大人もハマる『マンガ』特集

通勤などの電車移動や待ち合わせ、喫茶店などでいい大人がマンガを読んでいると『大人なのにねぇ』と言われて久しい昨今ですが、そんなマンガ反対派の方にもぜひ読んで頂きたい『マンガ』を集めてみました。

どのマンガも笑いあり、涙あり、そして感動ありと3拍子そろった名作ばかり。前述のように読む場所やマナーさえ気をつければ、マンガは小説にだって劣らない世界が認めるエンターテインメントなんです!

それが証拠に今年封切りの映画をざっと見渡してみると、小説が原作のものより青年誌などのコミックが原作のものが多くを占めています。それだけストーリーや表現方法が斬新で心打つものが増えているという証拠なのです。

かなり前のめりな紹介文になってしまいましたが、前置きが長くなったのでこの辺りで一つご紹介致しましょう。

■幼き日にかわした約束を胸に。『宇宙兄弟』

 

 

2006年7月9日、月に飛翔するUFOに遭遇し「2人で宇宙飛行士になろう」と約束した南波六太(なんば むった)、日々人(ひびと)兄弟。時は流れ2025年、その時に交わした約束通り日々人はNASAの 宇宙飛行士となって月に向かおうとしていた。

その一方、弟の悪口を言った上司に頭突きして自動車開発会社を退職(リストラ)し無職となった六太。再就職も うまく行かず意気消沈していた六太の元に、事情を聞いた日々人からメールが届く。「あの日のテープを聴け」メールに書かれているまま、幼い日に録音した テープを聴く六太。するとそこには、六太が置き去りにしていた「約束」が鮮明に刻まれていた。(WIKIより)

 

宇宙飛行士になる兄弟のお話なのですが、それ以上に周りの人とのコミュニケーションの大事さであったりとか、物事を進めるという点で自分一人でできる事の少なさであったり、自分が如何に周りの人に支えられて生きているかという事をしみじみと考えさせてくれるお話です。

内容自体はもじゃもじゃ頭のお兄さん、ムッタを中心にコミカルに描かれているのですが、その背景には様々な人の『絆』を軸に描かれているので、ふとした表現に涙を奪われてしまいます。

人それぞれが持つコンプレックスであったり、エゴであったり、生活事情などの外部要因によって、夢に向かってまっすぐ進めないこともありますが、このお話を読んでいると夢を持つ事のすばらしさを改めて感じる事ができると思います。


■日本人のお風呂好きを再認識。『テルマエ・ロマエ』

 

舞台はハドリアヌス帝時代、西暦130年代の古代ローマ。浴槽を専門とする設計技師ルシウス・モデストゥスは、革新的な建造物が次々に誕生する世相に反した昔ながらの浴場の建設を提案するが採用されず、事務所と喧嘩別れしたことで失業状態に陥ってしまう。

落ち込む彼の気を紛らわせようとする友人マルクスと共に公衆浴場に赴いたものの、周囲の騒々しさに耐えかね雑音を遮るため湯中に身を沈めたルシウス は、壁の一角に奇妙な排水口が開いているのを見つけ、仕組みを調べようと近づいたところ足を取られて吸い込まれてしまう。

不測の事態にもがきながらも水面に顔を出すと、彼はローマ人とは違う「平たい顔」の民族がくつろぐ見たこともない様式の浴場に移動していた。これ以降ルシ ウスは自分の意志とは無関係に度々「平たい顔族」の風呂へ訪れては、それが自らの創意工夫によるものではないことに若干の後ろめたさを感じつつ、そこで得 たアイディアをローマでの浴場設計に活かし名声を勝ち得ていく。

「平たい顔族」、それはアジア系有色人種の未来の姿。すなわち現代日本人であり、ルシウスは浴場を使ったタイムトラベラーとなっていたのだった。(WIKIより)

 

ローマ人がお風呂から出たら現代日本へ。そんな突拍子も無い設定なのですが、それより驚きなのがお風呂好きのローマ人でさえ驚愕する日本人のお風呂に対するこだわり。今まであまり意識する事無く使っていた、あのお風呂グッズ…温泉卵…垢擦りタオル…フルーツ牛乳などなど、そういえば海外旅行でそんなもの見た事ないかも…という気持ちになります。 

元来、火山国だったために根付いた温泉文化と相まって、お風呂に対する執着が尋常ではなくなっており『如何にお風呂タイムを素敵に過ごせるか』に関して、日本は全世界、右に出るものはいない独自の進化を遂げてしまった感があります。お風呂をさまさないようにフタをしてまで温度を保ったり、果てはお風呂にテレビや音楽まで持込んでいます。

異文化に触れる驚きと、今まで意識していなかった先人達のモノへの情熱などを笑いを交えて伝えてくれる秀作です。お風呂好きによる、お風呂好きの為のコミックです。

■今こそ読み返したい不朽の名作 『マスター・キートン』

ロイズの保険調査員(オプつまり探偵)である平賀・キートン・太一は、オックスフォード大学を卒業した考古学者であると同時に、元SASのサバイバル教官でもある。フォークランド紛争や在英イラン大使館人質事件では隊員として活躍したとされる。

父は日本人の動物学者、母はイギリス人。オックスフォード大学時代に日本人女性と学生結婚し、一女をもうけたが、離婚。別れた妻は、数学者として大学教員を勤めている。本人は考古学の道を進みたいと思っているが、職もままならない。発掘費用のために調査員を続けるが、過去の経歴からいろいろな依頼が舞い込み、数々の危険な目にも遭ってしまう。

冷戦終結前後の社会情勢、考古学、そして太一をめぐる人々のドラマを描いた作品。(WIKIより)

 

奥さんにも逃げられてしまい、娘と年老いた父と暮らす、保険の調査員キートン。就職活動もうまく行かず、うだつの上がらない毎日を過ごしているが、実はイギリス空挺部隊のエリートで、考古学者。保険の調査員として様々危ない目に遭いながらも、自身の持つスキルと経験、知識で様々な難事件に立ち向かってゆくヒューマンドラマ。

私がはじめて出会った大人向けの読み物で、最初に手にとった時は衝撃を受けました。それまで、マンガというものは面白いものではあるけども、どちらかというと子供向けでハリウッド映画のようにドカードカーンと爽快感や、その場の笑いを与えてくれるという認識だったのですが、小説のような語り口で読んだ後にも余韻が残るマンガがあるんだ!と次々に買いあさった覚えがあります。

物語は冷戦時代のヨーロッパ諸国で、東西のスパイが暗躍する時代。自身も身辺を隠しながら行動したり、思わぬ危機に銃を手にしたりと活劇風の立ち回りも演じますが、そこは考古学者でありマルチリンガルな知識人。交渉術などの様々な経験を利用して、死の淵から逃れる様はまるで24などの海外ドラマのワンシーンのよう。

これだけすばらしい脚本があるのだから、実写化してドラマにでもすればいいのになぁと予々思っています。こちらの作品にハマった方は、その前作の『パイナップル・アーミー』も是非オススメです。

 

■まだまだあります!名作集

世界に通ずる文化として定着した『マンガ』ではありますが、まだまだ暇つぶしの一種のように思われている部分も多いと思います。小説は良くて、マンガはダメ。そんな風に思っていらっしゃったら、是非今までの固定概念を取っ払って手に取ってみて下さい。

必ず新しい感動がそこにはあると思います。3点しかご紹介できませんでしたが、他にもオススメの作品がたくさんありますのでもし気になりましたら、書店で以下のものも手に取ってみて下さい。どれも名作ぞろい。魂を掛けて描いたものに『小説』、『映画』、『マンガ』等の垣根はありません。

■スポーツオススメ
『奈緒子』
日本海の疾風(かぜ)と呼ばれる天才ランナー壱岐雄介の成長物語。短距離、駅伝、マラソンといくつかのシリーズにわかれている。9年もの長期連載になった。主人公の住む波切島は架空の島だが、壱岐市がモデルとなっている。

■歴史ものオススメ
『ヒストリエ』
紀元前4世紀のギリシアやマケドニア王国・アケメネス朝ペルシアを舞台に、古代オリエント世界を描いた作品。マケドニア王国のアレクサンドロス大王に仕えた書記官エウメネスの波乱の生涯を描いている。エウメネスはプルタルコスの『英雄伝』(対比列伝)などにも登場する実在の人物。エウメネスはギリシアの都市国家カルディアの名家の息子として育てられ、父の財産をめぐる陰謀によって一時は奴隷に身を落とすものの、時代の荒波に揉まれながらその才能を開花させていく。

■ヒューマンドラマオススメ
『not simple』
アメリカのとある州。駆け落ちの計画がばれ、父親から「恋人を殺す」という脅しを受けた少女・アイリーンは、恋人の身を守るために、偶然道端で眠っていた 青年・イアンをその身代わりにしようと思いたつ。自分を監視する父の手下の眼に、イアンが恋人であると映るよう振る舞うアイリーンだったが、イアンの身の 上話を聞くうちに、彼が自分の叔母と再会するためにこの街へやって来たことを知り…

活字と違って、さらっとイメージが入ってくるところが小説と違うところ。頭が疲れてる時などはマンガはオススメのメディアです。気軽に気分転換できるものなので、良かったらほっこりしたいときなどに手に取ってみて下さい。

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