さっそくおすすめの山菜を紹介しましょう。まずは、タラの芽。ウコギ科の低木「タラの木」の新芽で、水はけがよく、日当たりのよい山林に生えています。幹にはトゲがあり、トゲの多いものを「男(お)だら」、少ないものを「女(め)だら」と呼ぶこともります。
「山菜の王様」といわれる理由は、やはりその味でしょう。もっちりとした食感と、ほのかな甘みとコクのある味。春を感じさせてくれる若々しい香り。大ぶりのタラの芽を天ぷらにすると、その滋味深い味がよくわかります!その味わい深さゆえ、近年ではハウス栽培も盛ん。栽培ものは早春の頃から出回り始めます。一方、山に自生する天然のタラの芽は4月半ばから6月上旬くらいが旬です。一本の木に対して、採る適量は1つか2つ。全部採ってしまうと枯れてしまうのでマナー違反です。
なお、近頃は「山菜の王様」の座を虎視眈々と狙い、ときおりスーパーでも見かけるようになった「コシアブラ」もおすすめ。その若芽はタラの芽よりも香りが高く人気です。
続いては、ワラビ。知名度の高さは一番かもしれませんね。全国的に分布しているシダの仲間です。ちなみに、ワラビの根っこから採取する澱粉はワラビ粉と呼ばれ、和菓子「わらびもち」の材料に使われてきました。
春から初夏の間は、まだ葉が開いていない状態。その若芽状態が美味のピークです。全国生産量1位の山形や、2位の秋田などの東北部ですと、6月上旬に旬を迎え、全国の都市に出荷されていきます。
スーパーに並ぶワラビを選ぶときは、産毛が多く、首がきちんと"おじぎ"しているもの新鮮で柔らかいのでオススメです。
また、ワラビにはアク抜きが必要です。沸騰したお湯に重曹を入れ、そこにワラビを入れて2分くらい茹でます。
火を止めて自然に冷ました後、水を入れかえて1晩置いておけばOK。おひたしや和え物、炊き込みごはんや和風パスタなど、春らしい"ほろにが"感を伴う味がよく合いますよ。
ちなみに、似たような形をした山菜に「ぜんまい」と「こごみ」があります。ぜんまいは先端がクルリと丸まっていて、色も茶色系。
こごみは鮮やかな緑色をしています。「ワラビ」「ぜんまい」「こごみ」のうち、最もアクが強いのはぜんまい。
ぜんまいはアク抜きした後、天日で乾燥させることが一般的です。逆に「こごみ」はアク抜きせずにそのまま調理できるので便利。クセがないのでお子さんにもピッタリです。
山菜特有の苦みを存分に堪能したい大人の方におすすめなのは、山うど。ウコギ科の植物で、タラの芽の仲間にあたりますが、木にはなりません。食べる部分は新芽、もしくは茎や若芽です。よくスーパーに出回っている真っ白い「うど」は、日光を遮って栽培されたもの。逆に山うどは葉の部分は緑で、土を被ったところだけ白くなっています。
同じ仲間のタラの芽にはふくよかな甘みがありますが、山うどはワイルドの一言!独特の苦みを持っています。真っ白いうどよりも、山うどのほうが香り高いですね。酢の物にしたり、酢味噌で和えたり、きんぴらごぼうのようにして食べるのもおすすめです。