続いては節分の日に食べると良いと言われているものをご紹介しましょう。

まずは近年スーパーやコンビニなどでも目にする「恵方巻」。年ごとに「縁起の良い方角=恵方」が定められており、その方角に向かって食べると良いと言われています。
2025年の恵方は西南西です。巻きずしはもちろん切ったほうが食べやすいですが、「縁切り」につながるので丸ごと、さらに幸福が逃げぬよう無言で食べることが推奨されています。
具に関しては特に縛りがありませんが、卵焼きやかんぴょう、うなぎ、桜でんぶなど、具の種類を7つにすると縁起が良いのだとか。これは「七福神」にちなんでいるようです。
続いては「けんちん汁」。ごぼうやこんにゃく、人参、大根、さといも、豆腐、小松菜、れんこんなど、具だくさんの汁は心も体もホッコリしますよね。

けんちん汁とゆかりが深いのは、鎌倉にある建長寺。同寺院では700年以上も前から食べられており、寺の名の「けんちょう」が「けんちん」に転じたとも言われています。
ダシも昆布やしいたけを用いて動物性の食材を使わず、根菜などの端切れも残さず使う思想に基づいた、れっきとした精進料理です。
現在、建長寺の節分会でも、豆まきを行う福男・福女には、けんちん汁が振舞われています。なお四国地方では、具のひとつであるこんにゃくそのものが節分に食べられる縁起物なのだとか。「砂おろし」として身体にいい食材をふんだんに取り入れましょう。恵方巻との食べ合わせも良さそうです。
食後のお茶は「福茶」がおすすめ。緑茶に昆布や梅干し、豆、山椒などを少しずつ入れたお茶です。その由来は平安時代にまで遡ります。疫病が流行った際、梅干し入りのお茶が治癒に効いたとの言い伝えがあり、以来関西地方の一部で大晦日や正月、節分に飲まれるようになりました。節分では福豆(大豆)や黒豆を使うと良いでしょう。

ちなみに、食べ物ではなく「飾り物」の風習もあります。その代表例が「柊(ひいらぎ)いわし」。
ひいらぎは、トゲトゲの葉っぱでお馴染みの冬の植物です。その葉っぱを残した枝の先端に、焼いたいわしの頭を刺し、玄関先に掲げておきます。そうすると、ひいらぎのトゲやいわしの臭気で鬼や邪気が嫌がって入ってこないと言われています。
節分の前日にいわしを食べて柊いわしを作り、節分の日に玄関に飾り、翌日の立春の日に塩で清めてから捨てるとよいでしょう。