続いても"にごり湯王国"栃木から。那須塩原市を流れる箒(ほうき)川に沿って点在する11の温泉地は、総称して「塩原温泉郷」と呼ばれています。
開湯から実に1200年もの歴史を持つ名湯として知られ、宿が約60軒に対して源泉の数は150ヵ所以上。
源泉によって泉質が異なることもあるため、効能別にお好みの湯をチョイスできるというわけです。今回は塩原温泉郷の一番奥に位置する秘湯、塩原元湯温泉をご紹介しましょう。
"元湯"とついているのは歴史が古く、塩原温泉の発祥地と言われているから。江戸時代、地震によって一度は埋没しましたが復興を遂げて今に至ります。現在はひっそりと3つの宿が軒を連ねており、このうちご紹介するのは「塩原温泉 大出館」です。
同館の温泉は自家源泉で、天然の源泉100%のかけ流し。成分が強いため壁は傷みやすく、テレビや暖房など宿の電化製品もすぐに壊れてしまうのだとか。その分、効能が高く、昔から胃腸によく効くという評判で長期滞在のお客も多いのが特徴です。まさに"湯治場"といえるでしょう。
浴槽は8つあり、それぞれ効能が異なります。日本で唯一の名湯といわれている「墨の湯」は、鉄分をたっぷりと含んだ風呂。
含鉄泉は全国各地に点在していますが、その大半は赤褐色。ここまで黒い湯は本当に珍しいです。リウマチや糖尿病、関節痛、神経痛によいとされ、貧血気味の女性は飲むことでも高い効能が期待できます。
ちなみに、天然温泉では「湯の花」が浮いていることがありますよね。通常は白色ですが、この湯は湯の花も黒!珍しさから、黒く染まったタオルを記念に持ち帰るお客もいるそうです。なお「墨の湯」は混浴ではありますが、女性専用の時間帯も設けられているので安心ですよ。
「墨の湯」以外のお風呂は、晴れるとエメラルドグリーンや乳白色を帯び、雨が降ると灰色に変化するというなんとも不思議な温泉で、「墨の湯」を含めて「五色の湯」といわれています。
野天風呂は神経痛、御所の湯は胃腸の病、平家かくれの湯は糖尿病、子宝の湯は婦人病など、症状に合わせて湯を満喫することが可能です。
日帰り入浴もできますので、ぜひ一度、カラダのリフレッシュ&メンテナンスをしに出かけてみてください。