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特集記事【2012年4/20日号】

ゴールデンウィークを間近に控え、心も体もウキウキする季節になりましたね。今月は、オープンしてからまだ1年が経っていないミュージアムと、今年春にリニューアルしたミュージアム、計3か所ご紹介します。

堅苦しい芸術というよりは、"遊びゴコロ"満載なのが、今回紹介するミュージアムに共通した特長です。小さなお子さんはカラダ全体で体感できて、大人の心にもしっかりと届くミュージアムの数々、さっそくご紹介しましょう!
「ドラえもん」や「オバケのQ太郎」「パーマン」「エスパー魔美」など、不朽の名作を世に送り続け、子ども達に笑顔と希望を与え続けた漫画家、藤子・F・不二雄先生。

その作品世界がギュッと詰まったミュージアムが昨年9月3日、ドラえもんの誕生日にオープンしました。連日、たくさんの人が足を運び、先生がこだわり続けた"SF(すこしふしぎ)"な世界を大いに楽しんでいます。

「展示室I」では、「ドラえもん」「オバケのQ太郎」「パーマン」「キテレツ大百科」など、世界にたった1枚の貴重な原画を常設展示しています。

その細かく柔らかいタッチをみるだけでも、先生ファンにとってはたまらないひとときを過ごせますが、展示台そのものにもユニークな仕掛けが。

展示台には引き出しがついていて、中には「奇天烈大百科」や映画『のび太の恐竜』に登場する恐竜のタマゴなど、マンガに登場する品々が入っています。ファンなら当然、ここでテンションが上がるはず!

先生の愛用品をはじめ、尊敬していた手塚治虫先生からもらったハガキなど、ゆかりの品と年表で歴史を辿るコーナーも。

そして圧巻なのが、先生の仕事場を再現したスペース。先生が集めた書籍とコレクション約1万点が展示されていて、膨大な蔵書が天井高約8.5mの本棚にズラリ!鉄道模型やプラモデル、恐竜の化石などもあり、あらためてF先生の世界観のルーツをみる思いです。

また、2階の「展示室II」は、企画展示室となっており、オープニングから間もない現在は、各作品の"第1話"の原画を展示。「ドラえもん」をはじめとした、記念すべき第1話がまるごと楽しめる。また、道具まんがの先駆けとなった「ドラえもん」につながる「手ぶくろてっちゃん」「すすめロボット」なども紹介されています。
そして外部庭園には「きこりの泉」が!

「きこりの泉」はドラえもんのひみつ道具のひとつで、作品中ではジャイアンが誤って泉に落ちてしまい、前代未聞の"きれいなジャイアン"が登場するという、コアなファン注目の名場面となっています。

そして同ミュージアムの泉からも"きれいなジャイアン"が!!このオブジェを創ろうと思いついた方の遊びゴコロに、敬服せずにはいられません(笑)。

62歳でお亡くなりになるまで、ひたすら子ども達のために作品を描き続けた先生。人気漫画家ゆえ、寝る暇もないほどの忙しさではありましたが、日曜日は家族と一緒に楽しく過ごすようにしていたといいます。娘さんたちの誕生日に贈った手作りのプレゼントなど、家族に対する思いやりと人柄がひしひしと伝わってくる品々を集めた「先生のにちようび」コーナーは必見です。娘さんたちにとっては、素敵な手作りのプレゼントや絵本、手紙をくれる先生が、まるでドラえもんのように映ったことでしょう。

屋外展示も注目の的。屋上には、作品にしばしば登場する土管のある「はらっぱ」が再現されていて、広場の奥にはピー助の背中に乗ったドラえもんとのび太の姿が!緑の庭の中にピンク色の“どこでもドア”がポツンとあるのも現代美術のようでステキです。
「はらっぱ」につながる最上階に「ミュージアムカフェ」があり、こちらも必ず足を運んでおきたいところです。カフェのメニューも、遊びゴコロが満載。キャラクターが描かれたカフェラテをはじめ、ドラえもんの名道具「アンキパン」をモチーフにしたフレンチトーストや、ジャイアンの顔が描かれたカツ丼、スネ夫の髪型をモチーフにしたチョコクレープなど、食べる前に誰もが写真を撮りたくなるメニューが目白押しです。
また、お子さんが楽しめる工夫も随所にあります。クッション型の大きなドラえもんや木製の玩具などが揃った「キッズスペース」や、マンガを実際に読める「まんがコーナー」、小さなお子さんのためのベビーサークルや授乳室も完備。「みんなのひろば」には、スクリーンにタッチするとひみつ道具が現れる「ひみつ道具アーカイブ」や、のぞき穴や手遊びを楽しめる「すこしふしぎ体験テーブル」、映画『のび太の宇宙開拓史』の世界が楽しめる「ぐにゃぐにゃトンネル」など、多彩な仕掛けが随所にあります。ここでしか観ることのできないオリジナル短編映像を上映するシアターもありますよ。

とにもかくにも、仕掛けの多彩さには敬服するばかり。建物外観のガラス窓には「ドラえもん」第1話のコマ割りが再現されていたり、インフォメーションにも「ねずみの入館はご遠慮ください」の一文が記載されていたり、トイレ表示のマークものび太としずかちゃんだったりと、楽しみは尽きません。「描く僕が楽しみ、読んでくれる人も楽しむ、そんな漫画がずっとぼくの理想なんだ」と語っていた先生の想いを伝え続けてゆく…そんなミュージアムだと思いました。同ミュージアムの入館は、ゆったりと鑑賞できるよう日時指定による完全予約制となっています。ぜひ、ホームページでご確認の上、全国のローソンでチケットをご購入ください。
■川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム
 お問い合わせダイヤル:0570-055-245
 ホームページ:http://fujiko-museum.com/
昨年は、「カップヌードル」が生まれてから40周年を迎えた年でした。

そんな記念すべき年に、横浜・みなとみらい地区に「カップヌードルミュージアム」(正式名称:安藤百福発明記念館)がオープン。インスタントラーメンにまつわる趣向を凝らした展示や体験工房など、楽しみどころ満載の体験型ミュージアムとあって、大人から子供まで幅広い層に人気です。

日清食品の創業者、安藤百福(あんどうももふく)氏は、1958年に世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を発明。いまや世界の胃袋を満たし続ける食品となりましたが、最初にチキンラーメンが誕生したのは、ごく質素な小屋でした。同ミュージアムの「百福の研究小屋」は、そんな研究小屋を忠実に再現したもの。ありふれた道具でも、質素な小屋であっても世界的な発明ができるんだ!といったスピリットがひしひしと伝わってくる展示です。

もともと、同ミュージアムは単に商品展示にとどまらず、"この世にまだ無いモノ"を次々と作り出してきた安藤氏の発明・発見スピリットや創造的な思考を体感できることが特長となっています。「クリエイティブシンキングボックス」エリアには、同氏のクリエイティブな発想を知ることができる、6つのボックスを用意。ボックスを覗きこむことで、楽しみながら自分自身の発明・発見のヒントをぜひ見つけ出してみてください。同時に、全長約58mの大パノラマで表現されている「安藤百福ヒストリー」をみれば、さらに発明の意欲が沸くかも!?大人の心に響く、歯切れのよい安藤氏の語録と人生録。さらにお子さんの目線の高さには、安藤氏のエピソードをユーモラスに紹介したイラストがあり、大人から子どもまで楽しめる工夫がなされています。

一方、世界の胃袋を満たし続けるインスタントラーメンの歴史がひとめでわかるのが「ヒストリーキューブ」エリア。「チキンラーメン」というひとつの商品から始まり、無数の商品が世界中で登場してきた歴史が、3,000点を超える数のパッケージで表現されています。これはみていて楽しい!世界各国のインスタントラーメンのパッケージにもぜひ注目してみてください。
同ミュージアムに足を運ぶ際、ぜひとも体験してみたいのが、2つの"ファクトリー"です。「チキンラーメンファクトリー」は、あの「チキンラーメン」を手作りできる工房です。小麦粉をこねるところから始まり、のばして蒸したあとに味付け、さらに「瞬間油熱乾燥法」で乾燥するまでの工程を、楽しみながら体験することができます。

世界初のインスタントラーメンが生み出された発明の原点を体験したあとは、自宅に持ち帰って"自分で作ったチキンラーメン"に舌鼓!同ファクトリーは予約制で、中学生以上500円、小学生300円 (消費税込)となっています。

もうひとつのファクトリーが、世界でひとつだけのオリジナル「カップヌードル」を作ることができる工房「マイカップヌードルファクトリー」です。自分でデザインしたカップに、4種類の中からお好みのスープと、12種類の具材の中から4つのトッピングを選べます。味の組み合わせは、なんと合計5,460通り!スープは「シーフードヌードル」なのに、あえてシーフードを使わなかったり、「カップヌードルカレー」のスープに、市販品では入っていないコーンやネギを加えてみたり…自由な発想で、新しい味の発見にトライしてみてくださいね♪

そして、お子さん大はしゃぎ必至のアスレチック施設「カップヌードルパーク」。

単なるアスレチックではありません。巨大な工場の中で、自分自身が「カップヌードル」の"めん"になった気持ちでトライ!

製めんから出荷されるまでの生産工程を、楽しみながらカラダで体感できるというわけです。ミュージアムの至るところに、きめの細かい工夫がなされている点に、改めて感心させられます!

お腹がすいたら、フードアトラクション「NOODLES BAZAAR〜ワールド麺ロード〜」へ。安藤百福が"めん"のルーツを探し求めて「麺ロード」を旅する途中で出会った、世界各国のさまざまな"めん"を味わうことができます。中国の「蘭州牛肉面」に、インドネシアの「ミーゴレン」、ベトナムの「フォー」、韓国の「冷麺」、カザフスタンの羊肉とオイスターソースを使った「ラグマン」など、選ぶのに迷ってしまうメニューが揃っていますよ!
■カップヌードルミュージアム
 ホームページ:http://www.cupnoodles-museum.jp/
横浜中華街にあるチャイナテーマパーク「横浜大世界」。お土産やグルメなど多彩なコンテンツが揃う8階建てビルの中の8階〜5階が「トリックアートミュージアム」となっています。

トリックアートとは、ヨーロッパで発祥した「トロンプ・ルイユ」と呼ばれる立体画法(だまし絵)に、新しいアイデアを付加して確立したニューアートのこと。遠近法や陰影法、色味や照明を組み合わせた上に、透明度の高いペンキを塗り重ねることで、光の屈折や反射を作り出して、見ているこちらの錯覚を引き起こします。カンタンにいうと、2次元の絵が限りなく立体にみえるということ。同ミュージアムの7・8階には、そんなトリックアートがたくさんあります。

本当は存在していないモノを壁面や床などに描くことで、あたかも存在する様に見せる作品や、3次元の現実ではあり得ない建築物を描いた作品、見る角度によってまったく別のモノにみえる作品など多種多彩。

中には、「座れない椅子」や「どこまで登れるのかわからない階段」など、来場者が実際に作品の中に入り込めるような"体感型"のトリックアートも。「なんで?すごい!」と不思議がる子ども達と、「なるほど…こうなっているのか…」と仕組みに関心する大人達。小難しさがなく、誰でも楽しめるのがトリックアートの最大の魅力です。しかも、作品によっては触ったり、写真を撮ったりすることも可能。作品といっしょに記念撮影すれば、良い思い出になること必至です。

なお、6階の3Dシアターでは、脳トレコーナー「伝説の迷路」を実施。迷路を抜け、隠し絵を見つけるだまし絵の世界を存分に味わって、脳を鍛えましょう!
そして5階は、今年3月16日に拡張リニューアルオープンしたばかりの「ふしぎなアートコーナー」。注目は、2010年に開催された「Best Illusion of the Year(ベスト錯覚コンテスト世界大会)」で優勝を飾った作品展示です。

優勝作品を手掛けたのは日本人の杉原厚吉氏(明治大学 先端数理科学インスティテュート特任教授)。どんな作品かといいますと、4方向に延びる滑り台を、ボールが重力に逆らうかのうように上っていくというもの。人間の目の不可思議さを感じずにはいられない作品です。ぜひ、その目でお確かめください!同作品は「大学博士トリック作品コーナー」にあります。また、武蔵野美術大学の生徒たちが手掛けたトリック作品コーナーも要チェックです。

韓国ソウル在住の現代アーティストのイ・ビョンホによる作品は、ギリシャ彫刻を思わせる若い女性の胸像。しかし、じっくりと眺めているうちにどんどんと年をとっていく不思議さ!同作品の名前は「ヴァニタス」。ラテン語で「空虚」「むなしさ」などを意味します。不思議で面白くもあり、感慨深い気持ちも抱くことができますよ。

"日本のエッシャー"と呼ばれることもあるグラフィックデザイナー、福田繁雄氏の立体作品「アンコール(リプロダクション)」も。見る角度によってピアニストやヴァイオリニストが現れる作品です。また、トリックアートの第一人者として知られるカート・ウェナー氏の3Dアート代表作ともいえる「マネー・ピット」を国内初で展示公開。平面に描かれたアートが、見る角度や魚眼レンズを通して見ると立体的に見える不思議な作品です。

見て、触って楽しむトリックアートの世界。ぜひご家族揃って、不思議体験を!!
■トリックアートミュージアム
今後の特集の参考にさせていただきます。
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