隅田川の東岸、東京スカイツリーの北側に広がっているエリアが向島。日本に残る数少ない花街のひとつで、今でも芸妓さんが100人以上います。毎年、隅田川沿いで行われている「墨堤さくらまつり」、今年は震災の影響で中止になりましたが、桜が舞い散る中、芸妓さん達は隅田川にかかる桜橋のたもとで募金活動を行っていました。
花街といっても、目立った繁華街はありません。そのかわりに目につくのが、個性豊かな寺社仏閣です。隅田川の堤一帯を表す「墨堤(ぼくてい)」は、江戸時代に桜が植えられ、江戸庶民にとっての花見スポットとして有名でした。もうひとつ有名だったのが、この界隈の寺社仏閣。7体の神様を拝み歩く「隅田川七福神」のために、お正月には今も昔も大勢の参拝客が訪れます。さっそく、お散歩にふさわしいパワースポットをご紹介してみましょう。
まずは隅田公園東岸の北に位置する牛嶋神社。総ヒノキの権現造りの社殿は、派手さはないもののおごそかな雰囲気を醸し出しています。
ここの鳥居はちょっと変わっていて、通常の鳥居の両脇に小さな鳥居がくっついている「三輪鳥居」。とても珍しい鳥居です。
もうひとつ変わっているのが、神社の狛犬とともに「狛牛」がいる点。さらに境内には、江戸の庶民からも愛された「撫で牛」の像があります。腰が悪い人は牛の腰の部分を、足が悪い人は足を撫でると、病気が治るという言い伝えです。
さて、この界隈の寺社仏閣巡りと同時に行いたいのが、和スイーツ巡り!さすが、江戸時代から花見客や初詣客で賑わっていた墨堤だけあって、今でも老舗和菓子店が豊富です。
まずご紹介するのは、牛嶋神社の北側、言問橋東交差点(この交差点から眺めるスカイツリーもオススメ!)のそばにある「埼玉屋小梅」。人気メニューは1本180円の小梅団子です。
こしあんに黒ゴマをまぶしたお団子と、梅肉入り白あんにきなこをまぶしたお団子、さらに青のり団子がついています。1本でバラエティに富んだ3つの味が楽しめるというわけですが、それぞれの味がケンカすることなく、見事に調和しているような印象を受けました。お散歩ついでにヒョイとひとつ、買ってみてはいかがでしょう。
さて、お次は隅田川と平行に伸びている見番(けんばん)通りへ。三囲(みめぐり)神社が見えてきます。こちらは隅田川七福神の「恵比寿さま」がいる神社。
祀られているのは、宇迦御魂之命(うかのみたまのかみ)。「○○稲荷」とつく神社に祀られている神様です。さて、先ほどの牛嶋神社は「三輪鳥居」でしたが、ここの境内にあるのは「三柱鳥居」。
なんと、3本の柱があって三角形を作っている不思議な鳥居です。さらに狛犬のそばにいるのは…なぜかライオン!どこかで見たことがあるライオン像だなぁと思っていましたら、三越百貨店の入り口に置かれているものと同じ像だそうです。今は閉店してしまった池袋三越の店頭に設置されていたものが奉納されたとのこと。
境内には他にも「三つ穴灯篭」があり、鳥居、灯籠、三越と、「三」という数字にちなんだものがある、面白い神社です。そう、もうひとつ要チェックのものがありました。それは狐の像。通常の神社にいる狐は、どちらかというと妖しげな表情をしているものですが、この神社のおいなりさんはなんとも柔和なお顔立ち!「三囲のコンコンさん」として親しまれているようです。眺めていると、なんともホッコリとした気持ちになりますよ。