11月のお祭りといって「酉の市(とりのいち)」をイメージする方も多いのでは?酉の市とは、各地の鷲神社(おおとりじんじゃ)で行なわれる祭礼のこと。例年、11月の「酉の日」に行なわれます。去年は「三の酉(酉の日が11月中に3日ある)」まで催されましたが、今年は2回。「一の酉」は11月12日、「二の酉」は11月24日です。
関東地域の酉の市では、「熊手」がズラリと並ぶことで有名ですよね。今では鯛や七福神、宝船など、まるで「福を呼ぶクリスマスツリー」のようにおめでたい飾りが施されているものが多くありますが、もともとは至ってシンプル。
竹でできた熊手に稲穂が一本あしらわれた質素なものが多く、江戸の町民たちはこれを買ってかんざし代わりにしたり、襟首にあしらったりしていたそうです。
ところでなぜ「熊手」なのかといいますと、その姿カタチから「福」を「かっこむ(かき集める)」から、とのこと。つまりは洒落ですね。祭礼においても洒落を取り入れた、昔の人々の「ゆとり」と「粋」を感じます。
もちろん、現在でも1000円にみたない、上記のようなシンプルな熊手も多く売られていますが、一方で数万円にも上る大きな熊手も。商売をしている方などには、2万円程度のものがよく売れるそうです。また、熊手は職人さんの手作りによるものが多く、大きさや装飾品などもまちまち。そのため、境内をぐるっと散策し、品定めをしてから購入するとよいでしょう。値切り交渉も熊手を買う楽しみのひとつ。縁起物を値切るとなるとちょっとためらわれますが、この風習は江戸から現在に至るまで続いています。昔は、値切った分だけご祝儀でお店に置いてきたとか。ちょっとでも得したいというより「値切る行為」そのものを楽しんでいたわけですね。売買行為が終われば、売り手と買い手が一体となってシャンシャンシャン!と手締めを行ないます。
装飾品で極彩色を発する熊手がズラリと掲げられ、夜にはランプの灯りで幻想的な雰囲気を醸す・・・その中をそぞろ歩く楽しさが、酉の市の醍醐味です。