奥社に祀られているのは怪力の神様、天手力雄命。中社からは車で2.5キロほど走り、そこからは徒歩でさらに2.5キロの距離を歩くとたどり着きます。けっこうな距離がありますが、途中に古びた朱色が厳かな随神門があったり、すっくと伸びた杉並木が続いていたりと、とても心地よいパワーを感じながら歩けるところが魅力ともいえます。ぜひとも春に、ウォーキングも楽しみながらお参りするのがよいかもしれませんね。
奥社よりもさらに創建が古いといわれているのが九頭龍社。他の神々がこの地に集う以前に、地主神として祀られていた神様です。水の神様であるとともに、なぜか「虫歯の神」ともいわれているのが面白いところ。虫歯にお悩みの方には、足を運ぶ価値があるかもしれません。
また、戸隠周辺には現在も多くの「宿坊」があります。宿坊といえば、長野県の善光寺などお寺の周辺にあり、かつてはお坊さんが泊まった宿です。戸隠は神社ですが、明治以前の神仏習合の時代には戸隠山顕光寺と呼ばれていました。そのため、この界隈に宿坊が残っているというわけです。
かつての宿坊といえば、早朝のお参りに備えて「ただ寝るだけ」の質素な造りのものが一般的でしたが、昨今の参拝ブームの影響か、その土地ならではの旬の素材を駆使した精進料理が出たり、ヒノキ造りの浴槽を備えた温泉があったりと、快適な空間を重んじるところも増えてきました。テレビがなかったりと一般的な宿とは異なる点もありますが、お参りのムードを高め、静かな心持ちで過ごすことのできるという意味では、宿坊での宿泊体験はぜひともおすすめしたいところです。
さてもうひとつ、長野のパワースポットをご紹介しておきましょう。長野県伊那市にある分杭峠(ぶんぐいとうげ)で、通称は“ゼロ磁場”。多くのヒーラーが足を運ぶ地でもあります。
日本列島は、ご存じのとおり細長く、列島に沿って日本最大の断層「中央構造線」が走っています。なぜか、伊勢神宮や諏訪大社、阿蘇山など、日本神話の重要拠点も、この中央構造線上にあるんです。分杭峠もまたしかり。断層は、地面にズレが生じているところ。地面がぶつかりあってエネルギーが蓄積するところなのですが、その中心は「台風の目」さながらに、エネルギーが渦巻いて“ゼロ磁場”になる、という説があります。分杭峠に良い「氣」を発しているゼロ磁場があることを発見したのが、中国湖北省蓮花山のゼロ磁場を発見したといわれる著名な気功師、張志祥氏でした。
分杭峠も戸隠同様、雪深い地に位置するため、周辺の国道や県道が冬季閉鎖となります。そのため、4月からがオンシーズンといえるでしょう。