
続いては、神奈川県横須賀市と逗子市の間に位置する鷹取山(たかとりやま)。「そんなところに山があるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。海抜わずか139mの小さな山ですが、ここでしか見られない風景に出会うことができます。
スタート地点は京浜急行の追浜(おっぱま)駅。鷹取山に向かう途中には「首斬観音」があります。物々しい名前ではありますが、大正時代の国道建設の最中に複数の骨がみつかり、地元の方々が石塔を建てて供養したのがはじまりなのだそう。
そこから1.6kmほど歩くと、鷹取山の入り口に突如として高さ約8m、幅約4mの巨大な弥勒菩薩像が出現!昭和35年、横須賀市在住の彫刻家、藤島茂氏が約1年かけて制作しました。岩を掘りぬく形で造られた弥勒菩薩像は緑に囲まれ、まるでジャングルの奥地で謎の遺跡を発見したかのような気分に浸れます。
鷹取山を登りきると、山頂部は鷹取山公園として整備されています。展望台もあり、晴れた日には富士山はもとより伊豆、箱根、房総半島まで見渡せる大パノラマを満喫することができます。目につくのは巨大な岩。

実はこの山、明治から昭和初期にかけて石材が採取される石切り場でした。耐火性に優れた性質があったことから、かまどや土蔵、砲台を並べた人工島「海堡」の建設などに重宝されました。
その名残として山頂には垂直に切り立った岩石があり、その姿が群馬県の名勝・妙義山に似ていることから、鷹取山は「湘南妙義」とも呼ばれています。この岩石もまた、ジャングルの中の遺跡のようでなんとも不思議。『天空の城ラピュタ』の世界のようでもあります。
その後は山を下り、724年創建の古刹・神武寺に立ち寄ってお参り。ゴール地点は京浜急行逗子線の神武寺(じんむじ)駅です。2時間弱のお手軽さでありながら、独特の風景を楽しめるハイキングにぜひお出かけください。