最後は全国各地にまでフィールドを広げて、「絶景!」と呼ぶにふさわしいスポットをご紹介しましょう。

まずは岩手県の広大な大地に広がる小岩井農場です。かの宮沢賢治も愛した美しい風景をそのままに、現在は動物たちとの触れ合いやガイドツアー、同農場産の乳製品をふんだんに使った食事やお土産など、レジャーとして楽しめるスポットとなっています。
園内には90本ほどのソメイヨシノがあり、岩手山を背景に咲く姿がどれも見ごたえ十分ですが、必ず見逃してはならないのが農場の緑の大地に立つ一本桜。明治40年代に植えられたといわれるエドヒガンザクラで、かつて放牧地だった際に夏の日差しから牛を守る「日陰をつくる木」として植えられたそうです。開花シーズンは例年4月下旬から5月上旬にかけて。映画「壬生義士伝」やNHK連続テレビ小説「どんど晴れ」などのロケもここで行われ、話題となりました。都会では絶対に味わうことのできない、胸のすくような「お花見体験」にぜひ訪れてみてください。
続いては、奈良県吉野郡吉野町が舞台。吉野山に咲き誇る「吉野千本桜」です。

約8kmにわたり谷や尾根が連なる中、日本古来の種であるヤマザクラが約3万本、山を埋め尽くすように密集して咲き誇ります。
パッとひと目みるだけで千本あまりの桜が目に飛び込んでくる様子を称して「一目千本桜」とも言われ、標高が低いところから下千本・中千本・上千本・奥千本と呼ばれています。
山には金峯山寺や如意輪寺など寺社仏閣も点在していて、中千本では「四本桜」「御所桜」など和建築と桜のコラボを楽しめるスポットもふんだんにあります。
見頃となるのは例年3月下旬から。下千本から咲き始め、中千本の見頃が4月上旬〜中旬、最も遅い奥千本の見頃が4月中旬〜下旬にかけてです。標高差があるため、長い期間お花見を楽しむことができます。
1本の桜も、千本の桜も、どちらが上というわけではなく、それぞれに異なる風情と見ごたえがあるもの。お好みの桜を目指す旅を計画してみるのもおすすめですよ!