「冬至にかぼちゃを食べると風邪を引かない。中風(脳卒中)にならない」。
そんな話、聞いたことありませんか?かぼちゃはもともと夏が旬の野菜。しかし、青菜類に比べると格段に保存がききます。かつてはちょうど冬至の頃まで日持ちすること、さらにその時期に緑黄色野菜が稀少だったことから、冬至に食べることが尊ばれる風習が根付いたともいわれています。
実際、かぼちゃはビタミンC、カロテンなどが豊富で、風邪予防が期待できる優れた食材。漢方の世界でも、体を温め、気を補うかぼちゃは、慢性の疲労感や便秘などに効果が期待できるといわれています。冬至に食べることは、体にとって理に叶っているというわけですね。
単品で煮たり、お肉のそぼろをかけたりと、かぼちゃの煮物はご家庭によっても違いがありそうですが、冬至のかぼちゃの食べ方としてよくあるのが「いとこ煮」です。これは、小豆と合わせているところがポイント。一説によると、煮えにくい順に鍋に"追々"入れていくことが"甥甥"に転じ、「甥=いとこ」になったとか。なんともユニークですね。
さらに、地域によっても若干アレンジが異なります。秋田県の鹿角では、小豆とかぼちゃの他にもち米や砂糖、塩を加え、ちょっとお汁粉のような雰囲気になります。ちなみに小豆は、その赤い色が邪気を祓うものとして昔から伝承されてきた縁起もの。
地域によっては「冬至には小豆粥がよい」と、かぼちゃから主役の座を奪っているケースもあるんです。かぼちゃと同様に食物繊維も豊富で、新陳代謝を促し、むくみの解消などにもオススメな食材です。
北陸地方のいとこ煮は、根菜やこんにゃく、油揚げなどを煮たものに、あらかじめ下茹でしておいた小豆を加え、しょうゆや味噌で味付けしたもの。これはイメージしやすいですね。山口県萩の場合は、昆布などのダシに砂糖やしょうゆで味を整えて、小豆と白玉団子を加え、冷ましてから食します。こちらはお雑煮に近い感覚といえそうです。
関東地方では比較的なじみがない「いとこ煮」ですが、ぜひ今年の冬至にお試しください。