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特集記事【2010年9/20日号】

江ノ電沿線で、鎌倉駅周辺についで寺社仏閣が多いのが長谷・極楽寺界隈です。まずは駅名と同じ「長谷寺」からご紹介してみましょう。

長谷寺の境内は2つに分かれていて、観音山の裾野に位置する下の境内は、妙智池と放生池を有する回遊式の庭園になっています。長谷寺といえば梅雨時に咲く7000株のアジサイが有名ですが、四季を通じて多種多彩な草花を愛でられることでも有名です。秋はキンモクセイにモミジ、十月桜、サザンカ、椿、シュウメイギク、ツワブキなどが開花し、参拝客の目を楽しませてくれます。

一方、観音山の中腹に位置する上の境内には、諸堂が立ち並んでいます。観音堂にあるご本尊、十一面観音菩薩像は室町時代の作といわれ、高さ約10mにも及ぶ巨大な菩薩像。錫杖を持ち、岩座に立つ“長谷寺式”の菩薩です。また、阿弥陀堂には、かの源頼朝が自らの42歳の厄除けのために建立したといわれる阿弥陀如来坐像があり、大黒堂には鎌倉江ノ島七福神の1つに数えられ、弘法大師の作と伝わる大黒天像を祀っています。

霊験あらたかな仏様と対峙していると、心が安らかに鎮まってきますよね。また、境内にポツリポツリと点在しているお地蔵さんも長谷寺の名物。「和み地蔵」などは、なんともやさしげな微笑みで佇んでいます。

その他、鎌倉の街並みと海を一望できる見晴台や、眺望散策路も整備されています。さらに秋は、紅葉も実に見事。毎年恒例となっている「紅葉ライトアップ(夜間特別拝観)」が開催される時期には、多くの人々がこの寺に足を運びます。今年の紅葉ライトアップ開催期間は、11月20日(土)から12月5日(日)まで。日没から19時までの開園で、入山料は大人300円、小学生100円です。色づく木々が灯りに照らされ、古都の彩りがいっそう強まる幽玄の世界に浸ってください。

9月26日(日)には、大黒堂にて大黒天縁日が開催されます。また、10月17日(日)には、門前商店会によって催される「かまくら長谷の市」を開催。これらの行事に合わせてお出かけするのもオススメですよ。
長谷駅から北に伸びる長谷通り。数あるお土産屋を眺めつつ北へまっすぐ進むと、鎌倉を代表する名所、高徳院にたどり着きます。ご存じ、鎌倉の大仏が鎮座する寺院です。

国宝に指定されている大仏の元来の名は、阿弥陀如来坐像。高さは約11.3m、重さは約121トンにもなります。もともとは東大寺の大仏のように、大仏殿の中に鎮座していましたが、台風や津波によって倒壊し、現在のような露座となったそうです。 江戸時代には、蓮の台座を作る計画が持ち上がりましたが、全32枚の蓮の花弁のうち、完成したのは4枚。その4枚は大仏の背後に安置されています。

ちなみに大仏に限っては、補修を繰り返している東大寺の大仏に比べ、ほぼ造られた当時の姿を保っているといわれ、鎌倉時代の仏教彫刻を今に伝えています。大仏の後ろに回ると、左の部分に開口部があり、胎内に入れるようになっていますので、ぜひとも大仏様を内部から見てみましょう。

さらに、鎌倉でハイキングを楽しみたい方にオススメなのが、高徳院から北へ伸びる葛原岡・大仏ハイキングコースです。 高徳院から大仏坂入口を経由して、歩くこと約50分で葛原岡神社に到着します。ここから銭洗弁財天まで徒歩10分、浄智寺入口まで徒歩20分。銭洗弁財天へ向かったら鎌倉駅、浄智寺へ向かったらJR北鎌倉駅が最寄り駅となります。

鎌倉の山間から見渡す鎌倉市街もまた、素晴らしい眺望です。スポーツの秋ということで、心地よい汗を流してみてはいかがでしょう。

そうそう、もうひとつ長谷の町でご紹介したいところがありました。長谷駅から長谷通りを北へ向かい、長谷観音前交差点を右折して100mほどの距離にある宮代商店です。本来はお肉屋さんですが、この店で有名なのはコロッケ。実に多くの種類があり、注文してからカラリと揚げるシステムになっているため、いつでもアツアツのコロッケを堪能できます。かの桑田啓祐さんが満面の笑みを携えながら、この店のコロッケをほおばる写真も飾ってありました。江ノ電沿線の隠れた名所です。
 
緑の濃い極楽寺駅から江の島方面に向かうと、列車は緩やかなカーブを描きつつ海沿いへ。パッと海が車窓に広がった時は、誰しも少しは心躍りますよね。これから訪れる稲村ヶ崎駅、七里ヶ浜駅、鎌倉高校前駅は、江ノ電屈指のオーシャンビュースポット。国道134号線と並行して、江ノ電がのんびりと海沿いを走ります。

まずご紹介するのは稲村ヶ崎。稲村ヶ崎とは、由比ヶ浜と七里ヶ浜の間に位置する岬の名です。刈り取った稲穂を積み上げた形に似ているため、その名がついたんだとか。万葉集にある「鎌倉の 見越しの崎の 岩崩(いわくえ)の 君が悔ゆべき 心は持たじ」の歌にある“見越しの崎”も、この稲村ヶ崎ではないかといわれています。

近年では、サザンオールスターズの桑田啓祐さんが監督を務めた映画「稲村ジェーン」の舞台として、その名が広まりました。現在は鎌倉海浜公園として整備されています。

この地の素晴らしさは、やはり景観の美しさでしょう。稲村ヶ崎から西の方面を仰ぎ見ると、緩やかな弧を描いた海岸線が続き、その先に突き出るように浮かぶ江の島の姿が。

そして、江の島と海岸線のちょうど中間の背景に、富士山を望むことができます。それだけでも絶景といえますが、ここに夕日が沈むと、輪をかけた美しさ!

その風景を見るだけでも、稲村ヶ崎駅で下車する価値があるといえるでしょう。

稲村ヶ崎と七里ヶ浜と間、海岸沿いのパーキングを会場にして繰り広げられている七里ヶ浜フリーマーケットも、多くの人が集まる名所となっています。

場所柄、サーフィン用品やラッシュガードなどのマリンスポーツ関連アイテムが充実しているほか、エキゾチックな雑貨やファッションなど、オシャレなモノが多い点が特長です。

開催日は毎月第2、第4週の土曜日と日曜日。海沿いということもあって、開放感溢れるフリマです。
サーフスポットとして知られる七里ヶ浜には、洗練されたショップが国道沿いに点在しています。

七里ヶ浜駅から海へ出た、国道134号の交差点の角にある「WEEKEND HOUSE ALLEY」は2008年にオープンした複合施設。サーフショップやペットグッズ&グルーミングショップ、セレクトショップなど、オシャレな品揃えのテナントが入っています。

2階に入っているのはヘアサロンとレストラン。レストラン「bills」はオーストラリア・シドニー発のショップとして話題になりました。コンセプトはズバリ、“シンプル”。至高の味でありながら毎日食べても飽きのこないブレックファーストメニューなど、その料理は海外で高く評価されています。

シドニーの洒落た家に“お呼ばれ”したような、アットホームかつ洗練されたダイニングエリアや、眼下に海が迫るテラス席など、落ち着いた雰囲気のインテリアも魅力のひとつです。

さらに国道134号を江の島方面へ歩くと、木目で装飾された3階建てのイタリアンスウィーツショップ「Amalfi Dolce(アマルフィイ・ドルチェ)」があります。

1階がケーキショップで、2階がアトリエ(厨房)。3階がカフェになっていて、こちらもテラス席からの眺めが最高!

1階で選んだスウィーツを食べることができるだけでなく、オリジナルメニューもふんだんに用意されています。「ハムと地鶏卵、チーズのパニーニ」や「モッツァレラ カロッツァ」など、小腹を満たせるサンドイッチメニューも美味しいですよ!海沿いのお散歩のティーブレイクに、ぜひどうぞ。

ちなみに系列店の「Amalfi DELLA SERA」も、同じく七里ヶ浜にあります。

こちらは本格イタリアンのお店。江ノ電の線路をまたぎ、細い階段をしばし山登りすると見えてくる洋館。高台に位置しているため、テラス席からの雄大な眺めは一見の価値あり。葉山、三崎灯台、江の島、富士山が180度のパノラマで連なっています。平日の午後3時〜5時以外は、1人1品お料理を注文するシステムなので、土日などに出向く方はお腹を空かせてお出かけください。
 
海沿いを走る江ノ電は、ホームと海が最も近い鎌倉高校前駅、漁港のある腰越駅を経て、江ノ島駅へたどり着きました。地魚料理の店やお土産屋が立ち並ぶ洲鼻通りを抜け、向かうは神奈川県指定史跡、江の島です。

江の島は切り立った崖に囲まれた、周囲4キロの島。島の入口である参道の前には、文政4年(1821年)に建てられた青銅の鳥居がそびえたっています。参道には、海の幸を扱うお店をはじめ、貝細工のお土産屋や和菓子の店、老舗旅館などがズラリと並び、縁日のような気分でそぞろ歩くことができます。参道を登り切ったところには、江の島名物「エスカー」の入口があり、島の中央に位置する江島神社辺津宮までエスカレーターで上ることが可能。料金は大人350円、小人170円です。もちろん、自らの足で上る人のための階段道もありますよ。ちなみにエスカーは「上り」のみです。

江島神社辺津宮(へつみや)は、島内に3つに分かれた江島神社のひとつ。江島神社は三人姉妹の海の女神を祀っており、辺津宮は田寸津比売命(たぎつひめのみこと)がご祭神です。奉安殿には、八臂(はっぴ)弁財天と、裸で琵琶をもった姿で知られる妙音弁財天も安置されています。

さらに歩みを進め、江の島の観光名所のひとつ、江の島サムエル・コッキング苑へ。明治時代、ここに庭園を作った英国人貿易商、サムエル・コッキング氏の名前にちなんだ施設です。レンガでできた当時の温室跡や、美しい季節の花が咲き誇ります。また、江の島のある神奈川県藤沢市と姉妹・友好都市関係にある国々の広場も点在。中国雲南省の昆明市との関係を象徴する昆明広場には、中国伝統の建築様式によって建てられた騁碧亭(ていへきてい)があります。

また、2010年10月30日(土)〜11月7日(日)の期間は、苑内を総数5,000基のキャンドルが優しい光で包み込むイベントも開催されますよ。

そして、江の島の象徴といえる江の島展望灯台。高さは59.8mですが、海面からの高さは120m。エレベーターで一気に上ると、360度の大パノラマが眼下に広がります。気象条件が良ければ、なんと茨城の筑波山まで見えるそうです。展望灯台の下にはイベントステージがあり、9月25日(土)・26日(日)の13:00から18:00(予定)にかけて、江の島恒例のハワイアンフェスティバル関連イベントを開催。ハワイアンミュージックとフラダンスが湘南の美しい夕暮れを演出します。ハワイアン雑貨やフードなどのショップも出店される予定です。
江の島サムエル・コッキング苑を過ぎ、さらに江の島の“裏側”へ歩みを進めます。このあたりまでくると、参道と比べて実にのんびりした雰囲気が漂い始めます。その雰囲気を演出しているのが、江の島に住むネコたち。道端や商店の軒先、見晴台のベンチなど、江の島の至るところでその姿を見ることができます。野良ネコというより、江の島に住む人たちみんなで“飼っている”といいますか、どのネコも人を警戒せず、実にのんびり、おだやか。お腹を出して道でゴロリとねそべっている姿に、見ているこちらも癒されること請け合いです。

江島神社興津宮をお参りした後、岩屋へ向かう途中でぜひとも立ち寄りたいのが、定食屋さんの富士見亭。このお店は江の島の断崖絶壁の上に位置しているため、屋外にあるテラス席は、江の島随一の特等席!

江の島の濃い緑と、どこまでも続く海、そして優雅に飛び交うとんび。夕暮れどきの美しさも言葉になりません!江の島には参道や道すがらにもたくさんのご飯処がありますが、一番オススメしたいのが富士見亭のテラス席ですね

そしてついに、江の島の“裏側”へ。波の浸食によって作り出された磯に、実際に降りることができます。なだらかで広い磯場は「稚児ヶ淵(ちごがふち)」と呼ばれ、神奈川景勝50選のひとつ。

絶好の磯釣りポイントでありつつ、潮溜まりに小さな貝や魚がいたりして、お子さんでも楽しめます。「岩屋」は、大人500円、小人200円で入場できる洞窟。この地で弘法大師や日蓮上人が修行し、源頼朝が戦勝祈願したともいわれています。

岩屋の信仰や竜神伝説にちなんだ演出も随所にあり、ろうそくの炎で照らされる石仏が、神秘の世界にいざなってくれます。

ちなみに、ここまで歩いてきてけっこう疲れた・・・帰りはラクしたい・・・という方は、稚児ヶ淵から出ている「べんてん丸」がおすすめ。岩屋と片瀬海岸を結ぶ遊覧船です。江の島を練り歩いた後は、海の上から江の島を眺めつつ帰るのも一興ですよ。船を使って余力を残しておいて、新江ノ島水族館などで出かけてもよいでしょう。

さて、江ノ電沿線特集、いかがでしたでしょうか?魅力いっぱいの秋の江ノ電散歩、ぜひとも出かけてみてくださいね。
 
 
今後の特集の参考にさせていただきます。
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