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火山の国、日本。その風土は「温泉」という文化を生みました。日本書紀や万葉集にも記述が見られるほど、日本人と温泉の関わりは古くから続いており、かつては怪我や病を治す聖地として崇められていました。
そして昨今は温泉ブーム。たっぷりのお湯に身を浸し、心の底からリラックス。そして夜は旬の食材を駆使した郷土料理で舌鼓。老若男女を問わず、心の底からホッとする温泉旅行が人気です。そのブームの中にあって、とりわけ魅力的に響くのは「秘湯」という言葉。人里を離れ、人が足を踏み入れないところにひっそりと湧く温泉・・・確かに行ってみたいですよね。
しかし、本当に人が足を踏み入れていないような地で、道も電気もないようなところだったら「ホッとする」旅になりうるのか?ちょっと疑問符がつきますよね。そこで今回は、「深い山合いの、ひなびた風情が堪能できる温泉郷」と「他ではなかなか味わえない景観を持つ温泉郷」、この2つを「秘湯」と定義して、ご紹介したいと思います。 |
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手つかずの自然が残る秋田県は、まさに秘湯の宝庫です。春は目に眩しい新緑と水芭蕉、夏はブナの原生林が織りなす濃い緑、秋は全山を染める紅葉、そして冬は雪化粧。そんな四季折々の自然の中で、ゆったりと温泉に身を浸す・・・なんとも贅沢ですよね。今回、「深い山合いの、ひなびた風情が堪能できる温泉郷」としてご紹介するのは、十和田・八幡平国立公園の乳頭山麓に広がる湯村、乳頭温泉郷です。
秋田新幹線・田沢湖駅からバスに揺られること約1時間。7つの温泉を有する乳頭温泉郷にたどり着きます。そのうち、最も古い歴史を持つのが「鶴の湯温泉」です。傷を負った鶴がこの湯で癒していたところを地元の猟師がみつけたことから「鶴の湯」と命名。かつては秋田藩主の湯治場として活用され、湯宿として1688年頃からの帳簿が残っているとか。その風情と歴史情緒は、水車が回る茅葺き屋根の長屋「本陣」のたたずまいからも感じ取ることができます。
この「本陣」は、もともと二代目秋田藩主、佐竹義隆公が湯治に赴いた際、警護でついてきた者達の詰め所でした。350年経った今でも趣深い姿をとどめ、現在でも囲炉裏のある湯治客の宿として機能しています。かつては「湯治場」といえば長い患いのお客が自炊をしながら長期滞在している、というイメージが主流でしたが、昨今の温泉ブームによって一般の観光客も増えています。とりわけ鶴の湯温泉のような、深山の鄙びた秘湯は人気の的です。 |
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“美人の湯”といわれる「白湯」や“子宝の湯”といわれる「黒湯」、眼に良いとされる「中の湯」など、わずか半径50メートルほどの範囲の中に、泉質と効能の異なる湯が点在している鶴の湯温泉。湯殿を点々と渡り歩く楽しさがあり、混浴の他にちゃんと女性専用風呂もあります。
また、鶴の湯温泉の1.5キロメートル手前には木像旅館の「鶴の湯別館 山の宿」も。地元の雑木のみを使って建てられた曲がり屋風の建築は、豪雪にも耐える梁の太さが特長。雪国の宿に泊まる趣を存分に感じることができるはずです。
さらにこれからの季節は、囲炉裏を囲んで食べる郷土の鍋料理も大いに魅力的。地元産の「山の芋」と山菜を秘伝の味噌で仕立てた「山の芋鍋」は素朴かつ濃厚な味。心の底から温まること請け合いです。また、季節によってはタケノコや岩魚料理(要予約)も振舞われます。
ちなみに「鶴の湯別館 山の宿」は全室ユニットバス・トイレ付き。テレビは別館にも本館にもありません。時には2階まで届くほど雪が積もり、静寂に包まれる昔ながらの湯村。そんな日常から開放された時間を「贅沢」と感じることができれば、至高の温泉旅になるでしょう。 |
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乳頭温泉郷の宿に泊まると「湯めぐり帖」を1500円で購入することができます。これがあれば、鶴の湯温泉を含む7つの湯の入浴が可能。七湯めぐりは万病に効くといわれています。そこで、鶴の湯温泉以外の乳頭温泉郷の温泉もご紹介しましょう。
鶴の湯温泉から国道へ戻り、田沢湖と逆方面に進むと6つの個性的な温泉が点在しています。
先達川のほとりにある「妙乃湯」は、渓流のせせらぎを聞きながら入浴できる露天風呂が魅力です。
付近の沢に蟹が多く住んでいたことから名前が付いた「蟹場温泉」、その露天風呂は宿舎から50メートルほど離れた原生林の中にあり、秘湯の風情満点です。
「大釜温泉」の宿は廃校になった木造校舎を移築したもの。ノスタルジックな気持ちに浸れる温泉宿です。
「孫六温泉」は別名「山の薬湯」と呼ばれ、こちらも宿から離れたところに泉質の違う4つの浴場と露天風呂があります。川に面した大きな女性専用の露天風呂が人気です。
「休暇村田沢湖高原」はブナ林に囲まれた、乳頭温泉郷の中では最も近代的な温泉施設。日替わり鍋や稲庭うどん、焼き物、オードブルなどの夕食バイキングが魅力的。
そして最後の「黒湯温泉」は温泉郷の一番奥に位置するため、雪の影響等で11月下旬〜4月下旬頃の期間は休業しています。
七湯のうちひとつだけとっておいて、夏にまた来た際に足を運んで七湯制覇、というのも良いかもしれませんね。
この冬は秘湯をハシゴする乳頭温泉郷の旅、いかがですか? |
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「深さ日本一」の湖、田沢湖にはぜひ寄っておきたいところです。最大深度は423.4メートル。しかも透明度が高く、冬でも凍ることがありません。湖畔にたたずむ「辰子像」は、湖のほとりの村に住んでいたといわれる辰子の伝説を今に残すモニュメント。金色に輝く辰子像と、瑠璃色を帯びた湖面、そして湖を囲む山々。そのコントラストは神秘的な絵画のような情景を作り出します。
湖の南に位置する「抱返り(だきかえり)渓谷」は、東北屈指の渓谷美をみせる景勝地。遊歩道を歩くとさまざまな風景に出会うことができます。中でも、絶壁の間から流れ落ちる「回顧(みかえり)の滝」の美しさは圧巻です。
ウィンタースポーツを楽しみたいのなら、田沢湖の北東に位置するスキー場「田沢湖高原アッスル」へ。リフトを降りると眼下には田沢湖。周囲には樹氷。大自然の中で思いきりシュプールを描いてみてください。 |
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岡山県真庭市の湯原(ゆばら)は、かつて山陽と山陰をつなぐ宿場町として栄えた地。北には大山(だいせん)や雄大な牧草地帯、蒜山(ひるぜん)高原が広がり、南には宿場の趣きをそのまま残す勝山保存地区。街の中央には旭川(あさひがわ)が流れ、その渓谷に沿って湯原温泉、下湯原温泉、足(たる)温泉、真賀温泉、郷緑温泉といった複数の温泉街が点在。これらは総称して湯原温泉郷と呼ばれ、昭和31年に国民保養温泉地に指定されています。
その温泉郷の代表的存在が、湯原温泉です。この地に、古今東西の温泉好きが「一生に一度は入りたい」と口を揃えて言う湯があります。旭川の川床から砂を吹き上げるようにして湯が湧く天然露天風呂「砂湯」です。
眼前に広がるのは雄大な自然と巨大な湯原ダムの姿。河原からの高さはおよそ80メートル、幅は150メートル。その奥に広がる湖の外周は55キロにも及びます。
ダムと自然が創る景観美は全国各地で見ることができますが、至近距離で「温泉に浸かりながら」眺めることができるのは、おそらくここだけでしょう。 |
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湯原温泉郷のその他の温泉もここで少しご紹介。「真賀温泉」は、山の裾に軒を連ねた小さな温泉街。昔ながらの情緒を残す、ひなびた風情を味わえます。「真賀温泉館」内にある「幕湯」は、かつての殿様が気に入り、お墨付きを与えて独占してしまったという名湯。湯船の真下が源泉になっていて、浴槽の底から伸びた竹筒からこんこんと湯が湧いています。こぢんまりとしていて家族風呂のようではありますが、「湯」そのものを堪能していただきたい秘湯です。
その真賀温泉から1キロほど旭川を上ったところの対岸にあるのが「足(たる)温泉」。旅館は数軒あるものの内湯はなく、皆「足温泉館」に足を運んで湯を楽しみます。南北朝時代に傷を負った兵を癒すため、この地から湯を樽につめて運んだことから「足(たる)」という名がついたといわれています。切り傷や皮膚病に効果があるといわれ、今でも湯治客が訪れるほど。
そしてもうひとつが「郷緑(ごうろく)温泉」。こちらは宿が「郷緑館」の一軒のみ。その宿で足元湧出掛け流しの湯が楽しめます。浴槽の底の巨大な岩、その裂け目から肌にしっとり馴染む泉質の湯が湧いています。宿の名物料理は「すっぽん」だとか。日帰り入浴も可能です。
他では味わえない景観美を持つダイナミックな「砂湯」、そして川沿いに点々と湧く名湯の数々。岡山県秘湯の旅をこの冬ぜひ満喫してください。 |
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湯原温泉郷の宿に泊まると、得てして夕食で出されるのは牛肉。岡山が誇るブランド牛「美作(みまさか)牛」です。肉牛、乳牛を問わず、牛を育てるにふさわしい気候と風土が岡山県には備わっています。
湯原の北に広がる一大牧草地帯、蒜山(ひるぜん)高原は、ジャージー牛の日本一の産地。高原観光のメインスポット「三木ヶ原(みきがはら)」では、蒜山三座や大山の素晴らしい眺望を見ることができます。春から秋にかけては、牛たちが大自然の中で草を食む、文字通り「牧歌的」な風景が広がっていますが、冬に雪が降るとそこは一面の銀世界。蒜山高原休暇村の宿舎前の牧場は、ゆるやかな斜面のファミリーゲレンデとなり、ソリ遊びをする家族連れで賑わいます。スキーやスノーボードを楽しみたいなら、同高原の「ひるぜんベアバレースキー場」「上蒜山スキー場」がおすすめ。ウィンタースポーツで汗を流し、疲れた身体を温泉で癒す冬の休日を満喫してください。 |
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