節分とは、それぞれの季節が始まる前日のこと。季節が始まる日は立春、立夏、立秋、立冬と年4回あるので、厳密にいうと節分も年4回あるんです。
立春は、古代中国から伝わる「二十四節気」という季節の分け方に置いて、最初の節が始まる日のことをいいます。つまり、現在で言うところの大晦日に匹敵するような、一年の大きな節目なんですね。同時に、季節の変わり目には邪気(鬼)が生じやすいといわれていたため、平安時代では宮中で厄祓いをする「追儺(ついな)」という儀式が行われていました。これは、方相氏(ほうそうし)と呼ばれる怖いお面をつけた人が、悪霊を追い払うもの。もともと"怖い側"が追い払う役だったのが、いつしか立場が逆転して「鬼」に転じ、「豆撒き」のルーツになったといわれています。
ではなぜ、豆なのか?豆は「魔滅(まめ)」であるという風習が中国から伝わり、邪気を祓うものと言われてきた説が有力です。さらに撒くのは、炒った豆ですよね。「炒る」が「射る」に通じていると同時に、火を使って炒ることで鬼を封じ込めることができるから、と言われています。
しかし面白いのが、広く伝わっていくうちに地域色がついた習わしになること。たとえば北海道をはじめ東北などの北国では、よく落花生が豆撒きに用いられます。これは「雪深い中でも拾いやすく、食べやすいから」「カロリーが高い落花生は、寒さの中でエネルギー源となるから」など諸説あるようです。また、「年の数だけ豆を食べる」ということは全国区の風習ですが、地域によっては「年の数+1個」だったりと、これも特色があります。
そして、恵方巻。その年の恵方の方角を向いてかぶりつくことで福が授かるというものですね。今年の恵方は「南南東」です。もともとは「福を(海苔で)巻き込む」ゲン担ぎがルーツといわれており、関西圏でポピュラーな習わしですが、近年は全国に普及してきましたね。また、恵方は「その年のめでたい方角」ということもあり、その方向に向かって豆を投げたり、お神酒を飲んだり、室内の恵方の方角にお札を貼ったりしてもご利益があるといわれることもあります。
また、窓や玄関先に、葉の尖った「ひいらぎ」や、臭みのある「イワシの頭」を魔除けとして置いておくことで、鬼が退散するという習わしも。豆を体にこすりつけて厄を移し、街の十字路や川などに置いてくるといった面白い風習も地域によってみられるようです。