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特集記事【2024年6/20日号】

今年は軒並み梅雨入りが遅れていますね。もうすぐ蒸し暑さと湿度が気になる季節がやってきます。そろそろエアコンを使い始めたご家庭も多いのでは?

季節の変わり目ということで体調も崩しがちになりますが、そんな時こそ規則正しい生活リズムを保って過ごしたいものですよね。

そこで今月は、初夏の山菜特集です。今の季節ならではの旬のものを食卓に取り入れることで健康効果も期待できます。

初夏の山菜といっても、その特徴はさまざま。街を歩いている時によく見かける野草の中にも「えっ!?コレ食べられるの?」というものもあります。粘り気があったり、酸味があったりと、食欲増進につながる味わいも魅力のひとつです。さっそくご紹介してみましょう。

初夏の山菜の代表格といえば、皆さんご存じミョウガです。

あまりにも有名ですので「山菜なの?」と思われるかもしませんがその歴史は古く、2〜3世紀頃の日本について記した『魏志倭人伝』にも「ジョウカ」という名前で記されているほど。つまり卑弥呼の時代から食用されていたといわれています。現在の日本でも香味野菜として知られていますが、ミョウガを栽培しているのは世界広しといえども日本くらいなのだとか。栽培以前は山や藪に分け入って採取していました。

ミョウガはショウガ科に属する多年草。私たちがミョウガとして認識しているのは花蕾(からい)と呼ばれる部位で、花のつぼみのようなものを指します。

ちなみにミョウガの若芽が伸びたものは「ミョウガタケ」と呼ばれる山菜です。ミョウガとミョウガタケ、どちらも料理には同じ使い方ができます。

用途として最もポピュラーなのは、そうめんや冷やっこ、冷しゃぶ、ざるうどんなどの薬味でしょう。他にも味噌汁や天ぷら、炒め物などにもよく合い、薬味だけで使うのはもったいない山菜といえます。

独特の香りは「α-ピネン」と呼ばれる成分によるもので、ストレス軽減や血液の循環促進、食欲増進などの効果が期待できます。ちなみに「α-ピネン」はマツやヒノキ、スギに多く含まれています。森林浴にリラックス効果が期待できるのも、この成分が一役買っているといえるでしょう。

鮮度が損なわれやすいので、酢漬けにしてストックしておくのもおすすめ。沸騰したお湯に30秒程度さらしてから取り出し、粗熱をとって軽く絞って水気を取ります。その後、酢をベースに塩と砂糖、お好みでダシ汁を少々加えたものとミョウガを和えて、ジップ付きの袋などに入れて冷蔵庫で半日ほど冷やせばできあがり。焼き魚に添えて箸休めにしたり、らっきょうがわりにカレーと合わせたり、刻んでサラダにまぶしても美味しくいただけますよ。

日本の夏の始まりを感じさせてくれるミョウガで、季節感と美味しさをぜひ味わってください。
次は、葉っぱ以外の部分を食べる山菜のご紹介。まずはズイキ。サトイモの「葉柄」と呼ばれる部分で、葉っぱと地下に伸びる茎のつなぎ目、すなわち"地上に見えている茎っぽい部分"を指します。

乾燥させると「芋がら」。その名を聞いたことのある方もいらっしゃることでしょう。八つ頭など茎が赤い品種のサトイモから獲れる「赤ズイキ」はアクが少なくて食べやすく、石川県伝統の"加賀野菜"のひとつに数えられています。他にも、葉柄部分に紙を巻いて日光に当てずにつくる奈良県の「白ズイキ」、はす芋でつくる高知の「青ズイキ」などがあり、知名度が高くないわりには各地域で根付いている印象です。

市場に出回るのは初夏から初秋にかけて。酢の物や和え物はもちろん、ダシが沁みやすいので煮物にもぴったり。ただしアク抜きは必須です。30分ほど水にさらし、酢を加えた熱湯で1分ほど下茹でするとよいでしょう。一方で乾燥させた芋がらは、スーパーだとかんぴょうなど乾物系のコーナーで見かけます。これもアク抜きして戻し、茹でで使用しましょう。味噌汁の具にも合いますよ。

ズイキと同じく「葉柄」を食べる山菜として知られているのが、フキです。

数少ない日本原産の山菜のひとつで、春から初夏にかけて日本各地の山々に自生します。花芽の部分ははご存じ「ふきのとう」です。フキには多くの種類があり、北海道足寄町で獲れる「ラワンぶき」は高さが2〜3mになる巨大なもの。

いずれも食物繊維やカルシウム、ポリフェノールを含み、カロリーは低め。苦み成分のクロロゲン酸は老化予防や高血圧予防が期待できます。

フキは鮮度落ちが速いため、葉と葉柄を切り離して冷蔵保存することがおすすめ。最も一般的な食べ方は煮物ですね。油揚げの中に入れて煮たり、炊き込みご飯の具にしても美味しくいただけますよ。
次は、山に入って採るというよりも、公園や川の土手を歩いている時にも見かける山菜・野草をご紹介しましょう。

まずはツユクサ。初夏から夏にかけて、誰でも一度は見かけたことがある綺麗な青色の花です。

かつては染物などにも使われていましたが、実は食用としても優秀。

クセがなく、サッと湯通ししてサラダやおひたし、天ぷら、炒め物など一般的な野菜と同じように使うことができます。

育ち切って大きくなるにつれて繊維が際立って食べづらくなるため、花が咲く前の若芽の状態で摘み取れるとベストです。一方で、花も食べることができます。花をつけたツユクサを乾燥させた生薬(オウセキソウ)もあり、薬効も期待できます。家庭菜園などではやっかいな雑草として敬遠されがちですが、梅雨の時期の健康も支えてくれる、立派な植物です。

続いては、スベリヒユ。

名前を聞いたことがなくても、葉っぱをみて「見たことある!」という方も多いのでは?

れっきとした、食べられる野草です。 地面を這うように赤い茎が伸び、葉っぱはつるつるしていて肉厚。ちょっとした多肉植物のようです。

畑や道端など、どこでも見ることができますが、昔から「バシケン」と呼ばれる生薬でもあり、近年はビタミンCやミネラルを含む栄養価の高さから畑で栽培されることもあります。スーパーに出回る際には「パースレイン」という名でも売られています。

調理法は、水であく抜きさえすれば生食、おひたし、炒め物や酢の物、きんぴらなど用途は多彩。味の特徴は、他の野菜にはない独特の粘り気と酸味です。お酒のおつまみとしても合い、食欲が減退しがちな梅雨にはもってこいの食材です。ぜひ一度、お試しください。
今後の特集の参考にさせていただきます。
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