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特集記事【2021年10/20日号】

読書の秋です。コロナ禍ということもあり、インドアライフを充実させるため「しばらく本から離れていたけど再び読書を始めた」という方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今月は"本"をテーマに据えました。日本は公立図書館が充実しているため、実際に本を借りて読みたい場合は、お住まいから近くの図書館に足を運べば済みます。

しかし、自宅からは少し離れているけど、わざわざ足を運んでみたいと思わせる"本にまつわるスポット"があります。実際に読書ができるところもあれば、ミュージアムと図書館が合わさったような施設や、美しい建築や本棚を眺めるだけで充実した気持ちになるようなところもあったりと、実に多種多彩です。

本に囲まれて過ごす休日を、ぜひこの秋、満喫してみませんか?
"日本一美しい本棚"と呼ばれる書架を眺めてみたいなら、東京都文京区にある東洋文庫ミュージアムがおすすめです。 東洋学とは、古代オリエントや中国、インドなどの歴史や文化などを研究する学問のこと。1924年に設立された東洋文庫は、これまで東洋学に関する様々な文献・資料を収集してきました。その蔵書の数は、約100年間でなんと100万冊。東洋学に関しては、世界で5本の指に入る規模を誇ります。

"研究図書館"という性質上、主な利用者は学者に限られていましたが、より広く東洋学の面白さを知ってもらう目的で、2011年にミュージアムとして開館。一般開放されました。

書籍の面白さもさることながら、このミュージアムの大きな魅力は"本にまつわる空間"そのものを楽しめること。最大の目玉は"日本一美しい本棚"と呼ばれる「モリソン書庫」です。1917年、東洋文庫の創設者、岩崎久彌が、G. E. モリソン博士から約2万4千点の書籍や絵画等を購入。きちんと管理されるべき貴重なコレクションのため実際に書物に触れることはできませんが、童話のように美しい本棚は一見の価値があります。

その他、貴重な古書が並び東洋文庫のこれまでの歩みがわかる映像が上映されているオリエントホールをはじめ、展示物保護のため照明を極限まで落とした「回顧の道」、浮世絵の名品が展示されている「岩崎文庫」、発見≠テーマにした書物が並ぶディスカバリールーム、東洋文庫と小岩井農場が共同でプロデュースする洋風レストラン「オリエント・カフェ」など、見どころが盛りだくさん。

ミュージアムのある本館建物とレストランとをつなぐ中庭には、シーボルトの『日本植物誌』に掲載されている実物の木々や花が植えられています。

現在、ミュージアム開館10周年を記念して、東洋文庫名品展〜「東洋学」の世界へようこそ〜を2022年1月16日(日)を開催中。マルコ・ポーロの『東方見聞録』や杉田玄白の『解体新書』など「教科書で見たことある!」と感じる名品の数々が公開されています。

数ある所蔵品のうち最古の『甲骨卜辞片』も必見。紀元前14〜11世紀頃、動物の骨などに占いたい内容を文字で刻み、加熱してできたヒビで占った甲骨の実物が公開されています。

読書好きな方はもちろん、日本一美しいといわれる本棚や、歴史的価値の高い逸品を眺めてみたい方も、ぜひ足を運んでみてはいかがですか?隣には六義園が広がっているので、紅葉狩り散歩も併せてお楽しみください。
■東洋文庫ミュージアム
2020年、埼玉県所沢市にオープンした「ところざわサクラタウン」は、KADOKAWAが手掛ける複合施設。日本最大級のポップカルチャー発信拠点として、オフィスやホテル、劇場、ショップ&レストラン、体験型書店「ダ・ヴィンチストア」、さらには鳥居が連なる神社まで揃っています。

中でもひときわ目を引くのが、隈研吾氏が建築を手がけた角川武蔵野ミュージアム。博物館であり、美術館であり、図書館でもあり、さらにはアニメミュージアムとしての顔も持つ、文化複合施設です。

まずは同施設の象徴的スポット「本棚劇場」から紹介しましょう。高さ約8mの巨大本棚に囲まれた空間、そこにはKADOKAWA刊行の書籍をはじめ、創業者である角川源義文庫、山本健吉文庫、竹内理三文庫、外間守善文庫ほかの個人蔵書がズラリと並んでいます。蔵書の数は約5万冊。ぜひ中央に立って、本、ひいては人類の"知"のパワーに圧倒される感覚を味わってみてください。

なお同エリアでは、定期的に「本と遊び、本と交わる」をコンセプトとしたプロジェクションマッピングを上映していますので、こちらもお見逃しなく。

実際に本を手に取って読めるエリアもあります。1階のマンガ・ラノベ図書館は、日本で一番ラノベ、すなわちライトノベルが読めるスポットです。マンガと併せて約2万5千冊を所蔵しており、ラノベや漫画の分類ジャンルの開発など多彩なアプローチで楽しめます。

本棚劇場へ連なるかたちで構成されているエディットタウンも、タウン内であればどこで読んでもOK。通常、図書館の本棚といえば「歴史」「文学」などでカテゴリ分けされていますが、同タウンはオリジナルな9つのカテゴリで分類され、約2万5千冊の本が並んでいるのが面白いところ。本棚のデザインをはじめ、本のレイアウトや小物などにも工夫が凝らされ、賑やかで楽しい空間が生まれています。

他にも、日本が世界に誇るアニメ文化を独自の切り口で紹介する「EJアニメミュージアム」や、作家であり蒐集家としても知られる荒俣宏氏が監修した「荒俣ワンダー秘宝館」、さらにカフェやレストラン、グッズショップも充実しています。

読書にとどまらず、マンガやアニメなどエンターテイメント文化そのものを体感できる同ミュージアム。ぜひ一度、足を運んでみてください!
■角川武蔵野ミュージアム
ホームページ:https://kadcul.com/
Web通販の台頭によって、窮地に立たされている本屋さん。その一方で、しっかりとオリジナリティを打ち出して、注目を集めている書店も少なくありません。

昔からの書店街、神保町にある「ブックハウスカフェ」は、2017年にオープンした子どもの本の専門店。小さなお子さん向けの絵本から、小学校高学年の子が読む書籍まで1万冊以上が本棚に並んでいます。

1階中央にはソファとテーブルが並んでおり、カフェスペースとして利用されています。お茶したり、カレーを食べたりしながら、購入した本をさっそくここで読んでいる親の子姿も珍しくありません。

また、店内ではイベントも随時開催。絵本の読み聞かせや読書会をはじめ、作家のトークショー、さらにピアノも設置されていることから音楽イベントや、けん玉教室が催されることも。さらにギャラリースペースも3つあり、絵本の原画展や展示も開催されています。絵本を購入するだけでなく、人が集まり、何か"楽しそうなこと"に出会える場所として機能しています。ちなみに、店の奥には隠れ家のようなバースペースもあり、そこは一転して大人のムード満点です。

次に紹介するのは、カルチュア・コンビニエンス・クラブが運営する蔦屋書店です。スターバックスコーヒーが併設され、今では一般的になった「本×カフェ」業態の先駆けといえるでしょう。

代官山蔦屋書店に併設されたスターバックスコーヒーの場合、1階にあるすべての本を購入前に読むことができます。また、同店は本以外も充実。音楽フロアや映画フロア、世界のペンが並ぶステーショナリーコーナー、さらには旅行の手配ができるトラベルカウンターまで用意。2階のラウンジ「Anjin」は、貴重なアートブックや雑誌、アートに囲まれた空間にゆったり座れるソファが配置され、飲み物や食事などを楽しむことも可能です。

蔦屋書店は銀座、六本木、中目黒などにもあり、それぞれ画一的ではなく個性豊かなインテリアデザインが施されています。品ぞろえの違いなども楽しみにしつつ、巡ってみるのもよさそうです。
■ブックハウスカフェ
ホームページ:https://bookhousecafe.jp/
■代官山蔦屋書店
今後の特集の参考にさせていただきます。
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