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特集記事【2014年7/20日号】

毎年言っていることですが、やっぱり夏は暑い!近年は、クーラーをつけないでいて、部屋の中でも熱中症になってしまったケースも多発しています。

だからといって、まるまる一日、クーラーの効いた中で暮らしていると、体内の調節機能が変調をきたし、免疫力が低下して夏風邪を引いてしまう…といったことにもなりかねません。

そこで注目したいのが、クーラーも、扇風機すらなかったかつての日本人の"涼"の取り方。実際に体を冷やすというよりも、目で見たり、音を聴いたり、食べたりして、五感を駆使して"涼を感じる"知恵が活きています。

今月は、"江戸流"で涼を愉しめるようなイベントやグルメなどをご紹介しましょう。たまにはクーラーから自分を解放して、粋な夏をお過ごしくださいね。
古くから伝わる日本の"涼"グルメといえば、キーンと冷たいかき氷。平安時代、清少納言の「枕草子」にも、金物の器に削った氷に甘葛(あまづら)というツタの汁を煮詰めたもの(つまりシロップ)を入れて食べたという記述があるほどです。江戸時代には、上州(栃木・群馬)の氷職人が冬場に氷室で作った氷を、保冷材の役割を果たす「おがくず」にくるんで江戸まで運んでいました。

冷蔵庫や冷凍庫が普及してからは、ご家庭で簡単に作れるようになったかき氷ですが、近年になって、かつてのような氷室で作られ、はるばる運ばれてくる「天然氷」を使ったかき氷が注目を集めているのをご存じですか?

昭和初期には100軒あまり存在していた氷室も、現在は全国でたった5軒のみ。そのうちのひとつが日光にある「四代目徳次郎」。冬の寒い時期、氷を作る池に浄化した岩清水を流し込み、日々きめの細かい管理をしながら寒波によってゆっくりと天然氷を育てていきます。

そうして出来上がった「四代目徳次郎」の天然氷は、夏になるとさまざまなお店に供給されます。以下の百貨店において、期間限定でフワフワのかき氷を楽しめますよ!シロップも、とちおとめいちごやブルーベリー、ゆず、つぶつぶみかん、和三盆黒糖、ジンジャーレモンなど、バリエーション豊富です!

◇平成26年7月23日(水)〜9月9日(火)西武池袋本店 地下1階 催事場  
※7月28、29日の2日間はお休み
◇平成26年7月23日(水)〜9月2日(火)立川タカシマヤ 地下1階 特設会場
◇平成26年7月30日(水)〜8月18日(月)そごう大宮店 地下1階 催事場
◇平成26年7月30日(水)〜8月12日(火)新宿タカシマヤ 地下1階 催会場
◇平成26年7月30日(水)〜8月5日(火)日本橋三越本店 地下1階 フードコレクション
◇平成26年8月1日(金)〜8月31日(日)恵比寿三越 地下2階 フードガーデン
砂糖が貴重品だった昔は、さまざまな知恵を絞って「甘味」をつくりだしていました。そのうちのひとつが「甘酒」。発酵することで生まれる糀(こうじ)の甘さを活かした逸品です。甘酒というと現在では冬場から雛祭りにかけて飲むものと思われていますが、江戸時代は夏にもてはやされました。甘酒を天秤棒で担いで売る甘酒屋も登場。夏バテで栄養不足になりがちな江戸の庶民にとって、甘酒は夏を乗り切るエナジードリンクでした。

東京は神田明神の門前に店を構える「天野屋」は、1846年創業の老舗。なんと創業以来、店の地下6mのところにある土室(むろ)で糀をつくり、生成・熟成を行っているというから驚きです。ちなみに同店の甘酒は酒粕を用いてつくるタイプではないので、アルコール分は含まれていません。お酒が苦手な方やお子さんでも楽しめます。

夏のおすすめは、ズバリ「冷やし甘酒」。温かい甘酒よりもすっきりとした味わいで、涼しげな感覚を愉しむことができます。添えられているのは自家製の「なめ味噌」。これをチョチョッとつまみながら飲むスタイルです。

近年、夏場は水分だけでなく、汗で排出される塩分も補うことがよいとされていますが、昔の人びとは感覚的にそのことを知っていて、味噌を添えたのかもしれませんね。

そしてもうひとつ、写真のような、何もシロップがかかってないようにみえるかき氷。これ、実は夏季限定の「氷甘酒」なんです。

同店の冷やし甘酒に氷糖蜜が少し加わっていて、なんともやさしく、涼しげな味!

甘酒の糀のつぶが、どこか宇治金時のあずきの食感を彷彿とさせます。

神田明神でお参りして、天野屋で江戸情緒あふれる涼を楽しむプチ散歩。この夏のおすすめです!
■天野屋
 ホームページ:http://www.amanoya.jp/
水の中を優雅に、舞うように泳ぐ金魚。江戸時代、夏になると天秤棒に掲げたタライの中に金魚を入れて売り歩く「金魚売」が出て、江戸後期には庶民の間でも金魚を飼うことがブームとなりました。"見て涼む"という、なんとも粋なこの文化が、現代風にアレンジされて昨今人気を博しています。

金魚文化の発祥の地といわれる東京・日本橋。この地の日本橋三井ホールで行われているイベントが「ECO EDO 日本橋 アートアクアリウム2014 〜江戸・金魚の涼〜&ナイトアクアリウム」。まさに今回の特集テーマにピッタリのイベントです。

アートアクアリウムは、和をモチーフにした水中の世界に、LEDの照明やプロジェクションマッピングなど最新のテクノロジーを用いて幻想的な世界をつくりだす、新感覚の水中アート展覧会。今回は珍しい品種もあわせ、約5000匹の金魚が水中を優美に泳ぎます。

江戸・徳川の栄華の象徴といえる大奥を表現した巨大金魚鉢「大奥」は、幅約3mにわたる作品。百花繚乱でありつつ、金魚の泳ぐ姿で妖艶な儚さをも表現されています。

茶室で用いられる照明器具のひとつ、雪洞(せっとう・ぼんぼり)をイメージした「ボンボリウム」は、かわいらしい雪洞のかたちと、光がゆっくりと移り変わる様子が楽しげ。闇に浮かぶ姿は、やはり涼しげですね。

地球をイメージした直径1.5mの巨大な球体水槽の中に、錦鯉が優雅に泳ぐ「アースアクアリウム・ジャポニズム」は、作品そのものがゆっくりと回転する仕掛けが施されています。ゆっくり、優雅に動くものは、どこか"涼"を感じさせてくれるものです。

「ビョウブリウムII」は、その名のとおり屏風をかたどった水槽に、四季12カ月を表すプロジェクションマッピングが施されています。動く屏風絵の中を、本物の金魚が自由に泳ぐことで作品が実現。和の世界の美しさを十分に堪能してください。

他にもさまざまな作品があり、照明だけでなく音楽や香りの演出もなされ、まさに五感で"涼"と"美"を堪能できる空間が広がっています。
同イベントは9月23日(火)まで開催中。11時から19時まではアートアクアリウム、19時から23時30分まではナイトアクアリウムとして開催されます。遅めの時間までやっているので、仕事帰りや夕食後に立ち寄れるところが嬉しいですね。

なお、日本橋では他にも多彩な"涼"を楽しむイベントが開催されています。9月23日(火)までは、日本橋界隈の商業施設やお店、約170店で、全国各地から取り寄せた風鈴が飾られて、納涼気分を演出。

さらに8月31日(日)までは、三井本館、日本橋三井タワー、コレド室町など、日本橋界隈の商業施設が涼をイメージされる青色にライトアップされます。各施設の店舗の入り口には、日本橋らしさを演出する大暖簾がかかり、街ぐるみで統一されたイベント感を演出。細かいところまで気が利いていますね。

そして、夏の金魚といえば金魚すくい!

7月26日・27日には日本橋三越本店、8月2日・3日には日本橋高島屋にて「第2回日本橋金魚すくいグランプリ」が開催されます。

決勝戦は、日本橋 滝の広場にて8月31日に開催。名人の粋に達した技を、ぜひその目で確かめてみてはいかがでしょう。

他にも、日本橋船着場から隅田川を経て戻ってくる納涼船や、日本橋納涼怪談、ゆかたの着付けやレンタルができるステーションが設置されたりと、至れり尽くせり。今年の夏は、日本橋が熱い!いや、涼しい!ぜひ足を運んでみてくださいね。
■ECO EDO 日本橋2014
ひとっ風呂浴びた後、縁台に座って将棋を指しながら、スイカにかぶりつく。あるいは縁日や盆踊り、花火に出かけ、残暑の頃には鈴虫などの音に耳を傾ける…江戸時代から続く、日本の夜の"夕涼み"のひとコマです。そんな夕涼みが満喫できるイベントをご紹介しましょう。

まずは東京都小金井市にある江戸東京たてもの園。ここは江戸時代から昭和初期までの、30棟の復元建造物が建ち並ぶ野外博物館です。この地で毎年夏に開催されているのが、特別夜間開園「下町夕涼み」。

今年の開催日は8月2日(土)・3日(日)。14時から20時30分までの開園です。射的あそびに多彩なお祭りフードの屋台、盆踊りにこども神輿、和傘販売、浴衣の着付けコーナーなどなど、家族揃って賑やかな夕涼みを楽しめます。

なにより"たてもの館"なので、情緒あふれる和風建築が軒を連ねる中、ただそぞろ歩くだけでも風情満点。浴衣や甚平で出かけたいイチオシのイベントです!

そして、今年のテーマは「たてものと妖怪〜日本の夏 妖怪の夏〜」。ゾクッと背筋が寒くなる妖怪や幽霊、怪談も、江戸時代に大ブームとなりました。"怖がって涼む"というのは、なんとも奇想天外で面白いですよね。

西ゾーンでは、静かな暗がりの中、江戸・東京の妖怪を紹介するパネル展示が行われます。さらに江戸時代後期に建てられた民家、吉野家(よしのけ)が演芸場となり、夕暮れ時に雰囲気たっぷりの中で、落語家の三遊亭金時さんが怪談噺を披露。「死神」「牡丹燈篭(ぼたんどうろう)」「竃(へっつい)幽霊」「もう半分」などの演目が予定されています。

賑やかな屋台や盆踊りと、怖〜い怪談をいっぺんに楽しめるのは贅沢!当日、入園の際に混雑が予想されるため、ぜひ前売入園券を入手してお出かけください。
■江戸東京たてもの園
 ホームページ:http://tatemonoen.jp/
日差しを受けて熱された道路に水をかけ、気化熱によって周辺の気温を下げる「打ち水」。近年はヒートアイランド対策として、全国各地の市町村で打ち水イベント等が開かれるようになりました。

今年の夏、都内においても各所で打ち水が行われます。

7月23日(水)の「大暑」に行われる「六本木打ち水大作戦」は、東京ミッドタウンと地元町会や商店街振興組合が連携し、六本木交差点周辺から外苑東通り沿いエリアにかけて打ち水を開催。

当日の17時20分にプラザ1Fキャノピー・スクエアに行くと、誰でも無料で打ち水を体験することができます。

大手町・丸の内・有楽町エリアで開催される「大丸有 打ち水プロジェクト2014」も参加型の打ち水イベント。

7月25日(金)は丸の内の行幸通り、8月1日(金)は有楽町駅前広場、8月4日(月)は大手町川端緑道、8月8日(金)は東京サンケイビル メトロスクエア1F「フラット」、お盆期間中の8月14日(木)には、東京国際フォーラム1F 「地上広場」にて「集まれ!KIDS打ち水」が開催予定です。

オタク文化の街、秋葉原でも8月2日(土)にJR秋葉原駅西側交通広場にて「うち水っ娘大集合!2014 冷やそうみんなの秋葉原」を開催。秋葉原らしく、毎年メイド喫茶のメイドさんや一般のコスプレイヤーが多数参加しているところがポイントです。こちらも誰でも参加可能ですが、お風呂の残り湯など、一回使った水をペットボトル等に入れて持ってきてと呼びかけています。正しい打ち水のやりかたですね!

ぜひ一度、打ち水イベントに参加してみて、気温が下がる様子を体感してみてくださいね。もちろん、ご自宅の回りでもやってみましょう!
■六本木打ち水大作戦(東京ミッドタウン)
■大丸有 打ち水プロジェクト2014(エコッツェリア)
■うち水っ娘大集合!2014 冷やそうみんなの秋葉原
 ホームページ:http://uchimizukko.chu.jp/
今後の特集の参考にさせていただきます。
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