秋に旬を迎える魚といえば、なんといってもさんま。そこで、脂が乗りに乗ったさんまを食べることができるお祭りを2つ紹介しましょう。
いずれのお祭りとも、開催地となるのは東京・目黒。海のない目黒でさんまのお祭りが行なわれる理由は、やっぱり古典落語「目黒のさんま」です。
江戸時代、さる殿様が目黒へ馬の早駆けに出かけた際、おともが弁当を忘れてしまった。そこにプーンと漂ってきたのがさんまの匂い。庶民が食う卑しい魚だから、と躊躇する家来をよそに、さんまにかぶりついた殿様は美味しさに大満足!この味が忘れられない殿様、後日さんまを所望しましたが、家来がヘンに気を遣ってしまい、カラダに悪い脂を全部抜いて、さらに小骨がさわるといけないから骨も全部取った状態で殿様に出したところ「これは不味い!」となりました。パサパサですから当然ですよね。そこで殿様「これはどこで獲れたさんまなのか?」と尋ねたところ、家来は「日本橋魚河岸です」と一言。それに対して殿様は「ダメじゃ!さんまは目黒に限る!」と言う・・・それが「目黒のさんま」のあらすじです。殿様の世間知らずぶりと過保護を笑うお噺ですね。
そんな殿様が馬で駆けた土地で、殿様と同じように秋空のもと、さんまに舌鼓を打てるお祭りが「第14回目黒のさんま祭り」。9月6日(日)に開催されます。メイン会場となるのは誕生八幡神社。駅から続く目黒駅前商店街でもさまざまな催しが行なわれます。
扱うさんまは岩手県宮古産。この時期に獲れるさんまとしては、最も脂が乗っているといわれています。その新鮮なさんま食べ放題に加え、6000匹を無料配布!当然ながら例年長蛇の列ができますので、早めにお出かけすることをオススメします。祭りのスタートは午前10時から。午後2時くらいには終了します。
さんまだけでなく、さんまを美味しく食べるための「脇役」にも役者が揃っています。まずはジュージューと焼けたさんまに垂らす柑橘類として、徳島県神山町産の「すだち」。約1万個が用意されます。さらに栃木県黒磯市高林直送の“辛味”大根。500本分の大根おろしを、その場でさんまとともに堪能することができるんです。
その他、これらの産地である岩手、徳島、栃木の物産展や、商店街のワゴンセール、野外コンサート、阿波踊り、大道芸、富くじ抽選会なども開かれ、目黒の街は秋祭りの装いに。特筆すべきは、誕生八幡神社で行なわれる「目黒のさんま寄席」。落語「目黒のさんま」にあやかって、落語や神楽などの舞台を無料で楽しむことができます。生で落語を聞いたことがない人も、ぜひ臨場感満点の目黒の舞台でお楽しみください。