先日は錦織選手が全仏ベスト8、しかも惜しくもファイナルセットで涙をのむという結果となりましたが、初のベスト8にも自分を許せないというコメントを残すあたり、自分へのハードルが上がっているのをひしひしと感じますね!
さて、全仏の空気も覚めやらぬまま6月といえばウインブルドンの時期となります。29日から今年は開催となりますが今年もさらに厚い熱戦が繰り広げられそうです。
錦織選手はもとより世界中のテニス選手はウインブルドンに標準を合わせ、同じグラス(芝のサーフェス)コートで調整をはじめています。
そこで今回はウインブルドン前哨戦となるグラスコートの試合をご紹介したいと思います。
■フェデラーが毎年出ることで有名なハレ
ウインブルドンといえばなんといっても芝の王者フェデラーですが、フェデラーが毎年ウインブルドン前に調整試合として参加しているのがハレの試合です。ドイツの田舎町Halleというところで開催されるゲリー・ウェバー・オープン(6月15日~6月21日)です。
ゲリー・ウェバー・オープン(Gerry Weber Open)はドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州ハレにて行われる大会で、昨年まではATP250の大会でしたが今年から格上げしてなんと500ポイントの大会となりました。もともと芝の大会は世界的に見ても少ないのですが、さらにウインブルドン前に行われるとあって、世界中のテニス選手がグレードの低い小さな大会ですが参加するようになりました。
ハレの街は人口たった2万人。この大会時期だけお祭り騒ぎになり、人口の5倍もの観光客で溢れます。これもフェデラー効果と言ったところでしょうか。日本との時差は7時間。日本が7時間早いので大会結果などは深夜の情報が多いですね。
今年は日本から錦織選手はもとより、グラスコートに照準を合わせクレーシーズンを早めに切り上げた添田豪選手も早速現地入りして練習を開始しております。
ウインブルドンがあるイギリスからは少し距離がありますが、日程的にこちらの方が他の大会より余裕があり、また32ドローと小さな大会なので、調整という意味では適しているのでフェデラーが好んで参加していたのかもしれません。2010年からは「生涯出場確約契約」(現役でいる限り毎年ゲリー・ウェバー・オープンに出場する契約)をフェデラーは結んでいますので、後述する同じ時期のクイーンズ(エイゴン国際)にはフェデラーは出ません。
フェデラーがでないこともあってか、グレードの高さか、はたまた同じイギリスで行われるからか同時期のグラスコートはクイーンズ(エイゴン国際)の方が人気の高い大会となっております。今年からはグレードも上がり、2大会の立ち位置も大きく変わるかもしれませんね!
■同じロンドンで行われる由緒正しき国際試合
ハレの試合のところでも少し触れましたが、同時期に行われるグラスコートの大会で有名な大会があります。エイゴン選手権です。毎年6月下旬にイングランドのロンドンで開催される大会で、クイーンズテニスクラブの大会が前身なので、クイーンズと呼ばれます。
フェデラーはハレの大会に参加するので、ナダルをはじめ今年もフェデラーに手の内を知られたくない競合はこちらの試合を選びます。昨年はベイビーフェデラーのあだ名をもつグリゴール・ディミトロフが優勝。地元のマレーも2009年、11年、13年と一年おきに優勝を飾っております。
特徴としてはハレの大会と同じく全仏とウインブルドン前に行われる数少ないグラスコートの大会であることと、何しろ同じロンドンで行われるという移動の少なさがあります。
フェデラー以前はこのクイーンズを制したものがウインブルドンを制すといった様相で、文字通りウインブルドン優勝を占う上での前哨戦でもありました。過去日本人選手では1921年に清水善造氏が優勝、1992年には松岡修造氏が準優勝しています。ちなみに松岡氏はこの年、ウインブルドン王者、イワニセビッチ、エドバーグ両氏を破っての決勝進出です。
グラスコートシーズンもこの2試合を見ていれば、ウインブルドンの結果が分かるかもしれません。大きな大会の前とあってこの2試合の結果には目が離せませんね!