群馬県北部にある、みなかみ町。豊かな温泉がそこかしこで湧く地域として、冬hスキーやスノーボードを楽しめる地域としても知られています。首都圏近郊から苗場スキー場へ向かう際にも通る地です。
そんなみなかみ町にある法師温泉は、知る人ぞ知る一軒宿の秘湯。今回ご紹介するのは「法師温泉 長寿館」です。
同館の開業は明治8年。館内に足を踏み入れると、吹き抜けの玄関には明治の歌人たちの書額や神棚などが飾られています。季節によって飾りものが変わるところも、古き良き日本を感じさせてくれる魅力のひとつ。さらに、玄関の脇には昔懐かしい囲炉裏端がしつらえてあります。
常に薪がくべられ、茶釜の湯が沸く音と相まって、落ち着きのある雰囲気を醸し出しています。
なお、本館と別館は、国登録の有形文化財に指定されており、歌人・与謝野晶子が逗留した間も人気。
昭和53年に法師川沿いに建てられた薫山荘も風情があり、女優の夏目雅子さんがこよなく愛したお部屋も健在。また、スウェーデンの皇太子が泊まった部屋を擁する法隆殿は、ワンランク上の気分が味わえる宿泊棟です。
弘法大師が教えを広める旅の途中で発見したといわれる「法師の湯」は、同館のメインといえる湯殿。明治28年に鹿鳴館様式で建てられた建築は、1世紀以上の時を経て、今だなお峻烈な魅力を放っています。湯船の下に敷き詰められた玉石の間から温泉が自然湧出するスタイルです。
JRが国鉄だった頃、フルムーンキャンペーンのポスターに採用されたことで一躍知名度が上がりました。
他にも、総檜造りの「玉城乃湯」や露天風呂もあり、ひとつの宿で湯めぐりを楽しむことができます。
なお「法師の湯」は、脱衣所は男女別ですが湯船は混浴。「玉城乃湯」は男女時間交代制です。他に女性専用風呂の「長寿の湯」があります。
日常のストレスから解放される、山奥にひっそりと佇む一軒宿。
周辺には、三国街道の宿場町だった永井宿郷土館や、三国路与謝野晶子紀行文学館もあります。ぜひ心ゆくまで温泉と歴史の風情をお楽しみください。