月夜を見上げて


先日までの猛暑が嘘のように、涼しい風が吹くようになりました。

9月に入りだんだんと景色も秋めいて、夜も過ごしやすくなってきましたね。8月は熱中夜続きでクーラーを付けて過ごしていたので、空を眺めることもありませんでしたが、これだけ涼しくなると夜空を眺める機会も増えてきたと思います。

今年は『中秋の名月』(十五夜)にあたる9/22がお月見の日。後の月と呼ばれる十三夜は10/20日になります。

各地でお月見のお作法は違うようですが、一般的なのがすすきをお供えしてお団子を頂く事ですよね。元々は旧暦の8/15日前後には里芋などのお芋が収穫される時期だったようで、そのお芋を食べる習慣があったようです。

地方ではおはぎを食べるところや、柏餅などを頂くところなどその土地土地での習慣は違いますが、全国的にさながら日本版ハロウィンのように「おつきみどろぼう」という習慣があるようで、お供えしたお持ちなどを子供達が盗み食いするという習慣があるようです。調べてみてはじめて知ったのですが、私の周りではそういった行事がなかったので、欧米と似たようなお祭りがあった事に驚きました。収穫のお祝いという点では古今東西変わりがないものなのですね(笑)

ところで月という言葉はどこからきかたかご存知でしょうか?
いくつか説があるようですが、以下のような説が有力なようです。

  • 「次」(つぎ)から来ているという説。太陽の「次」、つまり太陽(最も明るい天体)を一番め、月をその次の二番めとしたことから、「つき」と呼ばれたという説です。
  • 同じく「次」だが、日神(太陽の神)の次に月神(月の神)が生まれたので、「つき」と呼ばれているという説。『日本書紀』の中では、まず日神(イザナギノミコト)が生まれ、その次に月神(イザナミノミコト)が生まれています。
  • 「尽きる」から来たという説。月には満ち欠けがあります。満月から次第に月の明るさは小さくなり、新月になれば月はまったく見えません。明るさが「尽きる」ことから、「つき」と呼ばれるようになったという説です

どの説も興味深いですね。英語では月にまつわる言葉としてlunaという言葉が使われますが、狂気や錯乱のような意味合いを含むようです。表が太陽や地球だとすると、夜にしか明るく現れない月は裏側という側面をもっていて、人間の感情の裏側(狂気)を司る象徴として見られたのかも知れませんね。

感情を左右する惑星『月』。
だからこそ、人は月に願いごとをするのかもしれませんね。

地球から最も近い天体『月』ですが、冷戦時代は65回もの月面着陸が行われましたが、1972年のアポロ17号以来、38年も人類は到達出来ていません。私も子供のころは大人になれば、街にはリニアモーターカーが走り、月には月面基地ができて月旅行ができるものだと漠然と思っておりましたがどちらもまだ完成すらしていません。いつの間にか月旅行なんて夢の話になり、宇宙への関心も薄れてきました。

宇宙開発はロケット開発の歴史であり、冷戦を象徴するテクノロジーの戦争でもありました。宇宙に関心の失われたこの30年は冷戦崩壊とともに訪れたモラトリアムで、平和な時代が流れている証拠なのかもしれませんね。

近年、月が地球の組成と似ている事や、主だった鉱物資源などないことなどから、宇宙計画は火星にシフトしておりましたが、21世紀を迎えたここに来て宇宙開発は激化の様相を見せてきました。中国は2012年までに探査船を、インドは2014年までに有人飛行を、ロシアもルナグローブ計画を再開するなど21世紀に入ったいまも月に向けられる視線は熱いです。

時を同じくして日本でも先日『はやぶさ』がイオンエンジンで小惑星『イトカワ』からの小惑星サンプルリターン計画に成功するなど宇宙計画が話題になっております。

月夜を眺めながら、宇宙に馳せる人類のロマンと、宇宙空間で繰り広げられる各国のテクノロジー戦に思いを馳せるのもまた一興ではないでしょうか。

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