いまだ人類が全貌を知ることができていない未開の地、それは深海。わからないからこそ、ワクワクと心躍るものですよね。そんな深海の生物に特化した展示を行っているのが、静岡県沼津市にある「沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム」です。
「なぜ沼津に?」と思われるかもしれませんが、それには理由があります。沼津が面する駿河湾は、最深2500mに達する日本一深い湾。約1,000種の魚類が生息し、珍しい深海魚も時おり水揚げされています。とはいえ、深海特有の水圧を確保する輸送のハードルは高く、遠方の水族館まで運ぶのは厳しい…生物にとって移動のストレスが少ないこの地なら、と深海水族館が誕生しました。
館内はカテゴリー別にゾーン分けされていて、同じ特徴を持った生き物や同じ種類の生き物を、浅い海・深い海で比較展示しているゾーンや、世界各地の海のヘンテコな生き物を展示しているゾーン、駿河湾に生息する深海生物を中心に展示している駿河湾大水槽、発光能力をもった「ヒカリキンメダイ」が群れて泳ぐ「深海のプラネタリウム」など、小さなミュージアムながらも見どころがとても豊富です。
なお、深海の稀少な生き物を数多く展示している「深い海」ゾーンには、同館一番人気のアイドルといえる「メンダコ」がいることも。底曳網の漁期(10月〜5月頃)に捕獲された際、ここに運ばれて展示されます。2019年には世界で2例目となるメンダコの孵化にも成功しました。ちなみにメンダコがいるか否かは、同館のホームページの「メンダコ情報」をチェックするとわかります。
さらに見逃せないのは"生きた化石"ことシーラカンスの冷凍個体。1981年、日本シーラカンス学術調査隊が現地と協力して捕獲したもので、世界でも類を見ない稀少なものとなっています。現地でシーラカンスが泳ぐ姿を撮影した映像も必見です。
謎だらけの深海ゆえ、もしかすると将来、「生きたシーラカンス」や新種の深海生物が展示されるかもしれません。ぜひワクワクしながらその日を待ちたいものですね!