積翠寺温泉には2軒の温泉宿があります。そのうちのひとつが「要害」。もちろん、信玄ゆかりの要害山にちなんだ名前です。
高台に位置するため、眺めがすばらしいことでも知られている同館。その景色は露天風呂からも堪能できます。山間から甲府盆地と南アルプスが一望でき、特に夜景の素晴らしさは折り紙つき。
宿泊客はもちろん、立ち寄り入浴も可能です。その際の入浴料金は700円。10時15分から16時30分の間は、立ち寄り入浴であっても甲府駅北口まで迎えにきてくれるそうです。甲府観光の合間や締めに立ち寄ってみてはいかがでしょう。
ではここで、積翠寺温泉以外の“信玄ゆかりの温泉”についてもご紹介しておきましょう。同じ山梨県ですと、まずは下部温泉。信玄自ら、戦で受けた傷を癒したといわれています。多くの宿泊施設がありますが、老舗の宿「古湯坊 源泉館」がおすすめ。館内には武田信玄や父・信虎の免状が掲げられていて、同館の源泉で多くの武将たちが傷を癒したことを裏付けています。一切循環、加熱、加水していない「かくし湯岩風呂」は混浴です。
湯村温泉も信玄ゆかりの湯。積翠寺温泉と同じく甲府駅の北側に位置し、躑躅ヶ崎館とも目と鼻の先といった距離にありますので、こちらもゆかり深かったといえます。北信濃の戦国大名、村上義清と繰り広げた上田原の戦いで大敗を喫した信玄が、その傷を癒すために湯治したといわれている温泉です。
山梨県以外にも信玄の隠し湯と呼ばれる温泉があります。レトロな雰囲気が温泉ファンに人気の長野県・渋温泉もまたしかり。川中島の合戦で傷ついた兵士達の療養として重宝されたといいます。そのため信玄は、この地にある横湯山温泉寺に寺領七十貫を寄進。寺の紋も、武田家の家紋「四つ割菱」を掲げるようになりました。現在も、境内にはいくつも源泉が湧き出ています。
戦国時代の山野を縦横無尽に駆け抜けた武田信玄。その史跡を巡りつつ、“隠し湯”探訪してみるのも面白そうですよね。