじいものでした。

カードにも旬があり、当時はオートグラフというサインカードが出始めた頃でした。今では普通になっているサインカードですが、当時は2500ボックスに1枚という激レアなカードでした。他のカードの印刷も印刷技術の見本市と行った様相で、リフレクターを配したものや、ホログラムで選手が浮き上がるようなもの、カードを動かすと動画が見られるような変わり種もありました。ナンバリングがあって世界に何枚限定と書いてあるカードも射幸心に火がつきます。それ以上にアメリカの雰囲気そのままにアメリカンな派手なデザインにも心躍ったものです。

 

世界に399枚しかないクリフ・ロビンソンのカード

今でもお金を出せばレアなカードは手に入りますが、それを買い集めるのでは投機目的のようで興ざめなので、収集仲間うちでは皆それぞれ贔屓のマイナー選手がおりました。私が好きだった選手はサンズ/ブレイザースのクリフォード・ロビンソンという選手で坊主頭に汗止めのヘアバンドをしている選手でクリフ・ハンガーの異名を取る中堅のセンター/フォワード。こういったマイナーな選手を追っかけるような、カードの価値だけじゃない楽しみ方もあるのが魅力です。

アメリカパニーニ社のサッカーカード。今やサッカー解説の顔、名波さん。

バスケカードに飽きたのかその後も、大相撲、サッカー、ボクシング、プロレスと見境なくカードを集めてわがマイブームは終了しました。でも今見返してみると何やらお宝のような気もしてくるのが不思議です。

 

ドーピングしてない頃のマグワイヤ。ガリガリです。

 

■今からでも遅くない限定品の激レアボックス

こういったカードの醍醐味はもちろん応援しているスター選手のカードを手にする事です。ただ、自分が好きなスポーツが野球やバスケやサッカーじゃない限りはなかなかカードを買ってみようとは思わないと思います。私も今では大のテニスファンですが、テニスのカードは見たことがありません。あったら買うのになーといつも思っていました。実はあるんです。カナダの会社が発行しているあるカードボックスがあるのですが、名前はスポーツキングスというカードレーベル。これまた歴史が凄い。

1933年に話題だったカードメーカーを復刻したという事で、歴史あるメーカーなのですが、日本にも輸入品としていくつか入って来ております。その内容が凄いのです。スポーツキングスの名前の通り、 ありとあらゆるスポーツ選手のサインやゲームシャツなどを集めたシリーズなのです。ありとあらゆるというぐらいですからスポーツのジャンルはものすごいです。野球、バスケ、アイスホッケー、アメフトの4大スポーツはもちろんのこと、ボクシング、ビリヤード、テニスにXゲーム、まさかのポーカー選手までを網羅しています。

今までテニス選手のカードなど見た事ありませんでしたが、ただのテニス選手じゃなく、ボルグとナブラチロワのゲームシャツというレジェンドのまさかのメモラビリア封入!その他にもペレのジャージや、選手じゃないのに?と思うマーチンルーサーキングJrのサインとか、歴史上に名を残すような人のサインや服などを集めてカードにしています。中身はもちろんホンモノで、何が出るかはお楽しみ。

価格はボックス(3パック入りで3枚づつ入っています)で日本円で4万円〜6万円くらいでした。ボックスには必ず誰かのサインやジャージカードが入っているそうですが、オールジャンルなので伝説のボディビルダーのサインと、ポーカーチャンピオンのサインという組み合わせがあるかもしれません。興味のないジャンルの選手だとガッカリしてしまうかもしれませんが…(涙)見事お宝に当たるかも。

あまりにも高価なものなので、ほとんど目にすることはありませんが、もしあったら宝くじ代わりに買うのもまた一興かもしれませんね。SportKingsで検索するといろいろ出てくると思います。興味のある方はこちらからどうぞ。

SportKings 検索結果>>

 

■ 日々進化する印刷技術

私がコレクションしているものは、ほぼ10年以上前のもので今流通しているカードと比べるとデザインや印刷技術などは格段の進歩が見られます。デザインや印刷に興味のある方は本当に勉強になる世界だと思いますので、デザインを勉強されている方は買わずとも一度覗いてみて下さい。

何はともあれ、子供の頃夢中になったものが、大人になっても同じように熱狂できるものに進化しているというのはすごいことだと思います。有り体に言ってしまえばただの紙切れですが、収集するのに値する『紙』に価値を乗せているのは他ならぬスポーツのスーパースターの姿です。これを入口に知らないスポーツを好きになったり、普段は気が付かない選手を注意深く見てみたりとスポーツ文化に貢献しているトレーディングカードの世界。一度覗いてみてはいかがでしょうか?

コメントは受け付けていません。