埼玉県の北西部に位置する本庄市は、かつて中山道の中で最も栄えたといわれる宿場町「本庄宿」のあった地。明治時代には、この地に遷都を望む声や計画が持ち上がるほどだったとか。そんな本庄を舞台に繰り広げられる秋祭りが「本庄まつり」です。市内最大のお祭りとして、例年多くの人々が詰め掛けます。
毎年11月2日・3日に開催される本庄まつり、その最大の見どころは10基の山車です。
いずれも明治初期から大正時代にかけて建造された、由緒あるものばかり。それぞれに、日本神話等にまつわる英雄をかたどった人形が乗っているところもポイントです。
山車は、輪台車の上に、囃子方が演奏する場所「囃子座」と、人形が鎮座する「人形座」のある“江戸型”のスタイル。
人形座の内部にある人形はカラクリによって迫り出す仕組みになっていて、精巧な彫刻や漆塗り、金箔や彫金、華麗な文様の幕類で飾られています。
ざっとそれぞれの山車に鎮座する人形を紹介すると、宮本町が日本武尊(やまとたけるのみこと)。武勇の誉れ高く、いわずとしれた日本神話のヒーローです。泉町は武内宿禰(たけのうちすくね)。300歳近く生きたといわれ、かつてはお札の肖像にもなった伝説の人物です。上町は、応神天皇の母といわれる神功皇后(じんぐうこうごう)。照若町は、皆さんご存知の桃太郎。七軒町は戦国時代の武将、加藤清正。台町は、1つの胴体に8つの頭を持つ怪物「ヤマタノオロチ」退治で知られる素盞鳴尊(すさのおのみこと)です。
人形の違いをはじめ、山車の装飾の違いやお囃子の違いなどに注目しつつ、町を練り歩く山車の豪華絢爛さに触れてみましょう。