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特集記事【2011年3/20日号】

先頃、上野動物園に待望のジャイアントパンダがやってきました。昭和の時代には一大ブームとなりましたが、今回も負けず劣らずの人気を誇りそうですよね。その愛らしい姿もさることながら、今も昔も変わらず“珍しい”動物であることも、人気の一因です。

パンダ以外にも、全国の動物園や水族館では、珍しい動物が暮らしています。単にお客さんに見せる目的だけでなく、絶滅の危機に瀕している動物の研究や繁殖などに各施設とも力を注いでいる状況です。

テレビやインターネットでしか見たことがない動物たちを、ぜひ実際に見に行ってみませんか?じかにみないとわからない、可愛らしいしぐさや表情をじっくりと観察しつつ、存分に癒されてみてくださいね!

※地震の影響により、開園や展示に関して変更している施設もあります。お出かけの際は、各施設に問い合わせてからお出かけください。
日本の動物園で見ることができる珍しい動物、その代表格といえるのはやっぱりジャイアントパンダでしょう。ご存じのとおり中国に生息する動物ですが、当の中国でも四川省など限られた地域にわずかな頭数が残るのみ。本場である中国でも、じかに見たことがない人が多数を占めている希少な動物なんです。

日本に初めてパンダがやってきたのは1972年。「カンカン」と「ランラン」が愛嬌のある姿をみせ、日本中が一大パンダブームに沸きました。当時の熱狂を記憶している方も多いかと思います。以降、最大5頭が飼育されている時期もありましたが、2008年にパンダの「リンリン」が亡くなってからは、一頭もいない状態が続いていました。

そして、3年の時を経て2011年2月21日の夜、待ちに待ったジャイアントパンダ2頭が来園!中国から飛び立った飛行機の機内では、今、パンダもいっしょに載っていることが客席にもアナウンスされ、乗客には記念のグッズも配られたそうです。

2頭の名前は一般公募により、オスは「リーリー」、メスは「シンシン」に決まりました。5歳の「リーリー」、6歳の「シンシン」ともに発育良好で活発、食欲も旺盛なパンダ。環境適応能力も比較的高いそうで、上野にやってきてからの2頭は至ってリラックスモード。餌である竹(笹)を元気に食べているとのことです。

気になる一般公開日ですが、現在は地震の影響をかんがみて延期になっています。地震に対して当初は驚いた様子をみせていたそうですが、すぐに2頭とも落ち着きを取り戻して元気に暮らしています。また、パンダが快適に過ごせるように改修された新しいパンダ舎は、以前よりも近くで見られる工夫もなされているそうです。

元気で愛嬌のあるその姿、早く見てみたいですよね。
世界三大珍獣といわれているのは、ジャイアントパンダ、コビトカバ、オカピ。上野動物園では、その3つをすべて見ることができます。世界的にみても珍しいといえるでしょう。

コビトカバは、その名前が示すとおり、普通のカバよりも小さくて可愛らしいカバ。肩までの高さは0.7〜0.8mと、1m未満です。

西アフリカの密林に生息し、カバと違って群れを作らずに暮らす習性があります。カバの祖先の姿を保った貴重な動物ですが、近年は絶滅が危惧されている状況です。日本では、上野動物園以外ですと東山動物園など、ごく一部の動物園でしか見ることができません。

上野動物園にはコビトカバ舎があり、元気に歩き回る姿をみることができます。また、プールの壁の一部が透明アクリルになっていますので、運がよければ、浮力を利用しながら水中を歩く可愛い姿がみられることも。要チェックです!

オカピは、アフリカに棲む哺乳動物。その美しくも優雅な姿は、時に「森の貴婦人」と例えられるほど。上半身はシカのようであり、足はシマウマのような姿かたちをしていますが、20世紀になってからイギリスの探検家ハリー・ジョンストン卿によって発見された、キリンの仲間です。

一体どこがキリンと似ているの?と思われるかもしれませんが、よーく見てみると角が皮膚で覆われていたり、舌が長いといったキリン同様の特長があります。じっくりと観察してみてはいかがでしょう。

ちなみに、世界でもオカピを飼育している動物園は少なく、日本では上野動物園やよこはま動物園ズーラシアなど、一部に限られます。

そしてもうひとつ、ご紹介したい希少な動物が「フォッサ」。2009年5月に登場した「アイアイのすむ森」で見ることができます。上野動物園にやってきたのは2010年で、日本初公開です。

しなやかな体を駆使して、猫のようなジャンプ能力を誇るとともに、細い枝の上も器用に歩く習性があります。いかにも“小動物”といった可愛らしさを備えた表情にも要注目。くりくりとした猫のような目で、漫画家の手塚治虫氏が描く動物のような表情をしていますので、一度見た方はフォッサのファンになること必至かも!今後ブレークしそうな気配です。

他にも、上野動物園には絶滅が危惧されている珍しい動物がたくさん暮らしています。パンダ以外の動物たちにも注目すると、より動物園散策が楽しめますよ!
■恩賜上野動物園
 ホームページ:http://www.tokyo-zoo.net/zoo/ueno/
 
三重県にある鳥羽水族館は“太陽系最大級”を掲げる、世界的にも屈指の規模を誇る巨大水族館です。自然の環境を再現した12のゾーンに約1000種類、20,000点もの生き物が飼育されており、通路の全長はおよそ1.5km。見応え十分の鳥羽水族館を楽しむために、遠くから足を運ぶ方もたくさんいます。

そんな同水族館には多彩な魅力が備わっていますが、こと“珍しい”となると、まず外せないのがジュゴン。イルカなどと同じ哺乳動物で、古くから“人魚伝説”のモデルとして知られています。かつては日本の近海にも暮らしていましたが、現在は生息数が減少。国際保護動物に指定されています。

先頃、31年に渡って同水族館で暮らしていたオスのジュゴン「じゅんいち」は、惜しまれつつも今年2月に亡くなってしまいましたが、メスの「セレナ」は「人魚の海」ゾーンで元気に暮らしています。

童話の世界の人魚からすると随分違う姿をしていますが、そのずんぐりむっくりとした姿が逆に愛らしいですよね。水の中をのんびりと泳ぐ姿を観ていると、こちらも和やかな気分になってきます。目や表情の優しさにもぜひ注目してみてください。また、同じプールにはアオウミガメの「カメ吉」も暮らしています。「セレナ」と一緒に、餌となるアマモを食べている様子を観察できますよ。

一方、ジュゴンに負けず劣らずの愛嬌を発揮しているのが、「ジャングルワールド」ゾーンに生息しているアフリカマナティー。こちらもジュゴンと同様、人魚伝説のモデルとなった海牛類の仲間ですが、川に棲んでいる点がジュゴンと異なります。

西アフリカのギニアビサウ共和国を流れるゲバ川からやってきた2頭の名前は、メスの「はるか」とオスの「かなた」。文字通り、遠くからやってきたことにちなんでいます。現在、ペアでアフリカマナティーを飼育しているのは、世界中で鳥羽水族館のみだそうです。さらに2010年に2歳のメス「みらい」が仲間入り。愛くるしい表情で仲睦まじく泳ぐ姿に、ぜひ癒されてくださいね。
水族館の花形スターといえばイルカ。賢くて人懐っこい姿が人気ですが、同水族館にいるイルカは一風変わっています。

その名も「イロワケイルカ」。南米チリのマゼラン海峡にて、同水族館を含む調査隊によって捕獲された小型のイルカです。平均体長は約135cm、平均体重は約40kgですから、相当小さいですよね。

なにより特徴的なのは、身体の色。頭部や胸びれ、背びれ、尾びれは黒く、その他の部分は白とキッチリ色が分かれていることから、“パンダイルカ”の愛称でも親しまれています。

イロワケイルカは冷たい海に生息しているため、同水族館の「極地の海」ゾーンで暮らしています。

このゾーンには淡水産の珍しい小型のアザラシ「バイカルアザラシ」の姿も。丸々とした体でぷかぷかと泳ぐ姿が愛らしいので、ぜひこちらにも注目してください。

一方、日本の海を紹介する「伊勢志摩の海・日本の海」ゾーンにも、珍しい動物「スナメリ」がいます。ネズミイルカ科スナメリ属に属する小型のイルカで、明るいグレーの体が特徴的です。

日本の近海は、スナメリが生息する範囲の北限にあたります。瀬戸内海や伊勢湾、三河湾などでも暮らしていますが、個体数は少ないようです。鳥羽水族館は、世界で初めて飼育下での繁殖に成功した水族館でもあります。写真をご覧いただければわかるように、笑っているかのような表情が愛らしいですよね。ぜひとも真正面から眺めてみたいところです。

愛らしい姿といえば、カピバラも外せません。動物園などでカピバラが見れるところも軒並み増えましたよね。

齧歯類(げっしるい)の中で最大種にあたるカピバラは、体長105cm〜135cm、体重35〜65kgにまで成長します。

同水族館にカピバラがやってきたのは、昨年12月のこと。同時期に、カピバラが暮らす新しい水槽もお披露目されました。ガラス1枚を隔ててすぐ近くを歩く様子が観察できる点が特長です。

また、カピバラは捕食動物から身を守るために、水中に5分以上潜ることができるそうです。同水槽では、上手に足を使ってプールで泳ぐ姿を見ることができるかもしれません。眺めているだけで思わず微笑みがこぼれてしまうこと、請け合いですよ!
■鳥羽水族館
 ホームページ:http://www.aquarium.co.jp/
 
動物の暮らしぶりがよくわかる「行動展示」の手法を随所に取り入れている多摩動物公園。珍しい動物もたくさん見ることができます。

まずはヨーロッパオオカミ。そもそもオオカミといえば童話の世界などではお馴染みの動物ですが、実際に見た経験がある人は意外と少ないのでは?目の当たりにしてみると想像よりも大きかったりして「オオカミって、こんな動物だったんだ」と改めて感じてもらえると思います。

多摩動物公園にヨーロッパオオカミがやってきたのは平成13年のこと。ロシアの首都、モスクワの動物園からオスの「ロボ」とメスの「モロ」がやってきました。それからというもの、例年に渡って繁殖が成功し、当初2頭だったのが今では群れをなして暮らしています。

しなやかでカッコいいオオカミの姿もさることながら、ファミリーでどんな行動をとっているかを観察するのも醍醐味のひとつです。

ファミリーといえば、現在の同動物公園ではライオンの家族をみることができます!ライオン自体は昔から動物園の花形スターとして存在していましたから、さほど珍しいとはいえませんよね。

ただ、小さなライオンの子どもとなると話は別!同動物公園では、2010年10月に生まれたオス2頭、メス2頭の子供たちを見ることができます。

兄妹で追いかけっこをしたり、枝を口にくわえて遊んだりと、その姿は可愛いの一言。また、お母さんの「ケイコ」は、子ども達の餌に気を配ったり、排せつ物を処理したりして賢母ぶりを発揮しているそうです。ぜひライオン園にも立ち寄ってみてくださいね。

また、美しいツノを持つ、珍しい動物もいます。絶滅危惧種に指定されている「シフゾウ」は、“ゾウ”とつくものの、実際はシカの仲間です。漢字で書くと「四不像」。

角はシカ、頸部はラクダ、蹄はウシ、尾はロバに似ていますが、そのどれでもないことから、その名がついたといわれています。日本で飼育しているのは、多摩動物公園を含めて3園のみ。全体の半数近くが同動物公園で暮らしています。ダイナミックなツノとしなやかな体躯、そしてよくみると愛嬌のある顔に注目してみてください。

その他、ヤギにも似たウシ科の「シャモア」も、雄々しいツノを持つ希少な動物です。ぜひチェックしてみてくださいね。
 
小動物や昆虫の展示にも力を入れている多摩動物公園では、珍しい小さな生き物も見ることができます。

まずはモグラ舎「モグラのいえ」で見ることができるトウキョウトガリネズミ。世界最小の哺乳類のひとつです。“トウキョウ”と名前がついているものの、実際には東京には生息しておらず、日本では北海道に分布しています。発見された際、標本のラベルに「蝦夷(えぞ:YEZO)」ではなく「江戸(YEDO)」と誤って表記したことが由来なんだとか。

写真をご覧いただければわかるように、とがった鼻がなんともユーモラスですよね。ただ、写真ではなかなか“小ささ”はわからないと思います。一般的なトウキョウトガリネズミの体長は約2センチ程度で、体重は2g未満。ということは、1円玉2枚よりも軽い!その小ささに必ずや驚かれることでしょう。ちなみに、世界最大の哺乳動物はアフリカゾウ。同公園では最大と最少、両方とも見られることになります。

また、「モグラのいえ」のアズマモグラやコウベモグラにも、ぜひ注目してみてください。モグラは珍しい動物とはいえませんが、「実際に姿を見たことがあるか」といわれると、ある意味で“幻の動物”ですよね。「モグラのいえ」では、そんなモグラたちの行動展示を行っており、ベールに包まれた生態を観察することができます。

そしてもうひとつ、昆虫館にいる「ハキリアリ」も実に珍しい昆虫です。アメリカ大陸の熱帯や亜熱帯に生息するハキリアリは、葉っぱをかじり取って行列を作って、巣に運び込みます。葉を食べるのかというとそうではなく、葉を使ってキノコ(菌類)を栽培し、「菌巣」を作って食糧にするという、とても珍しい行動をとるアリです。

昆虫館では、ハキリアリたちが菌巣に葉を運びこむ姿を眺めることができます。世界の動物園では人気者として展示されていることも珍しくありませんが、日本では多摩動物公園が初とのこと。自分のカラダよりも大きな葉っぱの破片を持ち上げて行列している姿をぜひチェックしてみてください。
■多摩動物公園
 ホームページ:http://www.tokyo-zoo.net/zoo/tama/
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