日本における鉄道の歴史を感じさせてくれるような、牧歌的な風景が広がるとっておきのスポットがあります。群馬県と栃木県を走る、わたらせ渓谷鐵道です。
沿線に広がる四季折々の自然に、時期に応じて運行されるトロッコ列車。首都圏からだと浅草駅発の東武特急両毛号で容易にアクセスできるとあって、のどかな電車の旅を楽しみたい方に人気です。同鐡道を利用して日光や足尾銅山などに足を伸ばすこともできます。
春は、渡良瀬川に沿って伸びる沿線が、うららかな日差しの中で色づく季節。桜や花桃の木が多いため、車窓からの眺めもいい感じです。特に下車をおすすめしたいのは水沼駅。この駅は「関東の駅百選」に選ばれるほど個性的な駅。駅のホームのすぐ脇に、温泉施設「水沼駅温泉センター」があるんです。
渡良瀬川の対岸と、周囲の自然を眺めながらのんびり疲れる浴室。この温泉目当てに訪れる人も少なくありません。そして、この駅周辺には河津桜から雅桜、ソメイヨシノ、十月桜、枝垂れ桜、八重桜、フゲンソウ桜など、約300本の桜が迎えてくれます。品種と咲き時が異なるため、3月中旬から約1か月にわたり、桜を楽しめる点も魅力。電車と桜を同時に収めようとする写真ファンも多く訪れています。
駅の程近くにある黒保根運動公園の周辺にも多くの桜が咲き、渡良瀬川と桜並木の競演も見事。ぜひ周囲をのんびりと散策してみてください。
ここで散策と温泉を楽しみ、さらにお時間が許すなら、水沼駅からさらに4駅ほど進み、神戸(ごうど)駅へ向かいましょう。駅周辺の見どころは、約300本の花桃。例年4月上旬頃に開花し、4月中旬の土日には花桃まつりが開催されます。神戸駅のホーム脇には、かつて東武鉄道特急「けごん」として活躍した車両があり、改装されてレストランになっていますので、そこで腹ごしらえをするのもよさそうです。
絵に描いたように「のどか」な桜の風景を、ぜひ同鐡道の旅でお楽しみください。