連日テニスの錦織選手の快進撃のおかげで、テニス人気が再燃しております。長年のテニスファンにとってもこうした人気は嬉しいものです。
人気のおかげか、民放でも錦織選手の試合は中継されますし、CSなどでは出場試合は彼の出ていない試合も中継してくれています。
そうした中継を見ていると、ふと映る各選手のコーチ陣に見覚えのある顔が!
一番有名なのは何と言っても錦織選手のコーチ(パートタイムですが…)マイケル・チャン氏でしょう。彼がコーチについてから昨年はグッとランキングもアップしましたし、今のテニス人気も彼のおかげと言っても過言ではないかと思います。
少し前には世界一位だったアンディ・ロディックのコーチにアメリカのテニスヒーロー、ジミー・コナーズがついたこともあり話題となりましたね。同じように今コートサイドにはかつてのレジェンドがコーチとして集結しておりますので、今回はコートサイドにいるレジェンド達にフォーカスしてみました。
■世界一を支える元世界一、ブンブンサーブといえば…
現在、不動の世界一をキープしているのが、セルビアのノバク・ジョコビッチ。彼のプレースタイルは、とてもディフェンシブで玄人好みのテニスです。
ベースラインから深く下がり、相手のウィナーも前後左右に取りまくり、最後には自分のモノにしてしまいます。まるで蜘蛛の巣にかかったかのように絡め取られて相手がダメになってゆく姿は、今回も何度も目にしています。錦織選手のように派手なウィナーは少なく、どちらかというと相手のミスを誘うようなカウンタープレーヤーです。
そんな彼がコーチに招聘したのはなんとかつて”ブンブンサーブ”で一世を風靡したボリス・ベッカー氏。写真で見ると本当にベッカーなの?というくらい太ってしまっておりますが、間違いなくベッカー氏です。
■ボレーの名手フェデラーが師事するのも元世界一…
オールマイティなプレーヤーで本人も生けるレジェンドと化している現在世界2位のフェデラーがコートとして招聘したのは、グラスコートの王者ステファン・エドバーグ氏。
フェデラーの幼少時代のアイドルといえばエドバーグ氏だったらしく彼曰く「一緒に時間を過ごす機会があるだけでもハッピー」とのこと。その気持ちわかります!
歳をとってロマンスグレーになった頭髪もまたダンディ!コーチ姿もとても紳士でかっこいいのは当時のままですね!
■サンダーサーブで世界を魅了、世界2位まで上り詰めたコーチ
昨年の全米では決勝で錦織選手が残念ながら敗れてしまいましたね。決勝戦やぶれたマリン・チリッリ選手は長身でとても良いサーブを繰り出しており、錦織選手の得意のリターンゲームもうまくブレイクできませんでした。
そんなチリッチ選手のコーチは往年の名選手、ゴラン・イバニセビッチ選手です。サンダーサーブでウインブルドンのプレー期間中100本以上のエースを叩き込み、戴冠したのを私も鮮明に覚えています。
チリッチ選手も師匠よろしく、きわどいコースに攻撃的なサーブをいくつも叩き込んできましたね。
■他にもこんな組み合わせも
マレー選手もウィンブルドンを制した際にはイワン・レンドル(元世界一)をコーチをつけておりました。レンドル選手は多くの4大大会を制してきましたが、芝を苦手としており一度もウインブルドンを優勝で飾ることはありませんでした。コーチとしてウインブルドンに戻ってきて愛弟子が賜杯を掲げるのを見るのは格別だったに違いないですよね。
■コーチの役割とは?
ここで疑問に思うことが一つ。ジョコビッチ選手もフェデラー選手も、現代テニスを極めた選手です。そんな彼らがレジェンドとはいえかつての名選手にコーチを受けて技術的に学ぶことがどれほどあるのだろうということです。
フェデラーに関してはボレーの技術に関しては、並ぶものがないくらいに洗練されていますし、サービスアンドボレーのプレースタイルのエドバーグ氏のプレイスタイルは今や時代遅れになってしまっております。
それでもトップ選手の彼らがこぞってレジェンド達にコーチを依頼するのは何故なのでしょうか?その答えは彼らのプレイ中の目線に隠されているようです。
錦織選手もジョコビッチ選手も辛いポイントの際にはコーチのいるスタンドを見つめています。そんな時、彼らレジェンドは大きな声で鼓舞したり、時には目線すら合わせないで無視するような態度で彼らに接しています。
コーチはそういった態度で、「お前なら出来る!」「そんなことできて当然だ」と様々なサインを常に送っています。かつて、世界を制した彼らだからこそ、大事なポイントでどう振る舞えば良いかを知っているのです。勝者のみが知る、そうした大事な場面での振る舞いを彼らから学んでいるのです。
プレイの技術のアドバイスはもちろんのこと、そうしたメンタルコンディションの整え方や、厳しい試合の中での心の整えかたの経験をトッププロは彼らに求めているのではないでしょうか?
これから全仏などでも彼らのそういった様々なアクションが見られると思いますので、時にはコートサイドのレジェンド達にも目を向けてみても面白いのではないかと思います。