リゾート地として知られる栃木県那須の名所のひとつに「殺生石」とよばれる石があります。これは昔、美しい女性に化けて日本を滅ぼさんとしていた狐が、正体がばれて那須の地まで追われ、退治された際に「石」に変わったというもの。化け狐の妖力は石になっても衰えず、毒ガスを放出してあたり一面に草木が生えず、地獄のような風景を作り出しています。
ちょっと恐ろしい伝説ですが、この毒ガスとは硫化水素のこと。温泉の源ともいえますから、地域に温泉の恵みをももたらしているわけです。
その伝説の狐は尾が9本あり、「九尾の狐」といわれています。これにちなみ、那須で秋に開かれているのが那須九尾まつりです。今年で7回目を迎える、比較的新しいお祭りです。日時は「九尾」ということで、毎年9月末の日曜日に開催。今年は9月27日(日)です。
さて、そんな九尾まつりのどこが「グルメ」かといいますと、狐といえば稲荷、稲荷といえば「いなりずし」!例年もっとも注目を集めているのが「日本一長いお稲荷巻きに挑戦!」コーナーです。
酢飯を油揚げですっぽりと包めば「おいなりさん」ですが、このイベントで作られるのは、海苔の代わりに油揚げを使って具を太巻きのように巻き上げる「お稲荷巻き」。具は「九尾の狐」にちなみ、9種類(牛肉・きゅうり・なす・しいたけ・ごま・たまご・しょうが・かんぴょう・きぬさや)が用いられます。具沢山で豪勢な稲荷巻きです。
「日本一」たるゆえんは、その長さ!昨年より1メートル長い、122.9メートルの稲荷巻き作りに挑戦します。油揚げは通常サイズのものが約1800枚、お米は約40kg!350人を超える参加者が一列に並び、号令に合わせて一気に巻き上げます。
途中切れることもなく完成した巻ずしは、その場で参加者に振舞われます。122.9メートルということは、1人10センチ食べたとしても1229人分!「食べ甲斐がある」とは、まさにこのことですね。