魚を発酵させた食品も、世界中で愛用されています。四方を海に囲まれた日本においても、古くから発酵技術を用いた食品が根付いています。
まずは「鮒ずし」。琵琶湖のある滋賀県の郷土料理です。現在で「寿司」といえば江戸前の握り寿司やちらし寿司が思い浮かびますが、歴史の上では鮒ずしのほうが先輩格。鮒の内臓を抜き、そこに塩を詰めて保管すること約3か月。取り出した鮒をよく洗って塩抜きし、再び塩を混ぜたご飯を詰めて1〜2年保管。
じっくり熟成された鮒ずしは、チーズのような臭いといえばまだ聞こえはいいですが、初めてその臭いを嗅いだ人は十中八九驚くはず!しかし口に入れると、濃厚なうまみがじんわりと伝わってくるから不思議です。最初は、薄く切ったものをご飯に乗せ、少々刻みのりをまぶしてお茶漬けにして食べるのがお薦めですよ。一度ハマったら抜け出せない、クセになる味です!
鮒ずしを東京で味わいたい場合は、東京・有楽町にある東京交通会館へ行きましょう。同館はいわずとしれた「アンテナショップの宝庫」。北海道から九州まで、多数の県のアンテナショップが軒を連ねています。滋賀県のアンテナショップ「ゆめぷらざ滋賀」には常時鮒ずしが置いてあり、種類もニゴロブナを使った本来のものから、真ブナや他の鮒を原料としたものなど多彩。今や鮒ずしは高級料理ですのでちょっとお値段が張りますが、スライスした鮒ずし6切れが入っている商品もありますので、とりあえず試したいという方はぜひトライしてみてください。
関西が鮒ずしなら、関東が誇る魚系発酵食品が「くさや」です。伊豆諸島の特産品で、魚のエキスが溶けだした「くさや汁」にムロアジなどの魚を浸して発酵させ、さらに天日で干した干物ですが、こちらの臭いも強烈!あまりにも臭いから「くさや」という名前になったという説もあるほどです。
通常は、やはり臭いが強烈ということもあって真空パックで販売しています。食べ方としては、鮒ずしと同様にお茶漬けにすると臭いが苦手な人でも比較的ラクに食べられます。あとは、火であぶってから七味唐辛子をふりかけたマヨネーズにつけて食べる!エイひれと同じ食べ方ですね。そうそう、くさやは産地によって微妙に違いがあり、一般的には八丈島産のくさやが最も臭いがキツくないといわれています。
また、くさやは塩分が気になる方にはぜひオススメしたい食品です。一般的な魚の干物の塩分は20%ほどですが、くさやは8%程度。さらに、塩分を尿として体の外へ逃がす手助けをするカリウムも豊富なので、血圧の高い方にはありがたいところです。骨を丈夫にし、鎮静作用を促すカルシウムも豊富ですよ!