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特集記事【2010年12/20日号】

海に向かって開く鳥居。その神秘的な風景を眺めていると、おのずと心洗われる気がします。茨城県大洗市にある、大洗磯前(おおあらいいそさき)神社です。

この神社が祀っている神様は、出雲神話にも登場する大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなびこなのみこと)。縁結びで有名な出雲大社にも祀られている大己貴命は、「国造り」を行った神様。「因幡の白ウサギ」の話でウサギを助けた神様としても有名です。

その大己貴命と一緒に国造りをしたのが少彦名命。少彦名命は、海のかなたにある常世の国からやってきた小さな神様で、かの「一寸法師」のルーツになったともいわれています。薬やお酒の神としてもよく知られています。

同神社において、この2柱の神様が降臨した地といわれているのが、海に面した鳥居のある場所。ここは“神磯(かみいそ)”といわれ、同神社の中でも屈指のパワースポットです。特に圧巻なのが、早朝の日の出の時間帯。太平洋から昇る朝日が差し込むと、神々しさがさらに増し、パワーを感じずにはいられません。毎年元旦には、同神社の宮司さん達がここで初日の出を拝む儀を行います。

この海に面した鳥居は「神磯の鳥居」と呼ばれていますが、同神社の鳥居は他にもあります。

県道をまたいで建つ巨大な鳥居は「一の鳥居」。神社から少し離れていますが、かつてはこの鳥居まで境内が広がっていたんだとか。そして神磯の海岸から道を隔てたところにあるのが「二の鳥居」。鳥居の向こうはこんもりとした森に覆われ、その中心に石段が伸びています。石段は両脇が緑に覆われていて、振り向けばすぐそこに神磯と太平洋が広がる空間は、かなりの心地よさ。長い石段ではありますが、あまり疲れを感じません。
石段を登りきり、「三の鳥居」をくぐると、左手には大洗海洋博物館、そして正面には随神門がみえてきます。随神門のたたずまいは、おごそかで立派!波の彫刻が施されているのは、この地ならではといえるでしょう。同時に、うさぎの彫刻もありました。これも「因幡と白うさぎ」の世界ですね。

門をくぐると拝殿があり、その脇には本殿があります。ここの本殿は、屋根が茅葺きになっている珍しいもの。県の文化財に指定されています。

同神社が創建されたのは856年といわれていますから、かなり古い神社です。ただし、戦乱によって荒廃していた時期もありました。それに見かねたのが、水戸藩の2代藩主、徳川光圀公。「水戸黄門」でおなじみの黄門様といったほうがピンとくるかもしれませんね。黄門様の時代に着工し、3代綱篠公の時代になって現在地に再興されました。

さて、パワースポットと呼ばれる地に訪れたなら、開運グッズのひとつも買って帰りたいところですよね。同神社は、うさぎをモチーフにしたかわいらしい開運グッズが豊富に揃っています。おりしも2011年はうさぎ年ということでで同神社の境内には、2011年3月中旬ごろまで、うさぎが描かれた巨大な絵馬も飾られています。うさぎが荒波の上を飛び跳ねている様子が描かれていて、これもまた神話の世界がうかがえます。

また、お時間に余裕のある方は、この神社と深いかかわりを持つ、茨城県ひたちなか市の酒列磯前神社(さかつら いそさき じんじゃ)にもお参りしてみてはいかがでしょう。こちらで祀られているのも薬の神様、少彦名命です。

そしてもうひとつ、余談をご紹介。神社にいる「狛犬」やお稲荷さんにいる「狐」の石像のかわりに、うさぎの石像が備わっている珍しい神社が埼玉県にあります。さいたま市浦和区岸町3にある「調神社(つきじんじゃ)」です。とても愛らしい「狛犬」ならぬ「狛うさぎ」の姿は、一見の価値がありますよ!来年の干支にちなんでぜひ訪れてみてください。
■大洗磯前神社
 ホームページ:http://oarai-isosakijinja.or.jp/
 
パワースポットという言葉が登場する以前から、スピリチュアルなスポットとして一部ファンの中で人気を得ていた場所といえば、長野県の戸隠神社です。パワースポット巡りをしている人なら、一度は足を運んでみたい神社ではないでしょうか。

同神社は、信州百名山のひとつである戸隠山のふもとに位置します。なぜ“戸隠”と呼ばれているかといいますと、日本神話で有名な「天岩戸(あまのいわと)」のお話がルーツになっています。

日の神様であった天照大神(あまてらすおおみかみ)は、弟だった素戔男尊(すさのおのみこと)の乱暴狼藉ぶりに怒り、天の岩戸に引きこもってしまいました。日の神様ですから、洞窟に閉じこもられると太陽が陰ってしまい、困った他の神様たちは作戦を立てます。オモイカネという神様が立てた作戦は、岩戸の前でどんちゃん騒ぎをしようというもの。そこで、現在は芸能の神として知られる天鈿女命(あめのうずめ)が半裸で踊りまくりました。他の神様はヤンヤヤンヤの大騒ぎ!「何事かしら?」と思った天照大神が岩戸から顔を出した瞬間、今度は力持ちの神様、天手力雄命(あまのたじからおのみこと)が岩戸をこじ開け、二度と閉じこもらないように岩戸をブン投げます。その岩戸が飛ばされてきたのが「戸隠」の地、というわけです。扉を隠す、ということなんですね。

戸隠神社には、この神話で活躍したオモイカネ、天鈿女命、天手力雄命ら、5柱の神様が祀られています。

深い山間に位置し、冬は雪がしんしんと降り積もる戸隠ゆえ、冬にお参りできるのは、5つのお社のうちオモイカネを祀っている「中社」だけです。学業成就・商売繁盛・開運・家内安全に神徳があるといわれています。境内周辺には天然記念物に指定されている樹齢約900年の三本杉があり、こちらも見事。5つのお社の中でパワーが強いといわれているのが、この中社と奥社、九頭龍社の3つです。
奥社に祀られているのは怪力の神様、天手力雄命。中社からは車で2.5キロほど走り、そこからは徒歩でさらに2.5キロの距離を歩くとたどり着きます。けっこうな距離がありますが、途中に古びた朱色が厳かな随神門があったり、すっくと伸びた杉並木が続いていたりと、とても心地よいパワーを感じながら歩けるところが魅力ともいえます。ぜひとも春に、ウォーキングも楽しみながらお参りするのがよいかもしれませんね。

奥社よりもさらに創建が古いといわれているのが九頭龍社。他の神々がこの地に集う以前に、地主神として祀られていた神様です。水の神様であるとともに、なぜか「虫歯の神」ともいわれているのが面白いところ。虫歯にお悩みの方には、足を運ぶ価値があるかもしれません。

また、戸隠周辺には現在も多くの「宿坊」があります。宿坊といえば、長野県の善光寺などお寺の周辺にあり、かつてはお坊さんが泊まった宿です。戸隠は神社ですが、明治以前の神仏習合の時代には戸隠山顕光寺と呼ばれていました。そのため、この界隈に宿坊が残っているというわけです。

かつての宿坊といえば、早朝のお参りに備えて「ただ寝るだけ」の質素な造りのものが一般的でしたが、昨今の参拝ブームの影響か、その土地ならではの旬の素材を駆使した精進料理が出たり、ヒノキ造りの浴槽を備えた温泉があったりと、快適な空間を重んじるところも増えてきました。テレビがなかったりと一般的な宿とは異なる点もありますが、お参りのムードを高め、静かな心持ちで過ごすことのできるという意味では、宿坊での宿泊体験はぜひともおすすめしたいところです。

さてもうひとつ、長野のパワースポットをご紹介しておきましょう。長野県伊那市にある分杭峠(ぶんぐいとうげ)で、通称は“ゼロ磁場”。多くのヒーラーが足を運ぶ地でもあります。

日本列島は、ご存じのとおり細長く、列島に沿って日本最大の断層「中央構造線」が走っています。なぜか、伊勢神宮や諏訪大社、阿蘇山など、日本神話の重要拠点も、この中央構造線上にあるんです。分杭峠もまたしかり。断層は、地面にズレが生じているところ。地面がぶつかりあってエネルギーが蓄積するところなのですが、その中心は「台風の目」さながらに、エネルギーが渦巻いて“ゼロ磁場”になる、という説があります。分杭峠に良い「氣」を発しているゼロ磁場があることを発見したのが、中国湖北省蓮花山のゼロ磁場を発見したといわれる著名な気功師、張志祥氏でした。

分杭峠も戸隠同様、雪深い地に位置するため、周辺の国道や県道が冬季閉鎖となります。そのため、4月からがオンシーズンといえるでしょう。
■戸隠神社
 ホームページ:http://www.togakushi-jinja.jp/
 
各地にある氷川神社の総本社が、さいたま市大宮区にある大宮氷川神社。東京・埼玉一体(昔でいうところの武蔵国)で最も社格の高いとされる一宮でもあります。同神社には、中仙道の「一の鳥居」から2キロに渡って続く立派な参道が伸びていて、ケヤキの巨木が連なっています。ここを歩くだけでもパワーを感じ、二の鳥居、三の鳥居をくぐるごとに元気が湧いてくるような感覚に浸れます。主祭神は素盞嗚尊(すさのおのみこと)。厳かな社殿はもちろん、境内に広がる大きな池も見どころのひとつ。龍神が棲む「神池」と呼ばれていて、池の浮島には宗像三女神が祀られています。
ホームページ:http://www.scvb.or.jp/data/hikawa.shtml(さいたま観光コンベンションビューロー)
赤坂サカスなど、都会的な雰囲気が漂う赤坂の街にも、そこだけぽっかりと静かな空間があります。それが日枝神社。祀られているのは大山咋神(おおやまくいのかみ)で、“山の神”“酒の神”ともいわれています。溜池山王側の山王鳥居の階段にはエスカレーターがついていたりと、かなり都会的ではありますが、境内に足を踏み入れた瞬間、喧騒のど真ん中とは思えないほどの厳かな空気に驚かれることでしょう。日枝信仰(山王信仰)における神の使いは猿ということで、社殿の両側には猿の石像が備わっているのも珍しいところです。
ホームページ:http://www.hiejinja.net/index.html
今でも、ときおり山にこだまする法螺貝(ほらがい)の音色を耳することができる大峯山は、関西屈指の修験道のメッカ。古くから霊山として知られている大峯山のふもと一帯に広がっているのが洞川温泉です。周辺には「泉の森」や「神泉洞」、五代松鍾乳洞の湧水「ごろごろ水」など、水にまつわる名所が豊富。山が発する「氣」が地下水脈を辿って流れるといわれていることから、これら水や温泉に触れてパワーが充填できるというわけです。修験道の道場である大峯山寺や龍泉寺にもぜひ訪れてみてください。ケヤキの大木に囲まれた、洞川の氏神さまといわれる洞川八幡宮もパワースポットとしてお薦めです。
ホームページ:http://www.dorogawaonsen.jp/
毎年、酉の市の季節になると夜通し賑わいを見せる花園神社も、近年パワースポットとして注目されています。江戸から続く、新宿の総鎮守です。かつては「花園稲荷神社」と呼ばれており、現在も他のお稲荷さん同様、商売繁盛の神様である倉稲魂命(うかのみたまのみこと)が祀られています。また、境内の片隅には芸能浅間神社があり、こちらは富士山でおなじみの木花咲耶姫(このはなさくやひめ)が祀られています。芸能の神様でもありますので、芸能人やアーティストが自らの芸が成就するためにお参りすることもしばしば。新宿というエネルギッシュな土地らしいパワースポットとなっています。
ホームページ:http://www.hanazono-jinja.or.jp/mt/top/
 
今後の特集の参考にさせていただきます。
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