全国各地で相次ぐ花火大会の中に、花火師たちが切磋琢磨した腕前を競い合う大会があるのをご存じですか?そうした大会は、一般的に「花火競技大会」と呼ばれます。まずご紹介したいのが、秋田県大仙市で開催される「全国花火競技大会」、通称"大曲の花火"です。
花火を作った本人自らが、その花火を打ち上げる。独創的な花火を創り上げる技と、打ち上げ技術の双方が必要となる大曲の花火は、内閣総理大臣賞や経済産業大臣賞などが授与される大会。この大会での評価が、そのまま花火師の"格"になるといっても過言ではありません。
大曲の花火の珍しいところは、日が暮れないうちから花火が始まるところ「昼花火の部」が行われます。「闇に浮かんでこその花火でしょ?」と思われるかもしれませんが、昔から花火通の間では、昼の花火も風流であるとされていました。
光が目立ちませんので、代わりに創意工夫がなされるのは煙。赤や黄色、青、紫などが細長く、龍のようにたなびく様子を楽しむ「煙竜」や、夜の花火同様に円状に煙が広がるものなど、実にさまざまです。いくつか眺めていると、なんとなく善し悪しがわかってくるのもおもしろいですよ。
夜の部は、10号玉を2発打ち上げる「10号玉の部」。これはいわゆる"規定演技"ですね。たった2発ですので、ごまかしが効きません。より美しく、整っているかが勝負の分かれ目となります。1発目の花火と、2発目の花火のコントラストも要チェック。たった2発で物語を描き出すところは、短い言葉で表現する"俳句"に似ているといえるでしょう。
そして「創造花火の部」は、"自由演技"。そこには「花火は丸い」といった常識もありません。いかに"これまで見たことがない!"と思わせるかが審査のポイントのひとつになります。また、打ち上げ花火にテーマを設け、そのテーマに沿ったかたちや色彩、リズム感や立体感をいかに表現していくかも問われます。
今年の開催日は8月24日(土)。花火シーズンもひと段落した頃、全国から28社の花火師たちが秋田に集結し、花火シーズンの総決算といえる競演が行われます。一生に一度は見てみたいと思わせてくれる花火大会です。