続いてご紹介するのは、ヤマザクラの名所。茨城県桜川市の「高峯(たかみね)の山桜」です。
「ヤマザクラが山肌を覆う風景」は、もしかすると関西にお住まいの方のほうが馴染み深いかもしれません。和歌にも詠まれ、"一目千本"と呼ばれる「吉野山の桜」があまりにも有名だからです。そんな風景を関東で眺めるなら、イチオシはココ。「西の吉野、東の桜川」と称され、ヤマザクラ55万本が市内の山々に自生しています。その象徴的なスポットが、標高520mの「高峯」です。
全山がピンク一色に染まるわけではありません。桜の薄紅色と、芽吹いたばかりの木々の黄緑、モミジの新芽の赤、常緑樹の緑。それらの色が絵の具のように混ざり合い、美しい風景を描き出しています。海の中の「サンゴ礁」のようでもあり、なんとも味わい深いです。
以前から人気スポットの第1展望台、第2展望台に加え、2022年3月には「高峯見晴デッキ」も完成。見頃となるのはソメイヨシノよりやや遅く、例年4月中旬頃となります。
このシーズンは、展望台に行く林道が車両通行禁止となるため、車が通行しない静けさの中、散策を楽しむことができます。
「高峯の山桜」以外にも、櫻川磯部稲村神社、磯部桜川公園、雨引観音などが桜の名所として知られています。室町時代の"能楽"の大家・世阿弥はこの地を題材にして謡曲「桜川」を創り上げました。
花の色やカタチ、匂いなど多種多彩で、11種が天然記念物に指定されていることから「磯部の百色桜」とも呼ばれています。
ソメイヨシノは街のあちこちで見られますが、それとは別に「ヤマザクラ」を満喫するプチ旅を楽しんでみてはいかがですか?