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今月の特集記事【2024年9/20日号】

ようやく暑さが和らぎそうで、まだ夏のような日射しが照りつける…そんな日々が続いていますね。もしかすると今年の秋は短いかもしれませんが、それでも楽しみたいのは秋の味覚です。

脂の乗ったさんまに始まり、かぼちゃやさつまいも、れんこんなどの根菜、梨やぶどうなどの果物など、秋の味覚は多々ありますが、今回の特集でご紹介するのは「新そば」「栗」「べったら漬」という渋めのラインナップ。はるか昔から日本の食卓に上がってきた歴史を感じられるものばかりです。

収穫祭や栗拾い、"市"など、お出かけ要素も取り入れた今月の特集をお楽しみください。

まずご紹介するのは「新そば」です。寝かせて美味くなる食材は多々ありますが、そばに限れば収穫後1〜2ヶ月で提供される新そばが味・香りともに優れていると言われています。

一般的には秋に収穫して食べるものを新そばと呼びますが、栽培手法の進化によって近年では春や夏に収穫されるものもあり、それぞれの新そばは「春新」「夏新」「秋新」と呼ばれています。

画像は、そばの花。収穫前のちょうど今頃、9月中旬から10月中旬にかけて白く可憐な花を咲かせます。ちなみにそばには「白そば」と「赤そば」があり、赤そばは「高嶺ルビー」と呼ばれる品種で、白そばに比べて独特のコシがあるのが特徴です。赤そばの花は10月上旬から10月下旬にかけて開花します。標高が高いところだと開花・収穫は前倒しになり、「赤そばの里」と呼ばれる長野県上伊那郡箕輪町ではちょうど今頃が開花のピークです。

収穫期になると、そばの名産地でまつりも開かれます。埼玉県秩父市の荒川地区もそのひとつ。「そば処ちちぶ花見の里」では11月10日(日)に「ちちぶ荒川新そばまつり」が開催されます。

同施設の目の前に広がるのは、収穫後のそば畑。その背景には紅葉に染まる山々が連なり、秋めいた気分のもとで10月下旬に収穫された新そばに舌鼓を打つことができます。また、郷土料理や特産品販売、アトラクションとして秩父屋台囃子などのイベントも開催予定。当日は西武秩父駅などから会場まで無料シャトルバスも運行します。

そばどころとして知られる信州・戸隠では毎年「戸隠そば祭り」を開催。今年は10月31日(木)、中社神社にて行われる「そば道具お焚き上げ」を皮切りに、翌1日(金)は神様に新そばを捧げる「戸隠そば献納祭」が行われた後、献納祭でお祓いした神聖なそば粉で新そばが振舞われます。11月5日(火)から11月22日(金)のうち平日は、市内のそば屋3店舗で食べ比べできる「戸隠そば祭り半ざる食べ歩き」イベントも開催されます。香り引き立つ秋の新そば、ぜひご賞味ください。
■ちちぶ荒川新そばまつり(秩父観光なび)
■戸隠そば祭り
ホームページ:https://sobamatsuri.com/
次なる秋の味覚は、栗。茹でてそのまま食べてよし、炊き込みご飯やスイーツにしてもよし。老若男女問わずお好きな方も多いのではないでしょうか。じつは「栗、大好き!」という方が全国から集う地があります。それが"栗の郷"と呼び声高い信州の小布施(おぶせ)町です。

栽培に適した風土と気候によって育まれた小布施の栗は、江戸時代から将軍への献上品になるなど、全国区のブランドでした。生産量の多さで有名なのではなく、"味"そのもので有名というわけです。

市内にある「こばやし園」では、例年より1週間ほど早い9月初旬から収穫が始まっています。冷害で収穫量が半分以下に落ち込んだ昨年と比べ、今年は実が多い豊作とのこと。収穫された栗は市内の農産物直売所などに並びます。加えて同園では栗拾い体験も可能。拾った小布施栗は量り売りで、お土産として持ち帰ることができます。期間は例年9月中旬から10月中旬にかけて。今年は10月上旬くらいまでになる見込みです。

また、市内には栗をあしらったフードやスイーツを提供するお店もたくさんあります。ランチタイムには栗おこわと手打ちそば。散策途中のティーブレイクには栗のスイーツ。栗まんじゅうや栗ようかんなどお土産にもピッタリのものから、栗ぜんざい、栗みつまめなどの和スイーツ、ジェラートやモンブランなどの洋スイーツまで、目移りしてしまうほどの栗ざんまいが楽しめます。画像は、酒蔵を改装したカフェ「えんとつ」の人気メニュー「モンブラン朱雀」。栗あんをふんだんに盛り、中にはナッツ入りのアイスやカスタードクリームが入っています。美味しそうですね!

ちなみに小布施は江戸の絵師・葛飾北斎が晩年を過した地でもあります。市内には北斎の作品の数々が展示されている「北斎館」や、死の前年に描いた最高傑作とされる「八方睨み鳳凰図」が今も残る寺院・岩松院など、北斎ゆかりのスポットが点在しています。興味のある方は、ぜひ足を運んでみてください。
■小布施日和
ホームページ:https://www.obusekanko.jp/
最後は"旬"というより"風物詩"と言ったほうがいいかもしれません。今では洗練されたビルが立ち並ぶ東京・日本橋が、その日に限っては下町の風情で包まれます。それが江戸から続く「べったら市」です。

「べったら」とは、大根を麹と砂糖に漬け込んだ「べったら漬け」というお漬物のこと。江戸の庶民のお漬物といえば、たくあんか、べったら漬け。練馬大根など江戸の食卓に並ぶ大根は辛みと苦みがあったため、干してからつくるたくあんか、べったら漬けの二択だったそうです。自宅で漬ける文化もないため、漬け物を並べる店で購入し、縄にくくって持ち運び、いたずら心で振り回しながら通行人に「べったり付くぞ」と言っていたことが名前の由来という説があります。実際にべったら漬けは麹がべったりと付いているお漬物です。

ではなぜ、日本橋の風物詩なのか?それはこの地に宝田恵比寿神社があるからです。商売繁盛の神、えびす様を祀る同神社は江戸時代からありました。商売繁盛を祈願する「恵比寿講」は10月20日。その前日となる19日、同神社の門前には神棚や魚、野菜などが並ぶ市が開かれて賑わっていました。それがいつしか、べったら漬けがずらりと並ぶ市に打って変わり、現在まで引き継がれています。

今年の開催日は10月19日(土)・20日(日)。土日にかかるため賑わいが予想されます。宝田恵比寿神社を中心に、べったら漬けの露店が約20店ほど並び、七味唐辛子や飴細工など約500もの露店も軒を連ねます。夜になると1500もの提灯がともり、夜祭の風情たっぷり。19日(土)には神輿、20日(日)には「べったら音頭」が加わって、さらに賑々しい雰囲気に包まれます。

街全体に麹の甘い香りがプーンと漂う、秋の日本橋の特別な日。ぜひ足を運んでみてください!
■日本橋恵比寿講「べったら市」(東京 中央区オフィシャル観光ガイド)
今後の特集の参考にさせていただきます。
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