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特集記事【2008年1/20日号】

現代の日本人の生活様式は欧米化し、家庭でもオフィスでも椅子に座っていない時間というのは極端に少なくなっています。起きている時間のほとんどの時間、体を預けている椅子。あなたは椅子について、こだわりはありますでしょうか?

さて、一口に椅子と言っても、家の中でもたくさんありますよね…座椅子にソファー、ダイニングチェアに書斎で使うOAチェアなどなど。今回は家庭での一番の癒しを感じる空間であるリビングに焦点をあてて、リビングに置くと素敵な世界の名作と言われる椅子を紹介しようと思います。

存在感のある椅子が一つあると、リビングも一段とおしゃれに見えることでしょう。

近年よく耳にするミッドセンチュリーデザインという言葉。これは直訳すると「世紀の半ば」ですが、1940〜1960年代、アメリカを中心に沸き起こったデザインムーブメントを指す言葉になります。シンプルな造形で、オリジナリティのある素材を使い、ポップな色づかいのものが多いのが特徴です。

これらは過去の過剰な装飾をよしとする風潮のカウンターカルチャーとして生まれ、合理的で、機能的なものが好まれていました。時代背景としては当時だんだんと大衆消費社会になり、急速に機械化、自動化していく中で、より工業的・技術的な視野からのデザインというものに注目が集まってきた時期と言えるでしょう。

この時代を代表する近代建築の三大巨匠として名高いのが国連ビルのデザインをしたル・コルビュジエ、帝国ホテルなどのデザインを手がけたフランク・ロイド・ライト、そしてニューヨークのシーグラムビルなどを手がけたミース・ファン・デル・ローエの3人。後ほど紹介するバルセロナチェア、LCシリーズの作者もこの近代建築家によるもので、現在のデザインチェアムーブメントの柱となる人たちでもあります。

今から50年以上も前のデザインですが、時を超えて人々に愛されるのは、そこに流れる「椅子」としての機能性が、けして色あせることのない美しさを感じさせるからでしょう。彼らの建築はモダニズム建築と呼ばれ、現代の建築の基礎となるものです。もちろん、今あなたがお住まいのマンションのデザインにもそのエッセンスが組み込まれています。ゆえに彼らのデザインする椅子もまた、時を超えて我々の住む住環境にとてもマッチするのではないでしょうか。

世紀を超えて愛されるチェアたちをそれではご紹介しましょう。
     
まず最初にご紹介するのはその三大巨匠の一人、ミース・ファン・デル・ローエの作品、『バルセロナチェア』。

彼はドイツ生まれの建築家で“Less is more.” (より少ないことは、より豊かなこと)という標語で知られ、直線的な構造物の建築物を多く残し、現代建築に影響を与えています。1950年に立てられた四方をガラスの壁で囲んだファンズワース邸はユネスコ世界遺産にも登録されています。

1929年のバルセロナ万国博覧会で建設されたドイツ館(現在はバルセロナ・パビリオンとなっています)のデザインを手がけ、その際にスペイン国王夫妻を迎えるために作られたチェアが、このバルセロナチェアになります。

チェアの中心部のクロスするラインはローマ時代の権力の象徴のはさみを意味し、スペイン王室の『力』を表現しているとも言われます。最小限のデザインでありながらも、ちょっとした部分にもそういった暗喩を入れ込むことでデザインに意味を持たせるのは、巨匠ならでは。

シンプルで上質なデザインを追求する彼が残した言葉に『細部に神が宿る』という言葉があります。日本家屋のデザインも必要性から生まれる機能美であり、ミースが考える美とも調和します。こうした共通の美意識が日本人の感性に訴えかけるのかもしれませんね。
 
次にご紹介するのが、ニューヨーク近代美術館にも所蔵されている現代美術とも言えるソファー、ル・コルビュジエの名を冠する『LC2』です。ル・コルビュジエは日本とも関わりが深い建築家で、上野の国立西洋美術館は彼のデザイン。彼は現代の鉄筋コンクリート建築のデザインの基礎を築いた巨匠で、平面による単純な構成で快適さを追求しました。

ポリッシュクロームのモダンな印象と、リラックスできる快適な性能をかね備えたLC2は別名「Grand Confort(グラン・コンフォート)」とも呼ばれます。コルビュジエの名で知られますが、この椅子の実際のデザインは当時コルビュジエの事務所で働いていたシャルロット・ペリアンによるもの。シャルロット・ペリアンは戦前、日本の商工省が輸出工芸指導の顧問として招聘した人物でもあり、コルビュジエとともに日本の建築やデザインに大きな影響を与えた人物です。

肝心のソファーの座り心地は見た目の堅そうなイメージと違い、本革による滑らかな質感と、心地よい堅さのクッションのコンビネーションで、スタイリッシュな外観ながらも、優しい座り心地でリビングに凛とした安らぎを与えてくれます。80年近い時を経ても色あせないデザインは、リビングに重厚な質感を与えてくれる逸品です。

ご家族が多い方のリビングのメインソファーとして、ソファーベッドがわりにゴロっと寝転ぶにも十分な大きさのこのソファー。リビングの中心にデザインの息吹を入れてみるのはいかがでしょうか。
 
ミッドセンチュリーデザインと言えば、イームズを抜いては語れません。ミッドセンチュリーブームに火をつけたシェルチェアを始め、オフィスチェアの原点、アルミナムチェアなど現代のデザインチェアの礎を築いたと行っても過言ではありません。多くのチェアはコルビュジエのチェアなどと共にニューヨーク近代美術館にも所蔵されています。

さて、CMやドラマでは必ずと言っていいほど使用されるこの人気の椅子、ラウンジチェア。美しい曲線を描くプライウッド(樹脂合板)と柔らかなクッションとの組み合わせで、体を包み込みます。究極のリラックスチェアとして名高いこの椅子は座面が深いチェア部分に身を委ね、オットマンに足を預ければ極上の安らぎを約束してくれることでしょう。

存在感もたっぷりでデザイン性も高いこの椅子はリラックス用にリビングに設置、音楽鑑賞用に書斎におくなど、特別な空間に最適のソファーです。

もともとこの椅子は、イームズが『アパートの鍵貸します』などで1本の映画でひとりの人物が3つのオスカーを受賞した伝説の映画監督、ビリーワイルダーのためにデザインしたといわれております。 イームズが友人のビリーワイルダーにアカデミーショー監督賞を受賞した際にプレゼントしたチェアで、今では尊敬する人への贈り物としてアメリカでは扱われているそうです。

優しく体を包み込むリラックスチェア、自分だけの特別な空間づくりに1脚いかがでしょうか。
 
最後に今最新のトレンドチェアをご紹介したいと思います。欧米のセレブリティや有名ホテルなどにバイイングされるデザインチェアがついに日本に上陸しました。現代の大量生産の製造業の陰に隠れ、埋もれていたクラフトマンシップやノウハウを発掘し、デザインとのコラボレーションを実現した『CRAFACTOR』の商品たち。

チェア表面のモザイクタイルは、なんと職人による手作業。ひとつひとつ曲面に合わせて丁寧に貼付けられています。タイルの組み合わせによって生まれる微妙なカラーリングまで計算された美しい仕上がりはまさに芸術。手作業によって生まれる世界にふたつとない、究極のオリジナルチェアです。

機能性と遊び心との融合によって生まれたこのチェア、一見かなりの重量を感じさせるのですが、ベース素材となるファイバーグラスとポリエチレンのモザイクタイルによって室内フローリングなどにも問題なく設置できるようになっています。こういったハイテクノロジー素材と、職人技の融合によって出来上がる美しいデザインチェアは、新時代の技術と伝統技術の融合でもあり、まさに今この時代にしか手に出来ない椅子と言えるでしょう。

友人達が集まるダイニングや、リビングに、または水などにも強く屋外でも使用でも可能なので、テラスなどでの使用も素敵ですね。欧米ではプレミアまでつくモデルが登場するなど人気のCRAFACTOR。一足早く流行のチェアを手に入れてみませんか? 
     
今回上記のデザインチェアなどの画像協力や情報を頂いたメーカー・ブランドのご紹介です。
上記のデザインチェアはもちろん、他にも様々な素敵な商品を取り扱っておりますので、
インテリアにご興味のある方はぜひご覧下さい。

「Transmitters」は、20代後半から40代前半のお客様をターゲットとしたイタリアンモダンをコンセプトに、ソファおよびベッドのデザイン・製造・販売を行っているインテリアブランド。

インターネット販売において確固たるブランドの地位を築き、家具店やインテリアショップからの引き合いも多く、現在では実店舗でも当ブランドのソファやベッドを触ってみて購入できる環境を提供しています。

トランスミッターズ(http://www.transmitters.jp/

デザイン先端都市、NY、ミラノのデザインファアームで11年間精力的に活動した“Mr. Eggarat”により2002年に設立されたブランド。2007年に日本総代理店『CRAFACTOR JAPAN』設立により、日本でもクラファクターの家具が手に入るようになりました。

特徴的な曲線美はとても自然で抽象的。感性と機能性を高次元に融合し、特有の暖かみを感じさせます。汐留イタリア街にあるショールームでは実際商品を手に触れて、体感することができます。完全予約制になっており、ご予約は下記ホームページよりどうぞ。

CRAFACTOR JAPAN(http://crafactor.jp/

今後の特集の参考にさせていただきます。
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