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特集記事【2023年4/20日号】

「何でも揃っている」大きな美術館もいいけれど、テーマを絞った小さな美術館もオリジナルな楽しさがある…そんな想いでこれまで「小さな美術館」特集を組んできましたが、今回はさらにスケールアップ!美術館だけでなく、博物館や歴史展示館など"ミュージアム"という大きなくくりで3つのおすすめスポットをご紹介します。

誰もが一度は見たことがあるけれど、こんなに一度にたくさん見たことがない!というモノを集めた美術館に、ヘンテコな生物にたくさん出会えて、お子様から大人まで楽しく教養を深められる、ちょっと変わった水族館。あたかもタイムスリップしたような感覚に浸れる、実寸大の展示が楽しい歴史資料館。ぜひ一度、訪れてみてはいかがですか?

雪が舞っているようなキラキラした風景を、丸いガラスの中に閉じ込めたスノードーム。お土産で貰ったり、クリスマスにプレゼントされた経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

そんな古今東西のスノードームを世界で唯一、常設展示しているのが横浜ランドマークタワーにある「スノードーム美術館」です。

スノードームの歴史は古く、最初にお披露目されたのは1889年のパリ万博だと言われています。雪のようにみえるスノーパウダーを入れることが一般的で、サンタクロースやモミの木、雪だるまなどのフィギュアが入っていることも多いため、「冬の置物」といったイメージを持たれるかもしれません。しかし、小さなガラスの中は、とても自由な小宇宙。南国のヤシの木やイルカ、熊などの動物、古いお城やエッフェル塔などの建物や遺跡がそのまま入っているものもあり、全世界で愛されています。

同館のスノードームコレクションは、なんと3,000点以上。シーズンごとに入れ替えて展示しています。右の画像は同館が所蔵している「ジャンポール・ゴルチエ」のスノードーム。

ボタンを押すことで正面の穴から香水が出てくる仕組みです。香水を使った分、スノードームとしての機能は失われていくことになりますが、そんな儚(はかな)さも含めた美しい作品に仕上がっているように思えます。

なお同館では土日にワークショップも実施しています。難しそうに思えるかもしれませんが、はさみが使える方なら誰でもOK。小さいお子様は保護者の方がフォローすれば問題ありません。手ぶらで参加することもできますが、スノードームの中に入れたい写真や小物を持参するのもおすすめ(40〜50mm四方のサイズを推奨。フィギュアなどは厚さ10mm以内推奨)。世界にひとつだけのオリジナルなスノードームづくりにもぜひトライしてみてください。
■スノードーム美術館
ホームページ:https://snowdome-museum.org/
いまだ人類が全貌を知ることができていない未開の地、それは深海。わからないからこそ、ワクワクと心躍るものですよね。そんな深海の生物に特化した展示を行っているのが、静岡県沼津市にある「沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム」です。

「なぜ沼津に?」と思われるかもしれませんが、それには理由があります。沼津が面する駿河湾は、最深2500mに達する日本一深い湾。約1,000種の魚類が生息し、珍しい深海魚も時おり水揚げされています。とはいえ、深海特有の水圧を確保する輸送のハードルは高く、遠方の水族館まで運ぶのは厳しい…生物にとって移動のストレスが少ないこの地なら、と深海水族館が誕生しました。

館内はカテゴリー別にゾーン分けされていて、同じ特徴を持った生き物や同じ種類の生き物を、浅い海・深い海で比較展示しているゾーンや、世界各地の海のヘンテコな生き物を展示しているゾーン、駿河湾に生息する深海生物を中心に展示している駿河湾大水槽、発光能力をもった「ヒカリキンメダイ」が群れて泳ぐ「深海のプラネタリウム」など、小さなミュージアムながらも見どころがとても豊富です。

なお、深海の稀少な生き物を数多く展示している「深い海」ゾーンには、同館一番人気のアイドルといえる「メンダコ」がいることも。底曳網の漁期(10月〜5月頃)に捕獲された際、ここに運ばれて展示されます。2019年には世界で2例目となるメンダコの孵化にも成功しました。ちなみにメンダコがいるか否かは、同館のホームページの「メンダコ情報」をチェックするとわかります。

さらに見逃せないのは"生きた化石"ことシーラカンスの冷凍個体。1981年、日本シーラカンス学術調査隊が現地と協力して捕獲したもので、世界でも類を見ない稀少なものとなっています。現地でシーラカンスが泳ぐ姿を撮影した映像も必見です。

謎だらけの深海ゆえ、もしかすると将来、「生きたシーラカンス」や新種の深海生物が展示されるかもしれません。ぜひワクワクしながらその日を待ちたいものですね!
■沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム
ホームページ:http://www.numazu-deepsea.com/
 
東京の深川・清澄白河界隈といえば、「ブルーボトルコーヒー」をはじめとしたスタイリッシュなカフェや木場公園、さらには東京都現代美術館があったりと、イマドキな雰囲気を味わいながらの散策が楽しめるスポットです。その一方で、昔ながらの情緒も色濃く残る土地。昨年リニューアルオープンした「深川江戸資料館」は、その象徴といえるスポットです。

江戸時代に関する資料展示が充実している同館ですが、その最大の魅力は"タイムスリップ感覚"。幕末に実在した深川佐賀町の街並みを実寸大で想定再現し、その街を実際に練り歩くことができます。「情景再現、生活再現展示」といえるため、「勉強しよう!」と意気込むことなく、お子様でも自然と学べる施設になっています。

隅田川河口に位置していた佐賀町は、水運によって栄えていました。よって大きな問屋が多く軒を連ね、実寸展示においても忠実に再現されています。そして、長屋街。細い路地や井戸、ごみ溜めやお稲荷さん、屋根の上の猫など、庶民の暮らしが見て取れる展示が広がっています。

それぞれの家に住む人びとの家族構成や職業、年齢まで細かく設定され、その設定に沿った展示がなされているところがポイント。材木を扱う木場も近いことから、木挽き職人の家にはノコギリや大工道具などが置かれ、さらにお膳は夫婦二人分で女房の化粧道具があったりと、リアルな生活感が伝わってきます。

他にも江戸時代のファストフードといえる蕎麦屋の屋台や水茶屋、船宿なども配置。また、時おり浪曲や浄瑠璃などの伝統芸能も行われ、娯楽を楽しむ江戸庶民になったような気分を味わえます。別途、江戸時代の芝居小屋を模したような「小劇場」があり、こちらでは落語会やトークイベント、日本舞踊などが催されることも。

新しいモノと古いモノが混在する清澄白河散策をぜひお楽しみください!
■深川江戸資料館
ホームページ:https://www.kcf.or.jp/fukagawa/
今後の特集の参考にさせていただきます。
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