農業というと郊外の畑、というイメージがありますが、東京にもじつにたくさんの農地があり、農家の皆さんが野菜や果実を作っています。しかしながら、地方に比べて土地が手狭で一度に大量の収穫を望むのは難しいこと、気候などによって市場価格が変動するため、安定した収入が見込みにくいことなどが都市型農園のネックになっていました。
こうした農園を、うまい具合に一般に開放できないだろうか、と考えて生まれたのが「農業体験農園」です。とりわけ東京都練馬区はこの取組みに熱心で、大きな効果を上げています。現在、14もの農業体験農園が練馬区内にありますが、そのうちのひとつが南大泉の住宅街の中に広がる「井頭体験農園」です。
それではここで、練馬区の農業体験農園とはどんなものなのか、井頭体験農園をご紹介しつつ、特長を挙げていきましょう。野菜作りの経験のない方にとって嬉しい特長がたくさんあるんです。
■1年契約で、5年まで更新可能
現在、井頭体験農園には113名の利用者がいます(2009年5月現在)。利用期間は3月下旬から1年間。続けて利用したい場合は5年まで更新することができます。1区画は約30平方メートルです。
■区外の方でも参加できる
利用料金は、1年間につき31,000円(入園料・収穫物代金)。区外にお住まいの場合は43,000円です。農地のみ貸し出す農園ですと年間1万円くらいのところもありますので、その意味では割高ですが、それを補って余りある初心者向けのサービスが充実しています。
■農園主さんが農業指導
これが農業体験農園の大きな利点。簡単に作れそうな野菜であっても、ビニールシートの貼り方や、良い苗の見分け方、収穫量をアップさせる間引き剪定(せんてい)の方法など、成長に合わせてさまざまなノウハウが必要です。そこで、農業のプロといえる方々が、開墾から収穫まで教えてくれます。「鍬を扱ったことがない」といった初心者でも、収穫の喜びを堪能できます。
■基本的に「週一」通えればOK
これは農業体験農園に限ったことではありません。何を育てるかにもよりますが、基本的に週一回通えれば野菜作りは可能です。井頭体験農園は、週末に作業講習をしています。しかも作業1回につき、かかる時間は1〜2時間程度です。「次の週は別の予定が入っていて来れない」といった場合には、1日で2回分まとめて作業をしてしまう、といった柔軟な対応も取れます。
■皆で同じものを作る
いわゆる「農地貸し」のみの農園ですと、すべて独学で野菜作りを学ぶ必要がある反面、好きな作物を植えることができます。しかし農業体験農園は基本的に、何を作るかがあらかじめ決められています。井頭体験農園の場合、畑の一画にホワイトボードが掲げられていて、その日の作業と、育てる作物についてのレクチャーが記されています。といっても一種類ではなく、複数種類の作物を育てるのが一般的。収穫が楽しみです!
■苗の無料提供や農具・肥料の利用も無料
井頭体験農園の場合、野菜の種や苗の提供してくれるほか、野菜作りに必要な農具の貸し出しや肥料・殺虫剤などの提供も全体料金に含まれているため、無料です。