先月29日、新潟駅〜会津若松駅を結ぶ「SLばんえつ物語」号の運行が始まりました。例年ですと4月上旬から運行スタートしていましたが、被災地への輸送ルート確保の意味合いで4月下旬から走っています。
SLが走る路線の名は磐越西線(ばんえつさいせん)。そしてネーミングの「物語」は、「豊かな森と水に育まれた自然と人が触れ合うことで生まれる物語」という意味合いで、「SLばんえつ物語」号と命名されました。
汽笛を鳴らし、煙を噴き上げ、車輪の音を轟かせて走るSLの姿は、老若男女を惹きつけています。それに加えて、沿線の風景の素晴らしさも人気の理由といえます。車窓からは阿賀野川や磐梯山を望み、新緑が満ちた山間を走ります。その雄大な風景を存分に味わえるように展望車が連結されており、大きな窓から景色を楽しむことも可能です。大正ロマンを彷彿とさせる客車も、旅情を掻き立ててくれますよ。片道およそ4時間の工程ですが、飽きさせない魅力が備わっています。
そして会津若松。ご存じのとおり、歴史情緒漂う城下町です。そのシンボルといえるのが鶴ヶ城。若松城とも呼ばれ、その美しい姿は折り紙つきです。本丸は、会津白虎隊が戦った幕末の戊辰戦争などの資料が展示されている「鶴ヶ城博物館」となっています。天守閣からの眺めも格別ですよ。本丸を中心にした周囲は城址公園になっているので、歴史情緒を味わいながらの散策がおすすめです。また、市内には白虎隊にまつわる史跡・資料館や、新撰組に関連する施設などもあり、歴史ファンに根強い人気を誇っています。
もうひとつご紹介したいのが、「会津さざえ堂」。江戸時代後期に創られた仏堂ですが、その不思議な構造はぜひ一度ご覧いただきたいところ。堂内は二重らせん構造のスロープになっています。「上り」と「下り」、それぞれ異なるルートになっているため、皆一方通行で進める構造です。かつてはスロープに沿って西国三十三観音像が安置されていたので、このお堂に入ってグルリと上って下りてくれば、観音参りができてしまうようになっていました。
今回の震災では、震度5強の揺れがさざえ堂を襲ったそうですが、無事で済んだとのこと。複雑なつくりをした木造建築、そこに注がれた昔の人の知恵を感じずにはいられません。さざえの中をぐるりと回るような不思議体験、おすすめです!