由緒正しい寺社仏閣が今もなお健在な門前仲町は、江戸情緒を楽しむ散策にうってつけ。まず訪れておきたいのは“江戸最大の八幡さま”として知られる富岡八幡宮です。寛永4年(1627年)に創建された同八幡は、3年に1度行われる深川八幡祭りが江戸三大祭のひとつに数えられ、祭りに登場するお神輿は日本最大といわれています。
訪れるオススメの日は、毎月1日、15日、28日。この日は月次祭が行われ、門前仲町交差点から富岡八幡までの間と、隣接する深川不動尊の参道において縁日となります。たこやきやアンズ飴などの定番屋台に加え、時にはカルメ焼きの屋台が出たりするのも門前仲町らしいところ。賑やかな喧騒が下町の散策を彩ってくれることでしょう。
このうち、15日と28日はフリーマーケットも同時に開催。日用品や雑貨、小物など、多種多彩な品々が並びます。一方、毎月第一・第二日曜日には骨董市が開催され、第一日曜は西洋の品が、第二日曜は東洋の品が中心となって出店されます。のんびりとお散歩しながら、これらの市を楽しんでみてはいかがでしょう。
また、7つの寺社を巡り歩く「七福神めぐり」は全国各地に存在しますが、恵比寿神のいる富岡八幡宮を皮切りに、弁財天の冬木弁天堂、福禄寿の心行寺、大黒天の円珠院、毘沙門天の龍光院、布袋尊の深川稲荷神社、寿老神の深川神明宮と7つの寺社を巡る「深川七福神めぐり」はとみに有名。理由のひとつとしては、7つの寺社が比較的近いところに位置しているため、他の地域のそれと比べて気軽に巡れるからでしょう。色紙・笹・鈴の授与は元日から1月15日までの間ですが、基本的にいつ巡ってもOK。ご利益を授かりながらのお散歩はおすすめですよ。
江戸の歴史に興味のある方は、深川江戸資料館もおすすめ。八百屋や長屋、船宿に火の見やぐらなど、江戸の深川の街並みを吹き抜けの大空間に実物大再現した展示や、江戸の芝居小屋の雰囲気をそのまま残した小劇場、その他季節感のある展示が行われています。
自然の中を散策したい方は、清澄庭園も程近い距離にあります。泉水、築山、枯山水がおりなす回遊式林泉庭園です。一時は荒廃したものの、明治初期にかの岩崎弥太郎が買い取り、庭園を造る計画を立てて竣工したといわれています。新春は、寒さをしのぐために藁でかまくら状に囲った冬牡丹の可憐な姿が印象的。全国各地から取り寄せた名石も園内に点在しています。
深川丼と江戸の下町を存分に堪能するひとときを、ぜひ過ごしてみてください。