いよいよ2018年クレーシーズンも本番に差し掛かり、全仏に向けて各選手ギアを上げてきましたね。先日のムチュアマドリッドの錦織対ジョコビッチ戦も錦織選手はストレート負けでしたが、内容的には今年初めの試合と比べると格段に内容が良くなっていました。
サーブの確率も良く、錦織選手が悪かったというよりは、ジョコビッチ選手の内容が上回っていたというだけのような気がします。最近は結果が出ていませんが、元世界ナンバー1というだけあって各ショットの切れ味はさすがでした。
二人は昨年までユニクロのウエア契約をしていましたが、2017年シーズンからウエアをラコステに変更しています。プロのプレーヤーのイメージとウエアのイメージというのは消費者にとっては結構強烈に頭に残っているもので、特に全盛期を過ごしたプレーヤーのイメージ、例えばアガシだったらナイキとか、サンプラスだったらセルジオタッキーニという具合にセットで映像化されているのではないでしょうか?
ジョコビッチ選手ももう一度、トップに輝くようなことがあればラコステのイメージに塗り替わるかもしれませんね。
彼はシューズもアディダス契約からアシックスに変更していて、怪我を機にエクイップメントを一新しています。こうして怪我などを理由にラケットやシューズを変更するということもありますが、毎年カラーリングなどを変更するのがナダル選手。
全仏シーズンになると使っているピュアアエロ(以前はアエロピュアドライブ)のペイントが変更されます。特に今年の大会は全仏10勝を達成した10勝モデル(DECIMAとは10回目という意味)となって蛍光イエローと赤黒というド派手なカラーリングとなっています。ラケットを製造するバボラ社は全仏と全英モデルをほぼ毎年(発売しない年もありますが)発表しています。
プロ選手はそれに合わせて各選手用のモデルを提供されるのですが、そのシーズンだけペイントだけ変えたモデルを使用しています。各ラケットメーカーも年が変わると最新ラケットを発表しますが、各選手はそれに合わせて毎年ラケットを最新モデルに変えている訳ではありません。
でも選手は毎年最新ラケットつかっていますよね?
あれっと思いませんか?
種明かしとしては各選手は毎年出される新モデルではなく使い慣れたモデルに最新のモデルの塗装をしてもらっているのです。これをペイントジョブと言いますが、各選手が活躍すればするほど新モデルは売れますので、毎年新モデルは登場します。
ただ、選手は使い慣れたギアがもちろんいいので使い慣れたラケットに最新のペイントを施して試合に臨むのですが、明らかにラケットの形状が違うなどすると、マニアックなファンにはわかってしまうので一苦労ですね。
現在故障中のヘッドの契約のマレー選手などは、ラジカルツアーという自身のモデルを製造してもらっていますが、実際に使っているのはプレステージというモデル。ナダル選手も今はどうかわかりませんが、前のモデルに最新のカラーリングをして使っていた時期がありました。
メーカーならまだいいのですが、契約上、色だけ塗り替えて他者のメーカーのラケットを使うプロも中にはいたりもします(誰とは言いませんがw)。そういう選手は大概いい結果が残せず、ランキングも下がり謎のラケットからいつの間にか他社メーカーにギアチェンジしているものなのですが、変化についてゆけない選手はうまくゆきません。
ここ数年のギアの変化は凄まじく、以前の感覚のままプレーしたいという選手の気持ちはわかるのですが、ギアの恩恵に預かれない選手は自然と淘汰されていってしまうのではないかと思います。フェデラー選手はそういう意味ではメーカーと協力してギアチェンジのいい波に乗れたと思います。
ラケット自体にパワーのない硬くて重い旧モデルから、軽くて(といっても340gもありますが)パワーアシストのある少し面の大きなモデルに変更したことでスピード化した現代テニスに自身をマッチさせてきました。
フェデラー選手のような大物になると、黒塗りの謎モデルなどを(新モデルの開発段階)使っていると話題になってそのモデルが逆に爆発的に売れたりしますが、20位以降の選手などはそういった大物と同じモデルを自己用にチューンしてもらって使っています。これをプロストックというのですが、オークションなどにたまに出回ったりしているので、チェックすると面白いです。
最近はテレビ中継もラケットを結構映しますのでクレーシーズンもそういう場面に注目してみても面白いかもしれません。