まず素朴な疑問として挙がるのは、どうして「鳥」でなくて「酉」なの?ということ。十二支は酉に限らず、ねずみは「子」、牛は「丑」など、動物とは異なる漢字が充てられています。
一説によると、十二支の漢字は植物の様子を表しているといわれています。最初の「子」は、種の中に小さな命が育まれた状態。そして「酉」は、作物の実り。最後のイノシシ「亥」は"核"、すなわち生命が種として閉じられた状態です。
なお「酉」は「酒」の字にも似ていますよね。そのつくりは、お酒の壺がモチーフになっているそうです。そしてお酒(新酒)ができるのは10月。干支でも酉は10番目です。後付けなのかもしれませんが、なんとも上手くできてるな、と感じますよね。
ちなみに十二支は、方角や時間帯を表すモノサシとしても使われてきました。よく聞く言葉だと「丑の刻」は午前二時のこと。方角では北東、すなわち「鬼門」の方角を「丑寅(うしとら)」なんて言い方をします。鬼のパンツが虎柄なのも、この方位に由来しているのだとか。さらにその反対の方角に「申(さる)」「酉(とり)」「戌(いぬ)」がいます。これ、よくよく考えると桃太郎の家来!酉が雉に転じてはいますが、まさに鬼退治のサポートメンバーですよね。また、猿と犬は俗に「犬猿の仲」と言われる、相性の悪いものとされていますが、その間を取り持つ(鳥モツ?)ように鳥が入っているのも興味深いところです。
さて、今年はどんな年になるのでしょう?過去の酉年で起こったことをおさらいしておきますと、12年前の酉年は、「iTunes MusicStore」のサービス開始や、「ドラえもん」の声優さんの一斉交代、「ちょい不良オヤジ」や「クールビズ」なんて言葉が流行りました。大きな事故としては、JR福知山線の脱線事故。また、1899年の統計開始以来、はじめて日本の人口が減少した年でもあります。十年ひと昔ならぬ、「ひと干支ひと昔」ですね。
さらに24年前の1993年までさかのぼりますと、皇太子・雅子さまの御結婚、サッカーのJリーグ開幕、ロスタイムの失点でW杯出場を逃した「ドーハの悲劇」も起きました。レインボーブリッジや横浜ランドマークタワーができたのもこの年です。なにせ流行語が「コギャル」「インターネット」ですから、なんとも時の過ぎ行く早さを感じるものですね。